中目黒駅から徒歩2分、駅を見下ろすビルの5階に11月15日、牡蠣の専門店がオープンする。店名は「牡蠣入レ時(かきいれどき)」で、売り上げ好調な時の「書き入れ時」とこの店の主な食材である「牡蠣」をかけている。牡蠣専門店には、ここ数年で急速に増えてきたオイスターバーがあるが、この店のメインはオイスターバーで登場する生牡蠣ではなく、「焼きガキ」だ。焼き牡蠣といえば、浜焼きなどで素人が焼いているシーンを思い出す。しかし「焼きガキを最も美味しい状態で食べるのは、実は難しいんです。ここでは、牡蠣専用の火力の強い焼き場を導入し、職人が焼き上げて提供します」と言うのは、この店の料理長、緑川智氏。店内のインテリアには、随所に竹や日本家屋の古材を使い、落ち着いた和の風情が漂う。
メインの焼きガキは、国内の産地から直送されたもののみを使い、1個190円から(1人2個から提供)と低価格。オープンキッチンなので、カウンターの目の前でパチパチと牡蠣の殻の焼ける音とともに、磯の匂いがして、シズル感が食欲をそそる。プロが焼いた牡蠣は、身がふっくらとしてジューシー。アツアツを頬張れば、旨味と香りが口いっぱいに広がる。もちろん、生ガキやかきフライなども産直の厳選された牡蠣を使って提供される。この他、濃厚な茶豆にハーブがほのかに香る「カモミールで深漬けした茶豆」(390円)、レバーパテならぬ「サンマのパテ」(750円)、わさび醤油を使った「白海老ユッケ」(950円)、甘塩っぱさと食感を楽しめる「いくらの茶わん蒸し」(600円)など、丁寧に仕上げた和テイストのオリジナル料理も試してみたい。
ドリンクのメインは日本酒。常時12~15種類ほどをグラス(800円~)で提供し、いずれの銘柄も、どの料理にぴったりなのかがメニューに明示してある。また、日本酒の古酒も用意しており、好みで牡蠣にかけて食べることができる。これはイギリスの牡蠣の産地でスコッチを生牡蠣にかけて食べることからヒントを得たという。牡蠣に合うドリンクといえば白ワイン(グラス600円~)も欠かせない。この店では常時15種類を用意。ワインも日本酒も「美味しい牡蠣を食べてもらいたい」というコンセプトのもとに選んだものばかりだ。
この店のメインである焼きガキが1個190円からと低価格なのには理由がある。実は、築地でも珍しい牡蠣専門業者の直営店なのだ。築地で牡蠣の直売も行なうという牡蠣専門の店は、同店の開店日と同じ11月15日にオープンする。オープンのため、スタッフ全員で牡蠣の産地をめぐり、生産者たちと直接つながりを持ってきたという。「ひとくちに牡蠣と言いますが、産地によって育てている種類も環境も全く違います。エリア毎に生産者のこだわりがあるので、それをお客さんに伝えていきたいですね」と緑川氏は語った。生産者と直接つながっているだけに、良いものが入らない時は店を開けないというこだわりようだ。仲卸直営だからこそできる高品質と低価格で、「職人が焼く牡蠣」の文化を定着させることができるのか、生牡蠣とは違うアプローチに注目が集まりそうだ。
ヘッドライン
[ニューオープン]
2013.11.15
専門業者からの仕入れだからできる高品質と低価格!国内産地直送の焼きガキ専門店「牡蠣入レ時」が中目黒に11月15日オープン
- 国内の産地から直送された新鮮な牡蠣
- メインは職人が焼き上げる「焼きガキ」
- 丁寧に仕上げた和テイストのオリジナル料理
- 竹や日本家屋の古材を使い、落ち着いた和の風情が漂う店内
(取材=長谷川 敏子)