酒の卸を経験して知識を吸収。メキシコ旅行中に出合ったテキーラの味わいに心奪われる
京急蒲田駅からJR蒲田駅方面へ延びる「京急蒲田商店街あすと」。昭和風情漂うこの通りを一歩逸れると、長屋造りの建物が軒を連ね、少し猥雑な雰囲気の小路に入る。小さな十字路の一角で出合うは、風にたなびく「Solana」ののれん。「外が純和風だから、中はメキシコ風の派手な色遣いにしたんですよ」と、店主の山下かおり氏はにっこり微笑む。引き戸をガラリと開け目に飛び込むのは、薄緑の壁と、棚にズラリ並ぶテキーラの瓶。お香のかぐわしさも相まって、一気に別世界へとトリップする。
山下氏が初めて飲食業を経験したのは、学生時代のアルバイトだった。この頃から「接客は自分に向いている仕事だ」と、自覚していたという。社会人になってからは、自身の長所たる接客スキルを活かし、旅行業に従事。その後、結婚、出産を経て退職し、主婦業に専念。その頃にも、パートとして飲食業で働く時期があった。
数年を経て、山下氏はワインを主に扱う卸業者に入社。この仕事の中で、膨大な酒の知識を身に着ける。「この頃、ぼんやりと『いつか酒場を開きたい』という気持ちが芽生えてきていました。私自身、お酒が好きだし、人が好き。酒場で生まれる出会いも大好きなんです。そういう場を提供できるようになりたいな、と思っていました」。そんな想いを抱きながら日々を過ごしていた山下氏。ある時、メキシコ旅行へ出かけ、現地のテキーラの味わいに触れる機会があった。「酒を扱っている仕事をしている手前、テキーラについては結構勉強して行きました。それこそ、日本テキーラ協会が認定しているテキーラ・マエストロも取得したりして。ちょっとわかったつもりでいたんです」。しかし、実際に口にしてみると、その味わいは山下氏の想像を超え、大きく感動させられることとなった。「風味が芳醇で飲みやすいし、次の日に持ち越すこともなく、二日酔いしにくい。そして何より感銘を受けたのは貴重なアガベを使って、丁寧に作られていることです。日本でテキーラと言えばパーティーでショットを一気に飲む、というようなイメージが強いですが、そんな粗末な扱いをされるべきお酒ではない、お酒がかわいそうだと思うようになりました」。これを機に、山下氏は将来自身の店舗を持つときのアイテムをテキーラにすること。日本におけるテキーラのネガティブなイメージを一新することを心に決めたのだった。
店舗データ
店名 | Solana(ソラナ) |
---|---|
住所 | 東京都大田区蒲田4-6-10 |
アクセス | 京急蒲田駅から徒歩2分 |
電話 | 03-6424-8022 |
営業時間 | 18:00~24:00 |
定休日 | 日・祝日休 |
坪数客数 | 約4坪 7席 |
客単価 | 2500~3000円 |
オープン日 | 2022年1月11日 |
関連リンク | Solana(Instagram) |