コロナ禍でも大勢のお客を集めていた猿屋一家に惚れ込んだ
「国分寺猿酔家(さすけ)」や「猿狗楽(さくら)」など、国分寺を中心に居酒屋を展開する猿屋一家(東京都国分寺市、代表取締役:藤野裕章氏)。“35歳定年制”を提唱する同グループでは、独立支援に力を入れており、これまでに複数の若手経営者を輩出してきた。「酒場猿子(さかばえてこ)」は9月3日までこの地で営業していた「串焼きスタンド猿子」のスタッフだった田村氏が引継ぎ、業務委託のかたちで同店を運営する。
田村氏は作業療法士や営業職、引きこもり期間など、紆余曲折を経て飲食の道へ。学生時代に学園祭で作った焼きそばや、被災地でボランティアスタッフに料理を振る舞った経験がきっかけの一つになったのだとか。猿屋一家との出会いは2020年の夏頃。「前の猿子(串焼きスタンド猿子)の周年祭をやると聞いて来てみたんです。当時、コロナ禍真っ只中で本当に大変な時期だったはずなんですが、ここで行われたマグロ解体ショーに、100人くらいのお客さんが集まっていて。クレージーな熱量に衝撃を受けて、ここで働きたいと思いました」。
しかし、就職したはいいものの、ホールでもキッチンでも要領が悪く、なかなか仕事が覚えられず、さらには人間関係にも悩まされ、一度は“飛んで”しまったことも。「社長がそんな僕を自宅に呼んでくれて、話していたらもうちょっと頑張ってみようと思いました。この人について行ったら、自分でもやれると思えたというか。あとは、社長が住んでいるタワーマンションからの景色がすごくて、いつか自分も…と憧れました(笑)」。
再び働きはじめ、あるとき串焼きで初めて褒められたのを機に、ようやく仕事に楽しみが見出せるようになったという。「ずっとポンコツ、ポンコツと言われ続けていたのが、串焼きだけは上手いと言われ、仕事を任されるようになって。それまでそんなことがなかったから楽しくて…。誰よりも早く、朝10時に出勤して、朝から一人で仕込んでいました。それが約1年前のことです」。
その後、「串焼きスタンド猿子」を統括していたスタッフの独立が決まったことで、老朽化した店舗の改装も兼ねてリニューアルすることに。社長の藤野氏から「誰か、リニューアル後の店をやってみないか?」との呼びかけがあった際、田村氏は迷わず手を挙げた。「子どもができたこともあって、ますます頑張ろうと思っていたタイミングでした。もしかしたら社長も、そんな僕を応援して任せてくれたのかもしれません」。リニューアルにあたって、店内はフルリフォーム。デザイナーと何度も話し合ってイメージを共有し合い、カウンターをメインにした、どこか武骨で“昭和”っぽさを感じさせる空間を完成させた。
店舗データ
店名 | 酒場 猿子(さかば えてこ) |
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住所 | 東京都国分寺市本町3-10-16 工藤ビル 1F |
アクセス | JR国分寺駅から徒歩3分 |
電話 | 042-312-0820 |
営業時間 | 17:00~24:00(L.O.フード23:00、ドリンク23:30) |
定休日 | 日曜 |
坪数客数 | 約15坪36席 |
客単価 | 3000円 |
運営会社 | 株式会社猿屋一家(同社から田村皓平氏が業務委託を受けて運営) |
オープン日 | 2022年11月15日 |
関連リンク | 酒場 猿子(Instagram) |