コロナ禍が“居酒屋”の在り方を考え直す契機に
椎名町駅北口、アーケード商店街「すずらん通り」内、「おぐろのまぐろ本店」から徒歩1分の場所にある「おぐろのまぐろ はなれ」。カウンターでは割烹着姿の女将・土橋麻樹氏が切り盛りする。
「おぐろのまぐろ本店」は、築地の仲卸・小黒食品が運営する惣菜屋を2018年にユウト(東京都豊島区、代表取締役社長 長田昌之)が引き継ぎ立ち飲みスタイルの居酒屋としてリニューアル。さらに2019年には志村氏が率いるTUNAが経営を引き継いでいる。本店から至近距離に店を開くきっかけとなったのはコロナ禍だ。緊急事態宣言下でアルコール提供ができない中で、少しでも売り上げに繋がればと始めた、土橋氏の手作りのおばんざいのテイクアウト販売が大好評。1品200円~と低価格ながらも、多い時でテイクアウトのみで1日10万円を売り上げたという。これまでは上質なまぐろが格安で食べられる専門店として親しまれてきたが、おばんざいの需要があると代表の志村氏は確信。土橋氏自身もいつかおばんざいをメインにした店をやりたいという想いがあったこともあり、“はなれ”の開業がきまった。
近年、立ち飲みやネオ大衆が続々と開店し、Z世代を中心にコスパ・タイパといった価値観が流行する中で、「外食とは、僕らの仕事とはなんだろう」と考えるようになったという志村氏。「特に男性の方に多い不摂生な飲み方や、仕事から疲れて帰ってきた方が煽るようにお酒を飲む姿を見て、立ち飲みとは逆のコンセプトのお店、お客様の居場所になるようなお店を作りたいと思いました。コロナ禍で否定されてしまった、居酒屋の1番の強みである、お客様とコミュニケーションが取れるお店がいいなと思ったんです」。
ユニークなのは、金~日の10:00~16:00まではコーヒースタンド「KOKO COFFEE」として二毛作営業をしている点で、店頭には焙煎機も設置されている。こちらを運営する笠井央裕氏は、「おぐろのまぐろ 本店」にお客として通っていた人物。趣味で生豆を買い付け、焙煎もしているという話をしたところ、コーヒー好きの志村氏と意気投合。週末限定ではじめた、店頭でのコーヒーのテイクアウト販売が評判となったことから「いつか一緒に、コーヒー業態の店を開きたい」と話し合っていたという。
以前はワインバーだったという物件はわずか3坪。中央にしつらえた杉の一枚板のカウンターは、土橋氏や笠井氏も含め店に関わるメンバー全員で選んだ。椅子は最大4席、スタンディングでは10名も入ればいっぱいだろうか。ほか、店頭にもスタンディング席が用意されている。
店舗データ
店名 | おぐろのまぐろ はなれ |
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住所 | 東京都豊島区長崎1-3-3 |
アクセス | 椎名町駅から徒歩2分 |
電話 | 03-4291-9911 |
営業時間 | 18:00~22:00 (21:30LO) ※金~日の10:00~16:00までは「KOKO COFFEE」として営業 |
定休日 | 日、月 |
坪数客数 | 3坪4~13名 |
客単価 | 3000~3500円 |
運営会社 | 株式会社TUNA |
オープン日 | 2023年6月9日 |
関連リンク | おぐろのまぐろ(HP) |
関連リンク | おぐろのまぐろ 本店(記事) |
関連リンク | おぐろのまぐろ 池袋ロサ店(記事) |