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外苑前のトラットリア「ドゥエ・コローリ」が業態変更し、自由が丘で新たに居酒屋「ニショク」として開業。コロナ禍を視野に入れたイートイン&テイクアウトの二毛作スタイルで地域密着を目指す

9月11日、自由が丘に居酒屋「ニショク」が開業した。運営は都内でイタリアンや居酒屋を展開するコローリ。共同代表の渡部武志氏・山口高志氏は新型コロナウイルスの影響と今後を見据えた結果、同社の1号店である外苑前のトラットリア「2colori(ドゥエ・コローリ)」の業態を大きく変更し、自由が丘に場所を移して新装オープンした。イートインとテイクアウトの2本柱やQRコードで読み込むメニューブックの導入など、新しい生活様式に基づいた店作りのポイントを渡部氏に伺った。

九品仏川緑道とマリ・クレール通りを抜けた先に見えてくる。店名は「2colori(ドゥエ・コローリ)=2つの色」の名を引き継ぐ意味も込めているほか、「イートインとテイクアウト」「1階と2階利用」「立ち飲みと着席」など様々な“2色”を掛け合わせている
写真は1階部分。手前はコールドテーブルを利用した立ち飲みスペース、奥はキッチンと一体化したカウンター席。階段上の2階はカウンターとテーブル席を設えており、ジャズがかかる落ち着いた雰囲気。それぞれ違うシチュエーションを演出している
旬の食材を使った揚げ物は5種・7種・10種の盛り合わせから選べる。その他、「ラムカツ!!」(880円)や「鴨わさと九条ネギ 野沢菜和え」(990円)など、和やエスニックの要素も取り入れた多彩なメニューを展開する
ドリンクの目玉はレモンサワー。「レモンザムライ」こと鈴木慶洋氏とコラボした毎月変わる特製レモンサワーは上下2層に分かれており、店名「ニショク」にちなんだ一杯。ほか、2種類のレモンサワーも。その他、ハイボール、生ビール、割りもん、自然派ワイン、日本酒、焼酎などを揃える
テイクアウト用のパスタは10品を用意。写真は、バジル、チーズ、アーモンドソースを使った「ジェノヴェーゼ」(972円)。パスタは老舗製麺所「浅草開化楼」が監修した低加水生パスタほか、ショートパスタも選べる
写真左から、コローリ共同代表の山口高志氏と渡部武志氏。山口氏は料理を、渡部氏はサービスとマネジメントを担当。最初の店「ドゥエ・コローリ(2つの色)」の名の通り、二人三脚で計4店舗を運営する

(取材=田窪 綾)


「今後を視野に入れた強い店作りを」。早い段階から動き出す

オーナーの渡部武志氏・山口高志氏はともに、飲食企業のWDI出身。その後、同社の岡田章氏が立ち上げたセレソンの創業メンバーとして活躍する。ソムリエ資格も持つ渡部氏はサービスやマネジメント分野で、山口氏は料理人として、「Trattoria Tanta Bocca」など多くの店の立ち上げを経験してきた。

その2人が独立し、2012年に開業したのがトラットリア「2colori(ドゥエ・コローリ)」。肉の炭火焼や自然派ワインを中心にした同店は、17坪29席の広さで月商700万円を売り上げるほどの人気店へと成長。その後、外苑前にワインバル「+ebi-ro(エビイロ)」、池尻大橋にイタリアン「+ruli-ro(ルリイロ)」、外苑前にモツ酒場「kogane(コガネ)」と3店舗をオープンさせた。

しかし、新型コロナウイルスの影響で店のあり方を考えさせられる事態に。渡部氏は「『2colori』は地下にあり間口も狭い。この状況で営業を続けるとなると、換気や感染対策など多くの課題がありました」と話す。感染拡大が本格化する前の2020年3月にはすでに移転の検討を始めた。参考にしたのはコロナ禍でも売り上げを伸ばしている系列店だ。

「外苑前のビル1階にある『+ebi-ro』は2014年、古民家を改装した2階建てのビストロ『+ruli-ro』は2016年開業。どちらも5年ほど続くお店で地域に根付いています。特に『+ruli-ro』は緊急事態宣言が出された4~5月でも80%ほどの売り上げがありました。それを支えていたのがテイクアウトとウーバーイーツ。新型コロナの影響はまだ続きそうだと判断し、人の入れ替わりが激しい都心ではなく、地域に根付きやすい住宅街のエリアで場所探しを始めました」。

見つけたのは自由が丘のバル跡地。「その土地ごとに合わせた業態を展開するのが私たちの店の特徴です。リサーチを重ねた結果、自由が丘ではトラットリアではなく、近所の方やお勤めの方が気軽に立ち寄れるような居酒屋にしようと業態変更を決めました」と渡部氏。

イートインだけでなくテイクアウトを併設。強みを生かしたメニュー展開

1階はキッチンの作業台と繋がったカウンター席のほか、コールドテーブルを利用した立ち飲みスペースを備える明るい空間。階段の先にある2階はジャズが流れる落ち着いた雰囲気で、フロアごとに趣がまったく異なるのも魅力のひとつ。

ドリンクはリーズナブルに楽しめるレモンサワーやハイボールをメインに据えており、それに合う揚げ物やアラカルトなどを構成。かねてより親交のあった「レモンザムライ」こと鈴木慶洋氏に監修を依頼し、店名にちなんで2層になる月替りの「レモンザムライの今月のレモンサワー」や「にごりレモンサワー」(各660円)など3種類。自家製ガリをミキサーにかけ、大葉を潰しながら飲む「自家製ガリと大葉サワー」 (660円)や、濃縮したシロップを使った「特濃アールグレイ割」(605円)など、レモンサワーを含めたサワー類は計11種を展開。ハイボールは10種、その他生ビールや日本酒、自然派ワインなども揃える。

フードはイートイン・テイクアウトでそれぞれ別のラインナップを用意。イートインではコロッケやハムカツほか、インゲンやキノコなど季節の素材を一皿にのせた「本日のおまかせ揚げ物盛り」(5種990円・7種1,320円・10種1,650円)がイチオシ。また、系列店も含め上質な肉が仕入れられる強みを生かし、「リードヴォー(仔牛の胸線)とトウモロコシのかき揚げ」や「ラムカツ!!」(各880円)など肉系の一品料理も充実する。

テイクアウトはイタリアの揚げ物「フリット」と10種類のパスタが注文できる。フリットはカボチャやナスなど数種類を合わせた「野菜のフリット盛り合わせ」(648円)を始め、「魚介のフリット盛り合わせ」(756円)「ミックスフリット盛り合わせ」(972円)からなる3種類。ほか、モッツアレラチーズとバジル、トマトソースを包んだ揚げピザ「パンツェロッティ」(864円)もある。パスタは「牛タンのボロネーゼ」「釜揚げシラスのペペロンチーノ」(各972円)など価格を統一。浅草開化楼が監修した低加水パスタを採用しており、ソースを吸いにくいためもちもち感が持続する。(上記記載のメニューはすべて税込み価格)

1階の立ち飲み利用客にはアルコール類が一律200円引になるサービスも実施。「テイクアウトの料理が出来上がるのを待つ間、一杯やってもらえたら」。現在ウーバーイーツも申請中だ。

ただ渡部氏は「今のメニューが最終形とは考えていません。今後も自分たちのエッセンスを大切にしながら、より良い料理を提供していきたいです」と話す。

これらのメニューはショップカードに記されたQRコードを読み込むと表示される仕組みだ。渡部氏は「紙のメニューブックの使い回しを防ぐための策です。また、お客様が自宅に戻られた後、何を食べたかメニューを再確認していただく際にも役立つのではないかと思います」。また、公式LINEアカウントに店の情報を集約させており、友達登録するとWebサイトの予約やInstagramにもアクセスできるようにしている。

10月からランチ営業をスタート。自由が丘に根付くお店に

開業から1ヶ月が過ぎ、現在のLINEフォロワーは700人ほど。渡部氏は「今後は雨の日割引など、お得な情報も配信していきたい」と笑顔を見せる。
10月からはランチ営業もスタートさせた。テイクアウトはそのままに、イートインでは定食をメインに展開する。「地域に根付くまで、ある程度の時間がかかることは覚悟しています。なんとか乗り切っていきたいですね」と渡部氏。

渡部氏・山口氏が二人三脚で築き上げてきたコローリは現在、13人の社員を抱える。店を増やしてきたのは、育ってきた社員に活躍の場を作りたかったから。これ以上会社を大きくするつもりはなく、「今後はお店の発展とともに、社員の満足度アップに注力していきたい」と渡部氏は言う。そのために、月8休に増やしたり、勤務時間の短縮を行なったりと、長く安心して働ける職場環境づくりに取り組んでいる。

店舗データ

店名 ニショク
住所 東京都世田谷区奥沢5-28-15 昇栄ビル101

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アクセス 東急東横線・大井町線 自由が丘駅から徒歩4分
電話 03-5755-5064
営業時間 【月〜金】ランチ11:00〜15:00(LO 14:30)、ディナー17:00〜23:30(LO 23:00) 【土・日・祝】11:30〜23:30(LO ランチ14:30、ディナー23:00)
定休日 無休
坪数客数 1階/12坪カウンター8席、立ち飲み席約10名、2階/12坪カウンター10席、テーブル20席
客単価 4000円
運営会社 株式会社コローリ
オープン日 2020年9月11日
関連リンク LINE ID:@253otlcf
関連リンク ニショク(HP)
関連リンク ニショク(Instagram)
関連ページ ニショク(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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