“雑魚”とは、収穫量がわずかで都心での主要取引ルートにのらないような魚のことをいう。味がよくてもその土地だけで消費されることがほとんどで、都心ではなかなか食べる機会に恵まれない。そんな雑魚にスポットを当てた雑魚専門店「雑魚マニア」が、川崎駅前に4月1日オープンした。 店主の島田稔丈氏は、グローバルダイニング出身。同社で10数年勤務した後、各地の漁港で消費をもてあましている雑魚の存在を知ったそうだ。そしてこれをメインに店を開こうと立ち上げたのが「雑魚マニア」である。「通常、雑魚と呼ばれる魚は、都内で売りたくても地元の漁師さんは都心への配送ルートをもっていないことがほとんどなんです。そこで当店では、鮮魚の達人協会東京代表である『尾辰商店』さんの協力を得て、築地からの既存の仕入れルートにのせられるようにしました」と島田氏。その甲斐あって、その日に水揚げした魚を当日の夜、お客に提供するという“鮮度”を可能にした。 雑魚マニアに入荷する雑魚は、毎日10~20種類ほどある。脂の乗ったエチオピアや、くせのない味わいのゴソ、ユニークな姿形のギンマト・・・・・・・など、季節によりさまざまな種類が入荷するが、どれも他では味わえない珍しいものだ。それぞれ刺身、焼物、煮付けなど最適な調理法で提供する。なかでも看板商品は、その日一押しの鮮魚5点以上を姿造りにして大きな盃に盛り込む、迫力の「金盃刺し盛り」(1980円)。その他、「マンボウの腸ホルモン」(480円)や、「雑魚のみそトンコツラーメン」(880円)など素材の珍しさに加えて、ひと手間加えたオリジナルの鮮魚料理も揃えている。このほか、「サメ軟骨」、「辛味タタキキューリ」など250円均一のつまみ類や、「土佐っ子ポテトフライ」(380円)といった居酒屋の定番料理も手頃な価格で揃え、お客の利用動機を広げている。また、「わっしょい」とかけ声をかけながらストップがかかるまでイクラを盛る「イクラぶっこ飯」(ご飯200円、イクラ1g10円)や、その日の目玉商品を店内で「競り」にかけ、お客に競り取ってもらうイベントなど、エンターテイメント要素たっぷりの演出を行なうのも同店ならではの名物となっている。 店は川崎駅東口からすぐの場所に位置し、店内は地下と1階の2フロアで60坪、80席を有している。テーブル席、半個室、掘りごたつ式の座敷があり、それぞれ雰囲気が異なる。壁面に描かれた大胆な魚の絵は、有名アーティストが手掛けたものだという。少人数でしっぽり酒と魚をたのしむのもいいが、宴会用のコースなども多数あり、団体客への対応も行なっている。 「日本各地の漁港には、築地に入ってこないような美味しい魚がまだまだたくさんあります。そんな全国の知られざる雑魚たちをメジャー市場に押し上げるのが、僕らの夢。地方の漁師さんもお客様も元気になれる、地域活性型飲食店を目指します」と島田氏は語る。地方の漁師と都会の客をつなぐ地域活性型飲食店の新しい形が、またひとつ誕生した。
店舗データ
店名 | 雑魚マニア |
---|---|
住所 | 神奈川県川崎市川崎区駅前本町15-5 十五番館ビルB1・1F |
アクセス | JR川崎駅東口・京急川崎駅東口より徒歩1分 |
電話 | 044-201-8570 |
営業時間 | 17:00~23:00(22:30L.O.) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 60坪・80席 |
客単価 | 3500円 |