この10年ほどの間に最もレベルアップが図られ、最も競合が激化した業界は、まず間違いなくラーメン業界であろう。かつては絞り込んだメニューであればあるほど専門店として秀でた店と高く評価されていたものが、いまやバラエティー豊富なメニュー構成が強く求められるようになり、さらには期間限定ラーメンやサイドメニューの充実なども集客面において欠かせなくなってきている。それでいて昔同様に、専門店としての味のこだわりも訴求しなければならない。こうした厳しい条件下にありながら、新店は次々にオープンしてくる。まさに息つく暇もないほどの熾烈な戦いが、日々繰り返されている業界だ。
1997年、神奈川・青葉台に14坪の個店として開業。その後、13年の月日をかけ14店舗を展開するまでに成長を遂げたのが、ナナシフードサービス(神奈川横浜市、代表取締役・平 英樹氏)が手がける「とんこつらーめん 七志」だ。同店は現在、東京に6店舗、神奈川に8店舗展開しており、ラーメン業界において一つのポジションを確立しつつある。だがその一方で、店舗数が増えれば増えるほどチェーン店と一括りに見なされ、個店の時と変わらず店舗ごとにラーメンを仕込んでいるにも関わらず、味のこだわりがお客になかなか伝わりにくくなっているのも、また事実。こうした問題点を何とか解決しようと今回、新たに取り組んだのがオープン10年になる町田店の全面改装である。
町田店の全面改装にあたって掲げたスローガンが“脱チェーン店”。これまで頑なに守り続けてきた各店で仕込む味のこだわりを改めてお客にアピールすることで、競合の激化するラーメン業界での生き残りをかけたのである。そのために同社が採用した打開策が、名プロデューサーとしてその名を馳せる繁盛業態づくりの請負人、浜倉的商店製作所の浜倉好宣氏への店舗デザインの依頼であった。そして、これまでファミレスっぽい造りだった店舗を大胆に作り変え、木の温かみを全面に打ち出したこだわりの店舗として6月10日に新しく生まれ変わったのである。店内は入口そばのテーブル席を土間に、その奥のカウンター席を室内に見立てて空間を巧みに分け、テーブル席の頭上にはひさしを取り付けて腰壁はブロック仕立てに仕上げた。また、柱の部分は麺箱をはりつけて覆い隠し、何とも言えない雰囲気を作り出したのである。カウンター席のフロアは床を板張りにして一段上げ、店舗に段差を設けることで店内の繁盛風景を外から一目できるように工夫を施した。
売り物のラーメンは、九州とんこつと横浜家系の中間の味に仕上げた「七志らーめん」(700円)が一番人気。他に「七志味玉らーめん」(800円)、「担々麺」(850円)、「激辛三昧」(900円)、「あげ葱あえ麺」(800円)、「とんこつ つけ麺」(780円)を揃え、さらに「すっぱ冷やし麺」(880円)など2ヵ月おきに季節限定メニューを導入してお客の来店動機を高めている。トッピングも11種と充実させ、「葱豚ごはん」「角煮ごはん」「ピリ辛叉焼そぼろ丼」の3種の小丼(各300円)、「餃子」(380円)、「炒飯」(650円)、「純レバ丼」(800円)などのサイドメニューや各種セットメニューも豊富に揃え、飽きのこない魅力づくりを行なっている。
町田店の目標月商は800万円で、これまでの月商750万円の上を行くさらなる飛躍を狙う。同社では町田店の反響を見ながら、既存店における同様のリニューアルも検討。また、新店舗出店や新業態店の開発も視野に入れており、いっそうの成長を目指してさらなるレベルアップを図っていく考えだ。
店舗データ
店名 | とんこつらーめん 七志 町田店 |
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住所 | 東京都町田市原町田6-18-17 |
アクセス | 小田急線町田駅より徒歩3分、JR町田駅より徒歩5分 |
電話 | 042-724-1774 |
営業時間 | 月~土11:00~翌2:00、日11:00~翌1:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 25坪・27席 |
客単価 | 930~1000円 |
運営会社 | 株式会社ナナシフードサービス |
関連リンク | 七志 |