西武新宿駅の目の前に、わずか4坪でカウンターのみの「立喰い焼肉 治郎丸」が7月22日オープンした。仕掛けるのは、「炭火焼干物食堂 越後屋」や「蕎麦 冷麦 嵯峨谷」を中心に現在36店舗を展開している越後屋(東京都港区、代表取締役:江波戸千洋氏)。同新店舗は、A4~A5ランクの国産銘柄和牛を1枚からオーダーできるスタイルが斬新、且つリーズナブルと評判になり、オープン直後から焼肉を愛する幅広い年齢層の男女に支持されている。開店から3ヶ月以上経っても、夕方からの時間帯は行例ができるほどの人気振りだ。
同社にとって新たなチャレンジ業態となる今回の新店舗。その立ち上げから現在に至る運営の全てを牽引してきた取締役副社長の相原啓之氏は、「もともと代表の江波戸は、次は焼肉か寿司をやりたいと言っていたんです。この店については、立地物件が決定した後にここに合った業態を決めました。狭小で駅前なので立喰いスタイル、牛丼やラーメンみたいに焼肉でもサクッと一人で使える店があってもいいんじゃないかと思ってましたから」と業態決定の経緯を語った。また1枚ずつオーダーできるスタイルについては、「新たなチャレンジですが、ニーズはあったと思います。現に、女性の一人客も多く、1枚ずつ違う部位をいろいろと食べてみたかったと来店されます」と話す。間口も狭く細長い店内は、自ずと立喰いスタイルにならざるを得なかったが、今や立喰いは市民権を得て問題はない。駅前立地では素早く食べて電車に乗れるという利便性もある。また、焼肉も時代の流れと共に、みんなでワイワイとテーブルを囲んで食べるより、一人で自分のペースで食べたいというひとり焼肉を好む客も確実に存在する。肉の提供の仕方は、一皿単位より1枚単位の方がより現実に即しているかもしれない。
同店の肉の価格は、最も高いヒレやサーロインが300円台、牛ハラミ、ザブトンなどが200円台、友三角、イチボなどは100円台で1枚ずつオーダーできる。ホルモン系は30円台、50円台、80円台で2切れから注文可能だ。芝浦の食肉市場から毎日新鮮な肉を仕入れているため、時価となり店頭価格も10円刻みで変動することがあるという。まさに、店の雰囲気と同様に寿司屋のような感覚だ。メニュー表示も、寿司屋のごとく木札に書かれ壁に下げられている。この木札メニューには、肉の部位名と産地、価格のみの記載なため、聞きなれない部位などは、店のスタッフが丁寧に説明。狭小店舗ゆえに客との距離も近くなり、常にコミュニケーションが図れる環境にあるという。冷蔵ネタケースに入った新鮮な肉は、注文が入ってから1切れずつ切り分けられて提供される。味付けはお好みで、タレ、ポン酢、レモン、おろしたての生わさびなどが用意されている。他にサイドメニューとして、「白センマイ刺し」(400円)や、「キムチ」(380円)、「サンチュ」(300円)、ライスセット(スープ付、350円)なども揃う。ドリンクは、ビール、サワー、ハイボール、独特な甘味と酸味が肉とマッチする「とらじの唄(マッコリ)」(700円)やグラスワイン(500円)、ボトルワイン(4500円~)も揃える。
潜在ニーズをがっちり掴んだ斬新なコンセプトで、多くのメディアで取り上げられ話題となっている同店。今後の展開が気になるところだが、「都内でFCを20店舗ほど出店して、ブランドとして確立していきたいですね」と相原氏は直近の目標を語った。同店は、新宿・歌舞伎町という場所柄、客の男女比は現在6:4くらいとのことだが、今後の立地次第では、より女性客の利用が増え男女比も逆転するかもしれない。ひとり焼肉でも、決して暗いイメージはなく、むしろカウンタースタイルの立喰いで店のスタッフとも会話をしながら焼肉を楽しむ、そんな究極のひとり焼肉が都内で定着していくことに期待したい。
店舗データ
店名 | 立喰い焼肉 治郎丸 |
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住所 | 東京都新宿区歌舞伎町1-26-3 TC第29かぶきビル 1F |
アクセス | 西武新宿駅より徒歩1分 |
電話 | 03-6380-3292 |
営業時間 | 11:30~翌5:00 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 4坪 カウンターのみ(ロースター6台、最大12人位まで対応可能) |
客単価 | 2000円台 |
運営会社 | 株式会社 越後屋 |