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新・編集長コラム

ファスト化する高級店、トキ消費の居酒屋―タイパ至上主義は飲食店の追い風になる?

20代の若者層を指す「Z世代」を中心に「タイパ」こと「タイムパフォーマンス」を重視する価値観が世の中全体に広がっている。その波は飲食業界も例外ではない。今回は飲食店とタイパの関係について考えたい。

PROFILE

大関 まなみ

大関 まなみ
1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月よりフードスタジアム編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100軒を取材する。


高級店のいいとこどり「ファスト高級店」が増えている!

タイパとは、費やした時間に対してどれだけの価値を生み出せたかということ。いわゆるコストパフォーマンスこと「コスパ」の派生概念だ。たくさんの情報や娯楽があふれる一方、自由に使える時間は有限。その中でいかに効率的に価値を享受するのか。飲食店でも、そこで過ごす時間に対してどれだけの価値があるのか、人々の目はますますシビアになっている。

そんなタイパ重視の世の中を反映し、高級店の“ファスト化”が進んでいる。単価が1万円や2万円を超えるようなレストランでは、自慢の料理を何皿も、2~3時間をかけて楽しむというのが一般的だ。極端な例だがクラシックなフランス料理店ではコースが終わるまで5、6時間なんてこともある。

おいそれとは行けない高級店だが、それをもっと気軽に、ファストフードのように使える飲食店がいま続々と登場している。多くの料理やサービスの中から本当に必要な部分だけを抽出して他をそぎ落とし、その分、短時間かつ低価格で提供する業態だ。

例えば、渋谷に9月オープンしたばかりの「すき焼き ちかよ」。江ノ島にも店舗がありそちらが1号店。同店では厳選した和牛のすき焼き専門店だが、ユニークなのが具材を「肉」だけに絞っている点だ。割下もなく、砂糖と醤油で味付けする「焼きすき」スタイルなのもポイント。原価や人件費を抑え、最高級のすき焼きをリーズナブルに提供するという。

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以下、「すき焼き ちかよ」のnoteより引用
 
具材を肉だけに絞り、オペレーションを工夫することで材料費と人件費を抑えれば、最高級すき焼きをベストプライスで提供できるのでは?と考えたのが発端です。(中略)今まで10,000円以上出さないと食べられなかった最高級すき焼きですが、具材を肉だけに絞り、専用オペレーションを組むことで、最高級すき焼きを1,980円で提供します。

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すき焼きはお客の目の前で砂糖と醤油で仕上げる

すき焼きといえば複数人で鍋を囲んでゆっくりと食事を楽しむイメージだが、同店では一人客も散見され、食後はサッと退店する雰囲気。短時間でサクッとすき焼きを味わうという体験は、「タイパ」も意識されているかもしれない。

メニューはすき焼きセットのみ。すき焼きとごはん、味噌汁、漬物のみと潔い

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