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小伝馬町のブルックリンをテーマにした工場併設型フードコード内に「OurCraft(アワクラフト)」が開業!地域密着の自家醸造ビアスタンド、醸造所併設だからできることに挑戦!

三井不動産が手掛ける小伝馬町の商業施設「COMMISSARY(コミサリー)」がプレオープン中だ。コーヒー、タコス、ピザ、ドーナツなどの区画から成る工場併設型のフードコードで、その一角にある、クラフトビールの醸造施設を併設したビアスタンド「OurCraft(アワクラフト)」は、「ニホンバシ・ブルワリー」などで活躍してきた下田和幸氏の独立店舗だ。ガラス張りの醸造スペースからはタンクがのぞき、クラフトビールが1杯から気軽に楽しめる。

ブルックリンをテーマにした工場併設型フードコード「COMMISSARY」の一角にて営業。お客は各店のドリンクやフードを購入して全店舗共通の席で飲食できる。1杯からのちょい飲みはもちろん、同施設内で販売されるタコスやピザとともにビールを楽しむのもオススメだ
店内奥には醸造施設。設備が整い次第、醸造を開始する。「自分自身は雑味のないキレイなビールが好きなので、そういった味を目指したい。日本橋にちなんだビールもいいですね」と下田氏
現在は醸造機器を準備中のため、ゲストビール7タップを提供。取材時は、独自ルートで仕入れ、他では滅多に飲めないという「コピオスIPA」や、DD4Dの「伊予柑サワーエール」など。サラミや生ハム、ナッツなどビールに合う軽いつまみも用意する
ランチに人気の「三浦野菜のサラダ」。ケールやロメインレタス、グリルした根菜や鶏ハム、フムスなど具だくさん。ドレッシングはひまわり油、きびとう、アップルビネガーなど可能な限り自然な素材を使って自家製している
写真右から代表の下田和幸氏、スタッフの水野氏

(取材=大関 まなみ)


独立に際して武器が欲しいと目を付けたのがクラフトビール

運営はジウ、代表を務めるのは下田和幸氏だ。直近までは「ニホンバシ・ブルワリー」で店長として活躍し、同店のオープンに伴い独立した。小学生の頃はケーキ作りが趣味の料理少年だったという下田氏は、農業高校の食品科へ進学。卒業後はパティシエを目指すも就職氷河期も相まってパティスリーへの就職が叶わず、地元の和菓子店で4年勤務。その後は料理への興味からフレンチやイタリアンで料理の腕を磨いてきた。「どこかの店に勤め続けてもいつかは限界が来るだろうと、いずれ独立したいと考えていました。ですが、世の中にたくさんの飲食店がある中で、料理ができるだけでは埋もれてしまう。独立にあたっては、何か流行り廃りに左右されない自分の武器が必要と考えていました」と下田氏は振り返る。

長年、武器にできるものを模索していた下田氏。ビストロなどを展開していたZOT(東京都中央区、代表取締役:黒瀬実寿希氏)で働いていた2015年頃、出会ったのがビールの自家醸造、ホームブルーイングだった。「ホームブルーイングの存在を知り衝撃を受けました。それまでビールといえば、『工場で作られて売られているもの』のイメージしかなかったので、自分でビールを作れるという発想に驚きましたね」と下田氏。仕事の合間に独学でビール作りに挑戦。試行錯誤しながらビールの魅力にのめり込んでいったという。

そして2016年、ZOTで「ニホンバシ・ブルワリー」を開業することとなる。「2010年頃、アメリカのクラフトビールカルチャーが日本にも流れてきました。アメリカではビールの消費量が10年続けて上がっており、その流れはやがて日本にも来るだろうと立ち上げることになりました」。下田氏は立ち上げから店長として活躍。当初、「ニホンバシ・ブルワリー」では店内の一角で自家醸造する予定だったが、スペースの関係で断念したという。醸造所ができる場所を探していた折、三井不動産から「COMMISSARY」の話が舞い込んだ。ZOTと共同出資で開業準備をはじめ、オープン後は下田氏の独立店舗として運営することとなった。

現在はゲストビールを提供。地域性を鑑みて大手ビールもお値打ちで提供し呼び水に

「OurCraft」の区画は、道に面した側が醸造スペースで、外からタンクが見える作りだ。その横のカウンター内には7タップを設え、現在はゲストビールをつなぐ。アメリカからタンクが届く12月から自家醸造を開始予定で、順次オリジナルビールも提供する。取材時、レギュラーとして置いているのが「サッポロ黒ラベル」(450円)と「ホワイトベルグ」(300円)。1杯400mlでこの値段はお値打ちだ。「近隣には男性サラリーマンが多いことを鑑みて、なじみある大手ビールをリーズナブルに提供し、クラフトビールに詳しくなくてもまずは立ち寄ってもらうための呼び水の位置づけです」と下田氏。ほか、施設のテーマがブルックリンであることにちなんでアメリカ産を中心に揃える。自家醸造を開始後は1~3タップにオリジナルビールをつなぐ予定だ。缶やボトルのクラフトビールもアメリカ産を中心に常時40品ほど用意する。

フードコードとしてすぐ横にタコスの「キタデタコス」やピザの「ピザスライス」があるため、同店で用意するフードは、ビールに合う「生ハム」「サラミ」(各S390円、L760円)など軽いつまみにとどめる。農家直送の低農薬・無農薬野菜を使った「三浦野菜のサラダ」(880円)は、近隣オフィスワーカーのランチとしても好評だ。

醸造所併設の強みを生かし、地域貢献や食育に取り組む

今後は醸造所を併設していることを生かしたことに取り組みたいという。完成品になる前の、発酵前や熟成前の過程のビールを取り出した飲み比べセットも構想中で、「完成に至るストーリーが楽しめる商品にしたい」と下田氏。地域とのつながりを大切にすることもテーマとし、近隣の小学校の社会科見学にビール醸造所として協力することも検討、食育にも関わりたい考えだ。ビールは自店で消費するだけでなく、卸やOEMも積極的に行う意向で、すでに引き合いもあるという。「まずはここでビールの醸造を開始し、醸造所だからこそできることを試したい。将来的にはビール以外の飲食店にも挑戦してみたいですね」と下田氏は話す。

店舗データ

店名 OurCraft(アワクラフト)
住所 東京都中央区日本橋本町3-11-5 ライフサイエンスビル2 1F

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アクセス 小伝馬町駅から徒歩4分、三越前駅から徒歩5分
営業時間 11:30~23:00
定休日 無休(年末年始、年2回のビル電気点検時のみ休み)
客単価 1000~1500円
運営会社 株式会社ジウ
オープン日 プレオープン2020年9月1日(施設全体のグランドオープンは後日)
関連リンク OurCraft(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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