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角打ち発、新大衆酒場。西新井の人気酒屋バル「nibu」が、4月22日にオープンした“燗酒、自然派ワイン、クラフトビール”の魅力をカジュアルに提案する2号店「新大衆酒場 松屋本店」に注目

綾瀬駅東口から徒歩約3分の商店街に立地。青と白のストライプのサンシェードが目印だ
豆電球でライティングされたポップな印象の店内。気軽に酒やつまみを楽しむことができる
酒燗器で瓶差しにした高級純米酒「神亀」を提供する「すぐ出るお燗酒」(一合734円)と、朝〆の鶏を使用した「地鶏の焼鳥ピンチョス」(648円)
専用のスライサーで極薄にカットした「切たて生ハム」(842円)と、「オレンジワイン」と銘打った琥珀色の自然派ワイン「ベニマキア・ティナハス」(626円)。ワインは90mlのグラスで提供する
店作りに独特のセンスを感じさせるオーナーの松本祐児氏

(取材=中村 結)


東京メトロ千代田線とJR常磐線が乗り入れる綾瀬駅。足立区東南部にある同駅東口に、4月22日オープンした「新大衆酒場 松屋本店」が話題となっている。経営はマツミ松屋酒店(東京都足立区、代表取締役:松本祐児氏)。オーナーの松本祐児氏は、足立区西新井にある小売り酒屋「松屋酒店」を先々代から引き継いだ3代目で、2011年、酒屋店内にバルスタイルの角打ち「nibu」をスタート。「新大衆酒場 松屋本店」は、この「nibu」の人気を受けて同社がドミナントでオープンした2号店となる。今回の店舗では看板に“ビール”、“ワイン”、“清酒”を掲げ、スタイリッシュかつカジュアルな大衆酒場スタイルを採用。日本酒では特に食中酒としての燗酒の魅力を、ワインでは自然派ワインや日本ワインの味わいを、ビールではクラフトビールの世界的潮流をと、いま最も旬なアルコール類を取りそろえ、小難しいウンチク抜きで幅広い世代にその魅力を気軽に楽しんでもらう水先案内人的な大衆酒場を目指している。

「実は、元々お酒には全く興味がなかったんです」と語る松本氏は、2006年に酒屋の2代目である父親の急死に伴い家業を継ぐまで、舞台美術関係の仕事をしていたという人物だ。「父親が亡くなった後、近隣の冠婚葬祭式場など複数の得意先との付き合いもあって酒屋を廃業するわけにはいかず、それまでの仕事を辞めて家業を継ぐ決心をしました」(松本氏)。約10年前の国内は空前の焼酎ブーム。松本氏は従来のラインナップの刷新を計画し、銘柄焼酎や有名日本酒の蔵元にアクセスを試みたが、従来の実績なしで新規取り扱いできる蔵はなかなか見つからなかった。そのようななかで、快く取引を了承してくれたのが「神亀」を代表ブランドにする神亀酒造と、「睡龍」の久保本家酒造だったという。この両酒造との出会いによって、松本氏は「主張しすぎず食事に寄り添う“食中酒”としての燗酒の魅力に目覚めた」と語る。それ以来、店先ではお客に燗酒の魅力を伝えるべく「このお酒はお燗がお勧めですよ」と声かけに努めていたが、後日確認してみると「お燗は面倒くさかったからそのまま飲んじゃったよ」という返事がほとんど。ならば理想の飲み方や食事との相性を自分たちで提案しようと、2011年7月に夫婦でバルスタイルの角打ち「nibu」をスタートさせた。酒屋の“第二部”を意味する「nibu」では、日本酒だけでなく日本ワインや自然派ワインを取り扱うと共に、東京・調布の人気店「サルメリア69」の生ハムを主力メニューとして提供。そのほか、吟味を重ねた鋭いラインナップと隠れ家的スタイルでじわじわと口コミを集め人気が定着し、2号店のオープンへと至った。

店内はシンプルでありながら、どことなくレトロでスタイリッシュな空間。塗装や照明などの設備、デザインは舞台美術出身の松本氏ができる限り自分自身で手掛けたという。アルコールには日本酒やワイン、クラフトビールに加え、強炭酸のソーダで提供する「角ハイボール」(370円)や「国産レモンサワー」(370円)、焼酎等を幅広くラインナップ。日本酒では、瓶差しで注文から待たせずに提供する「すぐ出る お燗酒」(神亀1合680円)のほか、特撰の「菊正宗」(680円)や「一喜」(730円)など約20種類を用意し、いずれも半合(350円~)から提供している。ワインでは、表面張力ぎりぎりに注ぐ「スパークリングワイン」(グラス600円)のほか、自然派の赤白「がぶ飲みビオワイン」やポルトガルの「ヴィーニョ・ヴェルデ」などといった安旨ワインを90mlのグラス(380円~)から提供。スコットランドの「パンクIPA」など、クラフトビールも常備されている。

フードメニューでは、約9割がオーダーするという主力商品の「切たて生ハム」(780円)のほか、仕入れの努力により抜群の鮮度を誇る「お刺身盛り合わせ」(1人前800円、2人前1280円)、原価度外視の「新大衆酒場の煮貝」(580円)に加え、「肉屋のハムエッグ」(480円)や「いぶりがっことマスカルポーネとタラコあえ」(500円)など、気軽な価格のつまみやご飯ものを約50種類用意。松本氏は週の半分を「nibu」に割いているため、同店で常にブレのないクオリティを実現するべく料理人を雇っている。アルコール、フードはいずれも産地や銘柄、年代など難しいウンチクは一切なし。一人客のちょい飲み需要に応えた“少なめFOOD”も用意しており、まずは気軽に酒そのものの味わいを、つまみと共に自由に楽しんでもらいたいという店側の想いがうかがえる。

「うちはあくまでも専門店とは謳っておらず、“いいものを安く。好きな酒を、好きなつまみと。”がコンセプトです。僕自身が感銘を受けた旨い酒を、世代を問わず多くのお客様に発見してもらえたら」と語る松本氏。「この店がきっかけとなって酒とのよいスタートラインを切れるよう、空間や料理にも妥協せずにいたいですね」。同店では今年6月1日に「サルメリア69」とのコラボイベントを開催。お客それぞれが、好みの酒を自分なりの飲み方や食事とのマリアージュで楽しめるよう、今後も生産者や食材取引先とのイベントを行い、情報発信していく予定だ。また、来年以降には、1号店、2号店の人気メニューとアルコールのテイクアウトサービスにも着手を計画しているという。角打ちからスタートし、さらに一歩進んだスタイルへ。若い世代の酒離れが囁かれる昨今、独自のビジョンで酒や酒場の魅力を伝えていく同店に今後も期待したい。

店舗データ

店名 新大衆酒場 松屋本店
住所 東京都足立区綾瀬2-24-13-102

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アクセス JR,東京メトロ綾瀬駅東口から徒歩3分
電話 050-5589-7924(予約専用)
営業時間 月~金 17:30~24:00、土 17:00〜24:00
(Food LO23:00、Drink LO23:30)
定休日 日曜
坪数客数 13坪 11席(内カウンター4席、テーブル7席)
客単価 3000円~3500円
運営会社 有限会社 マツミ松屋酒店
関連リンク 新大衆酒場 松屋本店(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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