30センチ以上もある大皿に盛られた刺身の盛り合わせが運ばれると、一斉に驚きの声が上がる。オーナーの垰 敬徳氏自ら、毎日築地に出向き仕入れるその日のお薦め鮮魚10種を盛り込んだ、自信の看板商品、「刺身和海盛り」。価格はなんと破格の1980円(税込2079円)とあって、さらに、他のテーブルへも盛り上りが伝わって行く。そう、「和海」は、こだわりの厳選鮮魚をお手頃価格で提供する居酒屋業態なのだ。店で提供される魚貝料理は、築地仕入れ。垰氏は「築地市場には全国の港から新鮮でクオリティの高い魚貝が集まりますから」と話す。そして、「鮮魚のプロが集まるので信頼感も高いですし」と続け、「魚貝料理を売りにしていますから、ともかく、素材となる鮮魚には一番気を使います」と、鮮魚へのこだわりを見せる。当然ながら刺身のほかにも、丸ごと一尾の煮魚やカマ焼きなど、自慢料理がリーズナブルな価格で並ぶ。
誰もが知るように、新橋は多くの居酒屋や大衆酒場が密集する東京屈指の名高い盛り場だ。魅力的なエリアであるが、競合も激しいこの地で、30歳を目の前にした垰氏が出店を決めたのは、「魚金」の社長からのアドバイスによるものという。社長とは、今も築地での仕入れ後、時々、お茶をするという。
元美容師でその道での独立を目指したが、今は飲食業で独立を現実とした垰氏。美容師からの転職先が「魚金」だったという。それから約7年、フロア業務から板場、オープンスタッフ、マネージャー、本部経理と、いろいろな現場で、独立に向けてステップアップしてきたという。当然、築地での仕入れ担当は今につながっている。
「魚は見るのも、釣るのも、食べるのも大好きです」という垰氏と「魚金」は、必然的な出会いだったようだ。「うちは魚自慢の居酒屋です」と、居酒屋であることに力を込める垰氏。実際、メニューにはおすすめの鮮魚料理のほか、居酒屋定番を中心とした料理が並ぶ。経験も豊富なプロの料理人達の手間を惜しまない安心感のある料理が楽しめるのがうれしい。
本日のメニューには「刺身和海盛り」を筆頭に、季節の鮮魚の刺身や炙り焼き、唐揚げ、天ぷらなどのおすすめが日替わりで並ぶ。グランドメニューでは、広島郷土料理「がんす」(294円)、「だし巻き玉子」(620円)、「自家製ポテトサラダ」(599円)、「メンチカツ」(714円)、「とりの唐揚げ三種盛り」(725円)、「カマンベールのもろみ味噌漬」(620円)、「お茶漬け」(480円)など馴染み深い料理の数々となる。
広島県をはじめ、各地から厳選した銘柄豊富な日本酒が揃うアルコールメニューには、焼酎、ワイン、酎ハイ、果実酒も揃え、嗜好に合わせて選べる揃えとなっている。日本酒は「尾瀬の雪解け」(515円)から900円前後までの一合提供の日本酒と、300mlボトルの「大吟醸獺祭磨き二割三分」(2980円)まで、30銘柄近く揃えている。ワインはスパークリングに白、赤合わせ、5銘柄、2919円からとうれしい価格となっている。本格焼酎は、芋・麦・米・黒糖・泡盛まで28銘柄となる。
開放的な店舗が増えるなか、あえて堅い印象のファサードにしたという環境は、昔ながらの造り酒屋をイメージしている。天高のある空間に木の柱や梁が架かる力強さと、欄間風の仕上げなど細部まで気遣った繊細さを併せ持つ環境には“ゆっくりと飲め、ちゃんと食べることの出来る居酒屋”であることへのこだわりと、長く続けていくことを目指す垰氏の決意が込められている。
店舗データ
店名 | 酒の魚 和海 |
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住所 | 東京都港区新橋3-15-6 村上ビル1F |
アクセス | JR新橋駅烏森口より徒歩3分 |
電話 | 03-3437-8007 |
営業時間 | 17:00~23:30(料理L.O.22:30、ドリンクL.O.22:50) |
定休日 | 日・祝 |
坪数客数 | 28坪・56席 |
客単価 | 3800~4000円 |