放送作家から行きつけの居酒屋のスタッフに転身。窮地を機転とガッツで乗り切った飲食人生の第一歩
中目黒駅から山手通りを曲がり裏路地へ入ると、煌々と光る赤ちょうちんが目に飛び込む。軒先には、「ひとり呑みしやすい店」と書かれた表札が。「この表札の影響かわかりませんが、おひとりさま、多いですよ」と、オーナーの横田憲昭氏は語る。店舗の名は「風見堂」。横田氏が放送作家の仕事をしていたときのペンネームに由来する。
横田氏の出身地は愛知県名古屋市だ。「22歳の頃、放送作家になるために上京し、バラエティ番組の制作を4年間ほど続けていました」。この当時に通っていたのが、2022年5月まで現在の「風見堂」の物件で営業を続けていた「マルゲン商店」だ。「ある時から、放送作家を続けるかどうか迷うようになって、オーナーの黒田哲男さんに相談していたんです。すると『一緒に店をやらないか』と誘っていただきまして。聞けば、黒田さんは店舗展開を考えているため、人材が必要ということで、そこで私に白羽の矢が立ったというわけですね」。こうして放送作家の道に一区切りつけ、「マルゲン商店」で働き始めた横田氏だったが、すぐさま試練が訪れる。「当時、黒田さんは姉妹店に立っていて、『マルゲン商店』では別の人物が店長を務めていたのですが、私の入社3日目にその方が突然退職してしまったんです」。黒田氏は姉妹店を開けなければならず、『マルゲン商店』を開店するためには横田氏が立つしかない。しかし、横田氏は飲食経験3日目の素人である。黒田氏から店を開けるかどうか問われた横田氏は、迷った末に「できるかぎり、やってみます」と、答えた。「オーダーが入るたびに姉妹店に電話をかけて作り方を確認したり、習っていない料理を自分なりのカスタマイズで作ってみたり、できないものはできないと言い切ったり。もともと店の常連だったということで、お客さまも知っている顔ばかり。めちゃくちゃ助けてもらって、どうにか乗り切ることができました。大変だったけれど、楽しかったですね」。苦心しながらもお客の心を掴み、営業を乗り切った横田氏は、次の日以降も店舗を任されることとなった。
店舗データ
店名 | 風見堂 |
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住所 | 東京都目黒区上目黒3-1-14メイツ目黒101 |
アクセス | 中目黒駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6451-0934 |
営業時間 | 15:00~23:00 |
定休日 | 月曜 |
坪数客数 | 約7坪16席 |
客単価 | 3500円 |
オープン日 | 2022年6月10日 |
関連リンク | 「風見堂」(Instagram) |