“野趣あふれるジビエ肉を炭火でシンプルに、豪快に喰らう”をコンセプトにした焼きジビエ「罠」。畜産される肉とはまた異なる、自然本来、ジビエ肉の旨味を堪能できるシンプルな七厘焼きスタイルは、これまでに“ありそうでなかった”新業態だ。基本はスタンディングで、七厘を囲み客自らが肉を焼くといった大胆なスタイルで提供。そんな斬新で話題性もたっぷりな業態をプロデュースしたのは、「アリゴ」「ザン」「玉響」などのヒット業態を創り出している、夢屋の小林研氏。自身、すでに「玉響」などでジビエ料理を提供している。「ジビエ肉は高タンパク、高鉄分、豊富なビタミン、それでいて低カロリーのヘルシー食肉。ダイエットに向いている食材です」と小林氏は、ジビエ肉の魅力と特徴を話す。「罠」で扱う肉は、プロのハンターから直接仕入れる北海道の蝦夷鹿、対馬、長崎、熊本、静岡から一頭買いした猪に、養殖された雉子などを用意する。 ジビエ肉は日本のスローフードであり、現在も郷土料理として食されている地域が少なくないという。猪肉は“山鯨”とも称され、寒さ厳しい冬に、栄養補給や薬食として珍重されてきた。また、鹿肉は“もみじ”と呼ばれ、鍋などで食されてきた。雉子はニワトリ以前、古来より日本で食されている高級食材でもある。つまり、日本には多くの野生の鳥獣が生息し、昔から“マタギ”と呼ばれるプロのハンターが狩猟を行なってきているのだ。食用にする場合の肉は、仕留められて直ぐにプロの手で適切な処理が行なわれ、品質保持にこだわるという。「罠」のジビエ肉が美味しいのは、そんな本物だからなのである。 現在、狩猟期は11月から2月いっぱいまでの解禁時期に限定されている場合が多いが、害獣駆除指定動物として、一部のハンターに限り、通年の狩猟が認められている。特に、畑作や田んぼへの被害が甚大であり、問題となっている蝦夷鹿や猪の被害区域では、県や市がハンターに駆除要請をしているのが通常だ。しかし、頭数が多すぎ、仕留められた大多数はそのまま放置。食用として流通されることなく、廃棄されている問題も起きているという。小林氏はそんな野生動物の諸問題をクリアすることも視野に入れ、北海道や九州のハンターと直接契約を結び、量産を可能にしたことで、「罠」業態を多店舗展開モデルとして事業化を図る。この度八丁堀にオープンした「罠」は、夢屋のFCパッケージビジネスの1号店となるのだ。 同店では蝦夷鹿、山鯨(猪)、雉子それぞれの部位が楽しめる。調味料はシンプルに塩、醤油、味噌となるが、部位によっては、下味が付けられ奥深いテイストが味わえる。ポーションは基本100gとしているが、グラムの量り売りも可能。蝦夷鹿はロース、内モモ、珍しい芯玉、など7種類で580~880円。山鯨(猪)は並ロース、上モモ、シントロなど9種類680~980円。雉子はムネ、モモ、極熟成モモなど4種類で780~880円。他に、「つぼ漬け切落」780円「野菜焼き」680円「島らっきょうキムチ」450円「罠サラダ(パクチーサラダ)」650円「鹿汁雑炊」780円など、サイドメニューから締めまで、専門性に特化したアイテムを揃える。 ドリンクは山梨県産の一升瓶ワインを、グラスとデキャンタの量り売りで提供。銘柄は村民還元ワインの赤・白、それぞれグラス120mlが350円。デキャンタ720mlが1980円。他に赤は麻屋酒蔵の「甲斐の路」グラス400円、デキャンタ2300円。白はルミエールの「南野呂」グラス450円、デキャンタ2300円。地酒は「日置桜本醸造」など4銘柄500~650円、地焼酎は「山の守」など3銘柄450円。その他に「金魚」400円「山ぶどうサワー」500円などを用意する。 八丁堀駅近くの新大橋通りから一本裏、見落としてしまいそうな路地の奥に位置する同店。昭和時代の面影を強く残す元理髪店だったいう店舗は、隠れ家のようでいて、主張のある空間が存在感を持つ。常に独創的な店づくりを行なっている小林氏。FCビジネス1号店も個性的な仕掛けだ。本来、自社店舗では冷凍食材を使用しないが、運営の軽量化、安定供給などのビジネス性質に加え、ジビエ肉啓蒙への想いから、同店では手軽に扱える冷凍ジビエも使用する。事業モデルは8~15坪。スタッフ2~3人でこなせる規模を対象とする。現在は23区内で30店舗を目標としている。すでに、1号店オーナーも次の出店を視野に入れているという。ターゲットは30~50 代の男性というが、低カロリーで飽きのこない味でいて、ガッツリ系の肉料理、それに合う一升瓶ワインも提供するため、ワイルドな肉食女子に受けそうだ。
ヘッドライン
[ニューオープン]
2012.05.21
世界初?! FCパッケージ業態の七厘焼きジビエ専門店、その名も「罠」が登場! 八丁堀の路地奥に4月17日オープン!
- シンプルで無駄を削ぎ落とした空間。骨太なパワーで、存在感を示している
- 山鯨(猪)のロース焼き。シンプルにジビエの旨味が堪能できる
- 山梨産・南野呂一升瓶ワインのデキャンタ。ジョウゴでワイルドに
- ジビエに魅了された店長の柴田氏
(取材=西山 登美子)