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新・編集長コラム

ネオ酒場の次なるトレンドは「エモ酒場」。若者が熱狂する“エモい”酒場とは?

PROFILE

大関 まなみ

大関 まなみ
1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月よりフードスタジアム編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100軒を取材する。


酒場は「ネオ」から「エモ」へ!

フードスタジアム発「ネオ大衆酒場」のキーワードが定着して久しい。2015年に登場した「大衆酒場ビートル」を皮切りに、多くのネオ大衆酒場が登場。古典的な大衆酒場に現代的なエッセンスを加えた酒場スタイルは一躍、飲食業界のトレンドとなった。

それから数年が経ち、次なる酒場トレンドとして私が提唱したいのが「エモ酒場」だ。その名の通り“エモい酒場”のこと。「エモい」とは、英語の「emotional(エモーショナル)」が由来の若者スラングで、厳密な定義はないが、感情が揺さぶられたとき、気持ちをうまく表現できないときなどに使われ、三省堂の「今年の新語 2016」で2位にランクインしたことからZ世代の若者を中心に広まっていった。


※意外と反響のあった「エモ酒場」提唱のツイート

レトロカルチャーが生む「エモさ」

こうした「エモさ」がいま酒場にも波及している。このエモ酒場の代表格が「不純喫茶ドープ」だ。昭和の純喫茶にイマドキ要素を取り入れた喫茶&酒場のハイブリット業態で、「せつない気持ちのゴミ捨て場」というキャッチーなフレーズを謳う。ウリはレトロな仕立てのクリームソーダやプリン、ナポリタンなど。喫茶店として利用できるのに加えて、クリームソーダに焼酎を入れた「クリームソーダハイ」も提供し、その他、各種アルコールやつまみが揃い酒場としても楽しめる。店づくりではアートディレクションに力を入れ、若者に人気の著名デザイナーを起用。店内の至るところに写真映えするアイコンを取り入れ、それが「エモい」と話題を呼んでいる。

こうした「レトロカルチャー」は昨今の若者トレンドを分析する上で欠かせない要素の一つだ。酒場以外の事例として、埼玉・所沢の西武園ゆうえんちは「昭和レトロ」をテーマにリニューアルし大盛況になるなど、各分野でレトロカルチャーの波が広がっている。「エモい」には「ノスタルジーを感じる」という意味合いも含まれており、エモさを求める若者にレトロカルチャーが流行るのは必然かもしれない。

アパレル的センスとレトロカルチャーの融合が生む「エモ酒場」

そもそもネオ大衆酒場も、古典的な大衆酒場に現代的なエッセンスを加えた酒場と定義され、ノスタルジーという点でネオ大衆酒場とエモ酒場は共通する。しかしエモ酒場にはそこにアパレル的センスが加わり、よりイマドキ感を追求した酒場であると私は考える。

昨今はアパレル出身オーナーによる酒場が盛況だ。三軒茶屋「マルコ」や、北千住「アタル」のような今をときめく人気酒場のオーナーはアパレル出身。内装や食器、ロゴデザインなどにアパレル的センスを取り入れた店づくりがヒットの一因になっている。先述の「不純喫茶ドープ」も、アパレルとコラボしたグッズ展開を行っている。6月にオープンしたばかりの注目の酒場、渋谷「半地下」もアパレル関係者が店づくりに絡んでいるようで、「エモい」アートディレクションが店の至るところになされ、オープンするや否や20代の男女で満席状態が続いている。

「エモさ」はアパレル的センスとも関係性が深い。最先端のオシャレなトレンドをつかむのがうまいアパレル的センスを持ったオーナーが、レトロカルチャーと相まって「エモ酒場」を盛り上げている。今年のトレンドはずばり「エモ酒場」。今後も続々とエモ酒場が登場するに違いない。

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