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コラム

GW明け「二つの注目ニューオープン」

飲食店の春のオープンラッシュといえば、3~4月の年度代わりに集中するものだが、今年はGW明けに、怒涛のオープンラッシュとなっている。そのなかでも、注目の2店をクローズアップしてみた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


平均株価が2008年6月以来の14000円台を付けるなど、アベノミクス効果もあるのだろうか、この時期の飲食店オープンラッシュは珍しい。大阪のグランフロントはオープン3日間で入場者が100万人を超えたというし、都心では高単価の店に客が戻ってきているらしい。出店攻勢をかけやすい環境になっているわけで、飲食業界にとってもアベノミクスはまたとない“追い風”なのだ。京橋に4月18日開業した商業施設「東京スクエアガーデン」。京橋駅銀座寄りの改札口を出ると、そのまま同施設の地下のレストラン街に直行できる。そのゲートの右側角立地に5月7日、「獺祭BAR23」がオープンした。日本酒業界が盛り上がるなか、世界からも熱い眼差しが注がれている山口県の旭酒造が醸す「獺祭」。絶好のタイミングで、アンテナショップが立ち上がった。しかも、プロデュースと料理は「青柳」の小山裕久氏。同施設の1階で「婆娑羅」をオープン、「獺祭BAR23」は「婆娑羅」と連携しながらハイクオリティの料理とサービスを提供する。同じ5月7日、池袋マルイの先、要町通りのタワーマンションを過ぎたあたりの立地に、急成長している「串カツ田中」がオープンした。開店の17時から閉店の翌2時まで満席が続き、外には空席を待つ客やお祝いに駆けつけた。創業30店舗目(1店閉店のため正確には29店舗目)となるFC店のオーナーは、池袋西口の悪立地19坪で月商1000万を売り上げる「アガリコ」を経営するビッグベリーの大林芳彰氏。大林氏はグローバルダイニング出身で、北千住、中野含め既存店は“オリエンタルビストロ”業態。およそ真逆の“大衆串カツ酒場”業態を、しかもフランチャイズ加盟という形で出店したことに業界の注目が集まった。大林氏はなぜいま「串カツ田中」のFC加盟という選択をしたのだろうか。大林氏に直接聞いてみた。「串カツ田中は貫啓二社長と出会った頃から、やりたいと思っていた。運営ノウハウやメニュづくりはたいへん勉強になる」と違和感は感じていない。さらに大林氏はその理由について語る。「海外や地方でのアガリコFCの展開を考えています。FCパッケージとして理想的な串カツ田中のノウハウをもとにアガリコのFCパッケージを作りました。研修制度やオープンまでのスケジュール、加盟金など参考にしました。またアガリコ出店エリアは確実に串カツ田中も当たる地域と合致します。客単価がアガリコと同じ2000円前半。業態が違うのでバッティングせず、両店で回すメリットがあります。郊外や地方でアガリコを出店し、アガリコが当たれば串カツ田中も隣接した場所で必ず当られると踏んでいます」。「アガリコ」の展開とセットで「串カツ田中」を展開していくという戦略である。オリジナル業態とFC業態を車の両輪にする考え。業界が注目する繁盛業態「串カツ田中」というパッケージを、グローバルダイニング卒業生の注目経営者が運営する。ある意味、最強の業態×最強のオペレーション力。オープン前に大林氏は「串カツ田中既存店の初日売上げNo.1を目指す!」と宣言していたが、見事に歴代レコードをクリアした。こんどは既存店で月坪50万のスコアを誇る月商をクリアできるかどうかに関心が移る。

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