仲卸事業の豊洲市場への移転が再オープンのきっかけ
「鮪成人」は元々居酒屋業態で、2010年からウイッツ(東京都中央区)の母体となる鮪の仲卸会社が東銀座で運営し、2016年ごろに一時閉店していた。再オープンするきっかけとなったのは、築地から豊洲への市場の移転だったという。店舗マネージャーの佐藤陵氏は「鮪の仲卸事業の本部は豊洲へ移ったのですが、配送の都合上、築地場外周辺に拠点を作ることになりました。せっかく作るなら、配送拠点でありながら鮪の小売り店、立ち飲み居酒屋としても営業し、鮪の美味しさを広める場所にしたいと考え、『鮪成人』を再始動させることにしました」と話す。それに伴い、飲食事業はウイッツとして子会社化、配送拠点ができると同時に再オープンを果たした。その後、人手不足による休業期間や新型コロナウイルスの影響による小売り営業のみの期間を経て、現在、日中は鮪と弁当の販売、17時以降は立ち飲み営業を行なっている。
店は築地駅から1分ほど。築地場外への配送拠点としてほどよい距離にあり、飲食店としても視認性の良い角地の物件を取得した。内装は作業場のようなイメージし、元洋食店をスケルトンにした後、築地市場で使用していた機材を再利用して仕上げた。ライトはそのまま証明として使用、大きな鮪用の冷蔵庫は中央に配置し、DIYで立ち飲みカウンターを作り上げた。
仲卸で磨き上げた腕で実現するコストパフォーマンス
フードメニューは仲卸の強みを活かした品が並び、コンセプトの通り、鮪は天然で生の本鮪にこだわる。鮪の希少部位の脳天やカマトロなどが盛られた「鮪刺身3点盛り」(1500円)と「まぐろブツ」(600円)が2本柱の看板メニュー。鮪料理は「鮪の脳天バター醤油焼き」(500円)、「鮪屋の煮込み」(350円)など、刺身類も合わせて8種類以上を揃え、醤油は井ゲタ醤油(島根県出雲市)のものを使用する。10年以上、仲卸に関わってきた佐藤氏は「なかなかこの値段では食べられないようないい鮪を使っています。その日によって価格も変わりますが、高級店と同じクオリティで2/3くらいの価格のものも」と自信をのぞかせる。その他の魚料理は「たこのやわらか煮」(400円)、「まんぼうホルモン焼き」(400円)、「煮穴子焼き」(500円)など、日替わりで20種類近く用意。佐藤氏や料理人が目利きを活かして仕入れ、腕を振るう。
ドリンクは「生ビール」(500円)や「ハイボール」(400円)、自家製シロップ使用の「梅酢サワー」(500円)などのサワー類を500円以下の価格で揃えつつ、日本酒を10種類以上揃える。銘柄は、海外向けの鮪のプロモーションで親会社とタッグを組んだ経歴から、福井の酒造が中心。「黒龍(特吟)」(600円)、「紗利(純米大吟醸五割諸白)」(600)円など、魚料理に合うものを選び抜いた。
鮪を使用したペットフードで飲み客以外も集客
現在、客層は近隣住民が多く、客単価は2000〜3000円ほど。常連もつき、長時間にわたって立ち飲みする猛者もいるという。また飲食目的ではなく、ペットフードを求めて来店する人もいる。「鮪の血合いの部位を使って、無添加のペット用ジャーキーを作ってみたんです。なかなかの評判でペットを飼う人の間で口コミが広まり、これをきっかけに来店してくださるお客様もいます。散歩のついでに店に立ち寄ってくださったり」と佐藤氏。意外な方法で飲み需要以外の客層も集客している。
今後は、日中行なっている鮪の小売りの認知度を拡大させ年末商戦に備える予定だ。さらに人気のペット用ジャーキーは通販展開も検討中。佐藤氏は「好評いただいて2店舗目も展開できるようならうれしいが、まずは売上をアップさせ、店を軌道にのせることが第一」と話した。
店舗データ
店名 | 鮪成人(マグロナルド) |
---|---|
住所 | 東京都中央区築地2-6−5 築地UKビル 1F |
アクセス | 築地駅から徒歩1分 |
電話 | 03-6278-8898 |
営業時間 | 11:30〜14:00、17:00~22:00 |
定休日 | 日曜、祝日 |
坪数客数 | 12坪14名収容(スタンディング8名、座り6席) |
客単価 | 2000〜3000円 |
運営会社 | 有限会社ウイッツ |
オープン日 | 2019年5月1日 |