中目黒に「味のごんどう」がオープン。新丸子「酒場 雷電」の2店舗目は「普通の最高峰」を目指す。オーナー中谷氏が思い描く“アナザースカイ酒場”とは？

「いい意味で期待を裏切る」、どこにでもあるメニューに潜む丁寧な仕事

中谷氏が掲げるのは「普通の最高峰」を極める酒場。「僕が尊敬する飲食店オーナーさんの口癖は『普通こそ最高』。ブームはいつか飽きられる。狙うのは、普通の最高峰。どこにでもあるものがちゃんとしている。例えば里芋の六方がキレイに剥けている、とか、すが入っていない、とか、刺身を頼んだら天然モノだった、とか。なんてことない料理をあまり期待をせずに頼んだら、いい意味で期待を裏切る店にしたかったんです」と中谷氏。

その言葉通り、品書きに並ぶのは奇をてらわない品々だ。得意の海鮮は、刺身は旬の鮮魚をその時々で1品500～1500円。あん肝、かにみそ、明太子など酒の進む肴（500円～）や、魚の焼き物（600円～）、「ハムフライ」「里芋の土佐揚げ」などオーダー後にパン粉を付ける揚げ物（400円～）から〆のごはん、汁物、あてまきまで定番を中心に揃える。ドリンクは「生ビール 一番しぼり」（生中550円、生小450円）から、ハイボール、酎ハイ、果実酒、焼酎、グラスワインなど一通りで1杯450～550円。加えてその日の日本酒が充実し、一合750円～。

メニュー構成のポイントについて、「うなぎの白焼きやきんきの煮付けなどの1品3000円の高級ラインの品も、最悪まかないで食べてもいいと思っていくつかラインナップしておいて、見る人が見たら『この店はこんな本格的なものも出せるのか！』と思わせるためのフック。その一方で、1本350円のつくねなどの安価な品は、あまり店のことを把握せずに入ってきてしまった若い人の逃げ道です」と中谷氏。これは修業時代の教えだという。

薄利多売型から方向転換したとはいえ、単価は、軽い飲みであれば3000～4000円になるような価格設定をしている。ただし、実際にはお客にはゆったりと過ごしてもらうことで5000円以上になることを狙っている。「ちょい飲みではなく、ゆっくり過ごす店として使ってほしい。いい意味で期待を裏切っていくことで、『お会計は思ったより行ったけど、満足だしいっか』というのが理想です。スタッフの給料を上げていくためにも、『酒場 雷電』のような薄利多売の回転の店だけでは、今後、経営面でも厳しいと改めて思いました」。

魚真譲りの刺身は自慢の一品。「6種盛り合わせ」は1切れずつで1000円

鶏の首皮を食感のアクセントに加えた「つくね」。青のりをかけて食べるのがオススメ

店舗データ