「ブラッスリーザン」の一番の自慢であり、売りはなんといっても「ひな鳥のロティ」。毎日、じっくり、こんがり、ジューシーな「ロティ」を焼く専用のロティサリーマシーンが店の顔だ。古典酒場、大衆酒場が多く、昭和の時代がそのまま残る路地で、インパクトある存在感と唯一的な個性を放っている。 築50年以上の2階建て一軒家を見事にブラッスリーとして変身させたのは、古民家や古い建物の価値を活かし、「現在形の店舗」として再生するのを得意とする、夢屋の小林 研氏である。しかし、小林氏は、今回は建物の環境的な付加価値以上に「店としての本質、飲食業のプロとして勝負しています。」と話す。 新橋に続く、サラリーマンの酔い街どころとして名高い神田エリアが、いまや、ワイン業態をリードするエリアに。なかでも南口エリアには話題、人気のワインバルやビストロが集まる。「ブラッスリーザン」はそんなマーケットをあえて意識しての出店でもあるという。バルよりも本格的な料理が楽しめ、とはいえ、ビストロより気軽に行き来できる店。老舗ビストロがひしめくパリの14区の裏路地にひっそりとあるような、それでいてしっかりとした料理を出すフランスの“CAFÉ”のような店にしたく、ブラッスリーの看板を上げたという。 「ワインをしこたま飲んで、手間ひまを惜しまず作るシェフの本格料理を、がっつりと食べてください。うちは料理勝負の店なのです」と、料理へのこだわりと自信を見せる。そう、コンセプトは“男前フレンチとしこたまワイン”だ。実際に調理場を仕切る高井シェフは、スペインとの国境の地、フランスバスクで3年、スイス、国内有名店で修行を重ねた経歴を持つ実力派である。 ローズマリーの香りが食欲をそそるフレンチの定番メニュー「ひな鳥のロティ」(1/4羽650円 1/2羽1200円 1羽2300円)と、鶏の美味しいジュがしみ込んだ「産直野菜のロティ盛り合わせ」(480円)。“取り合えずMUST”という、文字通りボリューミーで男前な料理からメニューは始まる。前菜にはお馴染みの「パテドカンパーニュ」(550円)、違いの解る「特製ラタトゥイユ」(480円)、ジューシー肉厚な自家製ソーセージは「フレンチガーリックソーセージ」(650円)など4種類が揃う。男前なメインディッシュには、やはりフレンチ食堂の定番「スタック&フリット」(200g1400円 300g1800円)、「男前荒挽牛のハンバーグ」(880円)、〆にはつまめるハラモチとした「魚貝とジャガイモのドリア」(780円)と「ジャガイモの濃厚グラタン」(780円)とじゃがいもメインの料理を勧めている。このほか、季節の食材で作る今月のおすすめ料理もある。 一方、ドリンクメニュー“しこたまワイン”は、グラスで赤・白各3種類にスパークリングが2種類、すべて380円から。ボトルは赤・白25種類、スパークリングが2種類で価格は2100円~6800円。(スタンディングは価格表より100円~300円引きの価格)また、料理に合わせ、ふくよかでボリューム感のあるビールにもこだわっている。武蔵野の限定ブリュワリー、ドイツスタイルの「アルトビール」(550円。スタンディングは500円)のほか、月替わりの生ビール・瓶ビールを数種類用意している。そして料理、アルコールの〆に、「マスネクレードカシス」のような濃厚なフランス産のリキュールで作るカクテルを飲むという、変化球なディジェスティフをすすめるなど、おしゃれな提案も行う。ブラッスリーの語源の一つと言われる、亜鉛で仕上げた無骨なカウンターを中心とした1階スタンディング、着席のテーブル席の2階。それぞれに目的に応じた使いこなしが出来る店の環境テーマは、小林氏曰く「ダサカッコイイです」。機能を内装としてデザイン化したシンプルさに、時間経過を物語るむき出しの屋根裏。「きれいすぎない、リアリティを感じる環境です」と話す。 自慢のロティサリーと一部の総菜はテイクアウトも出来る。“美味しい”の提供は店内だけに留まらないのがうれしい。
店舗データ
店名 | BRASSERIE LE ZANC(ブラッスリー ザン) |
---|---|
住所 | 東京都千代田区鍛冶町1-7-1 |
アクセス | JR神田駅南口より徒歩1分 |
電話 | 03-3251-2233 |
営業時間 | 16:00~23:30 |
定休日 | 日祝 |
坪数客数 | 19坪・20席(1階スタンディング6人) |
客単価 | 3200円 |
運営会社 | 株式会社夢屋 |
関連リンク | 夢屋 |