お客として通っていた居酒屋の店主に憧れ、ほぼ未経験で飲食業界へ転身
京王井の頭線・神泉駅から徒歩3分、渋谷駅からも徒歩10分、道玄坂のビル2階に構える「居酒屋ツーピース」。窓から漏れる明かりで営業中であることはわかるものの、真っ黒な扉は重々しく、気軽に入りやすいとは言い難い雰囲気だ。その扉を開けるとさらにスーパーマーケット等のバックヤードでよく見られるスイングドアが設置されており、面食らいつつも店内に入れば、藤田氏、望月氏をはじめスタッフが満面の笑顔で出迎える。この遊び心のある仕掛けは、大きなインパクトとして記憶に残るだろう。
「お客さんはよく、帰り際に『あれっ、出口どこでしたっけ』と迷われます」と笑う藤田氏は、大学卒業後、就職を機に上京した。営業マンとして働きながらお客として通っていたのが、楽コーポレーションの吉祥寺「イノイチ」(現在は閉店)だ。そこでは、現在は渋谷で「□二〇」と都立家政で「ニコミマル」を運営する黒川圭太氏が店長を務めており、藤田氏と親しくしていたという。折しも藤田氏が自身の将来について悩んでいた頃、黒川氏が独立することを知る。次第に藤田氏は、自分も居酒屋をやりたいという夢を持つようになったという。そこで大学時代の親友である望月氏に「いつか一緒に居酒屋をやらないか」と声をかける。望月氏はそれを受け、当時働いていた静岡の企業を退職して上京した。
そして「僕もいつか友達と一緒に店をやりたいと思っています。お給料は要らないので、僕らを圭太さんの下で働かせてください!」と黒川氏に懇願。頭を下げる藤田氏の熱意に押され、黒川氏は藤田氏を創業メンバーとして受け入れることになった。その後、ほぼ未経験から料理を学び、「ニコミマル」の立ち上げにも携わった。一方、望月氏は楽コーポレーションに入社し、「東京ワイン倶楽部 楽」などで約5年間に渡り腕を磨いた。「初めは断られたんですよ。圭太さんにとっても独立して初めて持つお店ですし、どうなるかわからないからスタッフは雇えない。『楽』グループのお店を紹介するから、そこで頑張れと言われたのですが、『どうしても圭太さんと働きたいんです』と粘りました」と藤田氏は当時を振り返る。
当初立てた目標「5年後に独立する」を見事に達成し、2023年末に念願の「居酒屋ツーピース」を開業。店名には、藤田氏と望月氏、2つのピースから始まったこの店を通じて、スタッフやお客など様々な人とつながり、いつかパズルのように大きな絵が描けたらという願いが込められているという。
空中階の物件に戸惑いもあったというが、本当に良い店、美味い店として浸透すれば、どんなにわかりにくい場所でも繁盛店になり得ることは、「□二〇」や楽コーポレーションが展開する店舗を通じて、両者も良く理解している。冒頭でも記したように入りにくさ満載ながら、店内はカウンター席がメインで開放感がある。壁面に設置した富士山を模した棚は両氏のこだわりのひとつで、静岡のブルワリーで造られたクラフトビールや、地元産の食材を陳列する予定だ。
店舗データ
店名 | 居酒屋 ツーピース |
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住所 | 東京都渋谷区円山町20-5グランドネス渋谷2F |
アクセス | 神泉駅から徒歩3分、渋谷駅から徒歩10分 |
電話 | 03-6455-2438 |
営業時間 | 火~土11:30~13:30、17:30~23:30、日・月17:30~23:30 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 19.5坪40名 |
客単価 | 5000円 |
オープン日 | 2023年12月8日 |
関連リンク | 居酒屋 ツーピース(Instagram) |