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坪月商50万の繁盛店「日本酒バル 中野青二才」の「はなれ」がオープン。日本酒と餃子の注目業態で、日本酒の新たなプレゼンテーションにも挑戦!

9月12日、中野駅南口の通称・裏レンガ坂に「青二才 はなれ」がオープンした。レンガ坂にある坪月商50万円の繁盛店「日本酒バル 中野青二才」から徒歩30秒ほどの場所で、青二才グループの5店舗目に当たる。「青二才 はなれ」は、「ひとくち餃子」を看板商品にした日本酒と餃子の注目業態。日本酒の売り方も斬新だ。用意する12種類の日本酒はすべてPBで、それぞれに料理をペアリングした新たなプレゼンテーションに挑戦している。

中野のレンガ坂の裏通りに立地。2階建ての木造の建物をリノベーションし、1・2階に客席を設けた
1階にオープンキッチンのカウンター席を設ける。入口近くに、もう一つ、カウンター席があり、その周辺で立ち飲みの利用も可能。日本酒の一升瓶のオブジェは青二才の定番スタイル
看板商品の「ひとくち餃子」。梅皿にのせて供される7種類のタレで味変を楽しめる
PBの日本酒を12種類用意。瓶に貼る手書きのラベルには、味わいの特徴とともにペアリングの料理も記載している。日本酒を「柴又ラムネ」で割って飲むスタイルも提案して話題だ
左から代表の小椋道太氏、「青二才 はなれ」女将の比嘉みなみ氏とスタッフの西岡蓮太郎氏

(取材=亀高 斉)


オープン7年目の今も大人気の「日本酒バル 中野青二才」

青二才グループの代表・小椋道太氏は、2007年、阿佐ヶ谷に「青二才」を創業(創業店は建物の老朽化で閉店。現在、阿佐ヶ谷では2016年に出店した会員制ダイニング「青二才」を経営)。2013年に中野のレンガ坂に出店した「日本酒バル 中野青二才」でさらに人気を集め、日本酒ブームの火付け役と言われた存在だ。2015年には神保町にも出店している。

「日本酒をもっとカジュアルに」をモットーにした「日本酒バル 中野青二才」は、オープンから7年経った今もまったく人気は衰えていない。中野の人たちの地元飲みニーズもあって、コロナ禍でも前年より売上が上がっており、最近は坪月商50万円(13坪)に達している。これだけの繁盛店だけに、ある意味、「はなれ」はいつオープンしても不思議ではなかった。実際、裏レンガ坂の物件が空くことを今年初めに知った小椋氏は、すぐにその店のオーナーに会って話をし、3月には大家と本契約。念願だったレンガ坂エリアの新物件を手にした。

看板商品は7種のタレで味変を楽しめる「ひとくち餃子」

しかし、すぐに出店とは至らなかった。今年3月と言えばコロナ禍が深刻化した時で、このタイミングでの新規出店は難しいと判断したからだ。そうした中で小椋氏は物件の有効活用を思いつく。レンガ坂エリアの飲食店のメニューをデリバリーする「ローカルフードデリバリーサービス TRANS TOKYO 中野レンガ坂」を立ち上げ、そのデリバリー拠点にしたのである。このデリバリーには最大14店舗が参加し、8月まで実施。「正直、デリバリーを採算ベースにのせるのは難しかったですが、今回立ち上げたサイトを使って今後もいろいろなことができそうです」と小椋氏は話す。

こうした経緯があって当初の予定より遅れたものの、「青二才 はなれ」は9月12日に裏レンガ坂にオープン。「『日本酒バル 中野青二才』が上手く行っているので、まったく違うことをやる必要はなかった。かといって、まったく同じではない」(小椋氏)という「青二才 はなれ」が看板商品にしたのが「ひとくち餃子」(8個・500円)だ。元々、「日本酒バル 中野青二才」で餃子が人気だったことが理由の一つだが、「青二才 はなれ」では看板商品として魅力を強化。「ひとくち餃子」に7種類のタレを付け、味変を楽しめるようにした。7種類のタレは①旨塩/すだち②干椎茸風味の合わせ酢/生胡椒塩漬け③練り七味④食べるオリーブオイル⑤辛ニンニク味噌⑥きざみパクチーソース⑦日替わりたれで、梅皿にのせて提供。1人前8個の餃子に対して7種類のタレが付くので、「超味変」とも言えるインパクトがある。豚挽肉、玉葱、キャベツ、食感に変化をつけるための豚ハツなどで作る餃子は、どのタレにも合うように個性が強過ぎない味わいにしている。

品数を絞った日本酒に、「PB」の新たな価値をプラス

「青二才 はなれ」の店舗は築50年以上の木造の建物の1・2階。建坪は5坪ほどしかなく、1・2階のフロアを合わせても10坪ほどの小さな店舗だが、吹き抜きを設けて効果的に開放感を演出している。1階にカウンター席、2階にテーブル席を設け、1・2階ともに立ち飲みができるスペースもある。小さな店舗でも多様な利用シーンに対応できるようにしており、古い木造の昭和感と今時の酒場感を融合した内装デザインも印象的だ。

小さな店舗で調理場も狭く、日本酒や料理は品数を絞らざるを得なかった「青二才 はなれ」だが、そのハンデを感じさせない魅力的な売り方を工夫している点も見逃せない。「青二才 はなれ」が用意する日本酒は12種類。多彩な日本酒を揃える「日本酒バル 中野青二才」に比べるとはるかに少ないが、その12種類はすべてPB(プライベートブランド)だ。青森、福島、新潟、栃木、山梨、三重、香川、山口の12の蔵元から仕入れている。「コロナ禍の影響を受けて出荷できなかった春物や夏物の日本酒も、青二才のPBとして仕入れさせてもらい、僕たちの手書きのラベルを貼らせてもらっています。一からPBの日本酒を作るとなるとロットが大きくなってしまいますが、この方法なら無理なくPBの種類を増やし、僕たちのアイデアを加えて日本酒を提案できる。蔵元さんにも僕たちにもメリットがあります。出荷できなかっただけで、モノはいい日本酒ばかり。買いたたくようなこともせず、通常値で仕入れています」(小椋氏)。

日本酒に詳しくなくても気軽にペアリングを楽しめる!

日本酒の提供価格は、「日本酒バル 中野青二才」と同様に分量ごとの均一価格で、「三勺(54ml)390円」「五勺(90ml)560円」「一合(180ml)1100円」。12種類のPBの日本酒には、それぞれペアリングの料理を用意してメニューに記載している。「若駒」(栃木県)×「ビターチョコビスケット 塩マーマレード添え」(380円)、「武の井」(山梨県)×「みどりのシンプルサラダ」(650円)、「松の寿」(栃木県)×「どっさり薬味の牛しぐれ煮」(680円)、「陸奥八仙」(青森県)×「鯛のカルパッチョ ローストナッツと塩昆布仕立て」(880円)、「山城屋」(新潟県)×「酒粕仕立てのタンドリーチキン」(720円)、「天明」(福島県)×「梨の白和え マスカルポーネ仕立て」(580円)、「ロ万」(福島県)×「アサリのバター酒蒸し」(680円)といった具合だ。

この売り方は、日本酒に詳しくない人でも気軽にペアリングを楽しめる。自分が食べたい料理を選べば、相性の良い日本酒が一目で分かるようになっているからだ。日本酒も料理も品数を絞りながら、「気軽にペアリングを楽しめる」価値を巧みに生み出しているのである。また、日本酒の瓶に貼る手書きのラベルにも、それぞれの味わいの特徴とともにペアリングの料理を記載。ペアリングの料理まで記載したラベルは斬新で、まさに日本酒の新しいプレゼンテーションだ。他にも同店では、日本酒を「柴又ラムネ」で割って飲む新しいスタイルを提案(700円)。昔ながらの製法で作られている「柴又ラムネ」は炭酸の爽快感と甘さが絶妙なバランスで、合わせる日本酒も相性の良いものを厳選しており(取材時は「舞美人外伝/福井」)、その美味しさがすでに話題になっている。これまでにも均一価格の売り方やシャンパングラスでの提供で、「日本酒をもっとカジュアル」にしてきた小椋氏。そんな小椋氏の日本酒ファンを増やす新たなアイデアが詰まった注目店が「青二才 はなれ」だ。

店舗データ

店名 青二才 はなれ
住所 東京都中野区中野3-35-5

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アクセス 中野駅から徒歩2分
電話 03-6881-0886
営業時間 【平日】17:00~25:00(LO24:00)【土日祝】15:00~25:00(LO24:00)
定休日 不定休
坪数客数 10坪・13席(他に立ち飲みコーナー)
客単価 3000円
運営会社 株式会社青二才
オープン日 2020年9月12日
関連リンク 青二才 はなれ(FB)
関連リンク 青二才(HP)
関連リンク 青二才(Instagram)
関連ページ 青二才(記事)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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