新・編集長コラム

ファスト化する高級店、トキ消費の居酒屋―タイパ至上主義は飲食店の追い風になる?

PROFILE

大関 まなみ

大関 まなみ
1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月よりフードスタジアム編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100軒を取材する。


「モノ」でなく「トキ」を提供する居酒屋が登場

三軒茶屋には“時間制”を謳う「居酒屋ひでじろう」がオープンした。60分3800円、90分5400円、120分7000円でドリンク・料理ともに好きなものを好きだけ食べられるというシステムの居酒屋だ。その狙いについて、「居酒屋ひでじろう」のプロデューサー、「ひでじろう」こと直野秀治郎氏はフードスタジアムの取材でこう話してくれた。

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以下、「居酒屋ひでじろう」(フードスタジアム記事)より
 
「例えばビールが400円、唐揚げが300円でお会計が700円、というのは単に“モノ”を売っているに過ぎない。そうではなく、当店では60分で3800円、とお客様に“時間”を提供しています。時間制の中で、それぞれ食べる量やペースはお客様によって違うけど満足いく時間を過ごしてもらう。飲食店というより、楽しい時間を提供するという点ではテーマパークのように考えています」。

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三軒茶屋駅の茶沢通り沿いに立地。「グラニースミス」などを手掛けるファンゴーと直野氏がタッグを組んでオープン

商品そのものにフォーカスする「モノ消費」から、経験や体験に焦点を当てた「コト消費」に。そこからさらに「その場所」「その時間」でしかできない体験の「トキ消費」へと消費行動の価値観が移り変わっている。飲食店も、ただ料理を出すだけの場所でなく、そこでの体験や時間を提供する場所という認識がますます強まっており、「居酒屋ひでじろう」のスタイルはそれが具現化したものだ。

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