巻頭特集は「タコス」。この町で新しいカルチャーを提案したい
地域の人が集う場所としての機能は維持しつつも、蕎麦以外に選択肢はないか――と思いを巡らせた末に辿り着いたのが、ストリートフードで、自身の好物でもあるタコスだ。タコスなら比較的、誰にでも作りやすく、ここ数年で主流になったデリバリーやテイクアウトの需要にも対応できるのではと考えた。何より、周辺にはタコスを出す店がない。「この辺りは生活に必要な店は何でも揃っていて住みやすいのですが、カルチャーとの接点があんまりないんです。昔は本屋もレコードショップもありましたが、今では娘と本を探しに行くにも2駅は移動しないと買えない。そんなこの町の、新しいカルチャーとの接点になればと思いました」。
内装は、阿部氏宅のリノベーションを手がけた「スタジオA建築設計事務所」(東京都港区、内山章氏)が担当。阿部氏自身が「飲みに行きたくなる店」をテーマにやり取りを繰り返し、店を印象付ける壁の色をブルーグレイに決めた。さらに、タコスになじみがない人にも入りやすいようガラス面積を広くした他、昔ながらの垂れ壁を崩してオープンキッチンを設置した。メニュー表やロゴをはじめ、アートディレクションはデザインユニット「Bob Foundation」の朝倉洋美氏が手がけたものだ。レジ周りの雑貨スペースには、同ユニットをはじめ、編集時代からの仲間が作るグッズが並ぶ。「店の奥、かつて祖父母の居住スペースだった場所は編集スタジオとして『Bob Foundation』とシェアしています。僕たちの子ども同士が同級生なので一緒に遊べますし、子どもたちはどちらかの親がいなかったとしても、安心して帰ってくることができます」。
店舗データ
店名 | みよし屋 |
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住所 | 東京都品川区西中延3-5-17 |
アクセス | 中延駅から徒歩5分、荏原中延駅から徒歩8分 |
営業時間 | 平日11:30~14:30、17:00~22:00 土日 11:30~22:00 |
定休日 | 火曜 |
坪数客数 | 11坪18席+立ち飲み6席 |
客単価 | ランチ1200~1500円、ディナー2000~3000円 |
運営会社 | 有限会社みよし屋 |
オープン日 | 2023年5月10日 |
関連リンク | みよし屋(Instagram) |