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喫煙者の居心地を大切にしながら、効率的な換気量で光熱費節約も可能な喫煙席向け空調システムを、ア・ファクトリーとダイキンエアテクノが開発!

下から上へ向かう緩やかな空気の流れを作り出すことで、タバコの煙をかき回さず効率的な換気を実現。少ない換気量で快適性と経費節減が可能
美観も損わない、実際の施工例

(取材=田村 真理子)


2010年4月から神奈川県では受動喫煙防止条例が施行され、飲食店内においても環境タバコ煙に対する分煙対策が進み、店内に喫煙席と禁煙席が設けられているのはごく当たり前の状況となっている。分煙の形態は様々であるためその効果も異なるが、分煙機器での吸引除去が不十分であるとタバコの煙が禁煙席領域に流れるといった問題のほか、小規模店舗では分煙工事は予算的にもスペース的にも難しいため、全面禁煙を選択するしかない店舗も少なくないようだ。
このたび、愛煙家も嫌煙家も大切なお客様である飲食店にとって、そうした状況を打破してくれる画期的な空調システムが開発された。JTの働きかけにより、商業施設や店舗デザインなどの設計・施工を手掛けるア・ファクトリーと、空調設備を専門とするダイキンエアテクノがタッグを組んで、喫煙空間を快適に保ちながらも冷暖房効率も高い“喫煙席向け空調システム”を実現した。
タバコの煙対策のみを考慮した禁煙か分煙、喫煙を選択するという視点から離れ、喫煙席の空気環境に着目。一般的な吹き降ろすタイプの空調設備と、立ち上るタバコの煙は相性が非常に悪く、上がった煙を下に吹き下ろしてしまう。煙を除去するために換気量も非常に多くなってしまい、客の快適性のみならず飲食店の冷暖房ランニングコストアップを引き起こしてしまう。そこで、下から上への気流を作り、タバコの煙を拡散せず効率的に換気することや、人数に合わせ換気量を調整することで快適性と経済性の両面を兼ね備えた空調システム実現に向け着手した。
従来、タバコ煙と相性がよいとされ、下から上への気流を作るアンダーフロア空調という既存システムがあったものの、二重床を形成して階高を高くする必要があったため、施設の構造により導入が困難であることや、高付加価値な反面、工事費が割高になるという問題があり、喫煙席向けとしてはほとんど普及していなかった。このアンダーフロア空調の原理を利用し、床部の施工が不要ながら、同様の気流を形成するのが新システムである。天井部分に冷暖房機器を設置し、壁をダクトでつないで足元から空調が出る仕組みとなっている。昨年2月に、同様の発想を採用した喫煙室をタバコ店で施工したところ、「ニオイが残らない」「しばらく滞在してタバコを購入して帰る人が増えた」といった期待以上の反響と効果があったことから、飲食店向けのものとしてさらに進化させたシステムを開発した。そして、多くの喫煙者が訪れる神奈川県・南太田駅前にある喫茶「ぱぁらー泉」へ2月23日、第一号の導入を行なった。
「このシステムへの初期投資は一般的な空調よりも割高になりますが、煙をかき回さず換気量を減らすことでお客様や従業員の方に快適な空間を提供し、喫煙人数に合わせ換気量の調整が可能であることから、中長期的に見ていくと、省エネにつながるため総コストの低減も期待できると思っています」とダイキンエアテクノの環境ソリューション営業部長・石井克典氏は話す。また、新システムは空調そのものに工夫が施されているものとなるため、喫煙室を禁煙室に変更した場合でも通常の空調システムとして使用できるというメリットがあるのが大きな特徴のようだ。設置場所や規模に応じて対応できるため、飲食店はもちろんのこと、パチンコ店などの大型遊業施設などにも導入できるという。飲食店関係者にとっては新たな空調対策の選択肢が増えたことにより、店の現状を見ながら今後を見据えるためのよい機会となりそうだ。

店舗データ

店名 喫煙席向け空調システム
運営会社 株式会社 ア・ファクトリー
ダイキンエアテクノ株式会社
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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