渋谷・桜丘の夜に帰ってきた伝説の酒場「富士屋本店 サクラステージ」。スタンディングとビストロの2つの顔でスケールアップして登場、新時代の渋谷との共生を目指す

代々続けてきたスタイルを愚直に守って盤石な店作りを目指す

12月のプレオープン以来２カ月となる同店。順次開業のため、まだ施設内で営業しているテナントは少なく、施設に関しての告知も大々的には行われていない。それでも「思いのほか、多くのお客様に来ていただいています」と加藤氏。往年のファンのみならず、周辺の会社に勤めるオフィスワーカーたちの間で評判が口コミで広がっているという。ていねいに仕込んで作られた料理がそろいながら、価格はリーズナブル。「それが富士屋本店だと思うんです。新しい商業施設内の営業だからといって、昔から代々続けてきたスタイルは変えたくないですね。欲を出さず、正直に取り組んだことが、良い結果に繋がっているのかなと思います」と好調な出だしの理由を加藤氏は語る。

渋谷駅桜口側の再開発が終われば、次は「富士屋本店ワインバー」「立呑　富士屋本店」がある桜丘町さくら坂周辺の再開発が将来予定されているという。激動の渋谷において、加藤氏は「まずはこの店を盤石な体制で強い店にしたい」と語る。「コロナ禍を経験して、広げるのが全てではないと思うようになりました。これが最後のチャレンジと思い、しばらくはここで息の長い商売をしていこうと思います」（加藤氏）。新時代の渋谷の新たな名物酒場として、今後に注目していきたい。

右から2番目が加藤賢一郎氏。スタッフの方々と。背景は天井まで届くウォークインのワインセラー

（取材＝小田中雅子）

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