営業職への転身から独立へ。1店舗目は繁盛店に成長し、満を持して2店舗目を開業
当時、中村氏が売っていたのは飲食店に特化した広告商材だった。営業職でも成約へのハードルが高い無形商材に挑戦することで、自分自身の実力を見定めたかったという。「これが売れなかったんですよ。自分の力なんてこんなものか、と絶望してしまって」。しかし、高い壁への挑戦は無駄ではなかった。成績不振に陥っている中村氏に、当時の上司が今後の方針を決める面談を提案。この上司との対話が、その先の独立への大きなカギとなる。「その方は丁寧にヒアリングをしてくれて、私の強みやできることを引き出してくれました。僕の実家が農家というのはもちろん強みだし、接客やスタッフ教育には自信がある。料理だってできないわけじゃない。そう考えているうちに、飲食店の開業が、自分が本来やりたかった『北海道野菜の魅力を発信する』ことへの近道だと気づいたんです。そして、自分だけでは難しいけれど、私の強みを引き出してくれた彼とならば形にできる。そう思って、一緒にやってくれないかとお願いしました」。
かくして、中村氏はfavyを退職し、先述の上司とともにFarchを設立。2020年3月、麻布十番に「スープカレーKENASHIBA」を開業した。最初の1年間は苦戦を強いられたものの、看板の「白いスープカレー」をはじめとした北海道産を中心にたくさんの野菜を使った見目麗しいカレーが話題を呼び、メディアへの露出が増加。席数24、ランチ限定の営業ながら、月商70万円~80万円の繁盛店となった。そして、2021年も終わりに差し掛かる頃、中村氏は2店舗目の開業を決意する。「今後、展開を広げていくにはランチの売上だけでは足りません。それに、店舗を増やせば北海道野菜の仕入れも増やすことができる。やるべきこととやりたいことが合致しているんですね」。その後、初期投資と固定費を抑えるため、念入りに物件を精査。「2店舗目も、メディアで拾われるような、話題性の高い店にしたい。けれども、それを作り上げるまではある程度時間がかかるし、売上面でも苦しい時期があることは、1店舗目の経験から学んでいる。固定費の削減は絶対条件でした」。実に1年近く物件を探し、田町や三田といったオフィス街近くの居抜き店舗を契約。近隣のサラリーマンを中心に月数回利用できるリーズナブルな酒場という方向性を決め、11月1日、「肉酒場 ケナシバ」を開業した。
店舗データ
店名 | 肉酒場 ケナシバ |
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住所 | 東京都港区芝5-2-4赤阪ビル2F |
アクセス | 地下鉄三田線・浅草線三田駅A8出口より徒歩3分、JR田町駅西口より徒歩8分 |
電話 | 03-6665-8660 |
営業時間 | 【月~金】ランチ11:30~15:00、ディナー17:00~24:00【土日】17:00~23:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 約14.5坪 26席 |
客単価 | 4500~5000円 |
運営会社 | 合同会社Farch |
オープン日 | 2022年11月1日 |
関連リンク | 肉酒場ケナシバ(HP) |
関連リンク | 肉酒場ケナシバ(Instagram) |