「食べたことないものを作りたい」探求心で磨いた料理の幅
高円寺駅北口、昭和の香りが色濃く残る純情商店街。その一角に「立ち呑みルルさん」がオープンした。店主の寺岡燿氏は、福岡出身で現在34歳。美術大学を卒業後、画家を志して活動していたが、生計をたてるために飲食業でアルバイトを始める。福岡のクレープ主体のカフェ「マーブルブラン」で働いていた際、スタッフ不足により急遽キッチンに立つことになり、これを機に飲食の世界と本格的に向き合い始めた。
「飽き性なんです」と笑う寺岡氏だが、「お客さんが食べたことないものを作りたい」という探求心こそが原動力。25歳で上京後、洋食店を皮切りにフレンチやイタリアンなど多様な業態を渡り歩き、ジャンルに縛られない料理の感性と技術を培ってきた。立川の宮崎牛専門ステーキ店では、和洋中すべてのジャンルに精通する先輩シェフのもとで、幅広い料理を学ぶ機会を得る。2023年には、妻の「いつかは高円寺に住みたい」という希望からこの街に移り住み、高円寺「クラフト麦酒酒場 シトラバ」で働き始める。独立前の最後の修業先となった同店では、代表・脇篤史氏から料理長としてメニュー構成を一任され、自由な発想で料理に挑戦する日々を送った。この期間に試行錯誤を重ねて得た中華の技法は、現在の「立ち呑みルルさん」に息づいている。
独立し、いつか妻と自分たちの店を持ちたい――そんな思いを以前から抱いていた寺岡氏。腕を磨く日々の中、知人から「レンタルスペースで継続的に営業してくれる人を探している」という話が舞い込む。「キッチン常備のシンプルな造りの箱を見たときに、立呑みにちょうどいいと思いました。もともと自分自身も立呑みが好きでよく飲みに行くので、空間のイメージがすぐに湧いたんです。レンタル予約が入ればスペースを譲る必要はありますが、大部分の日は自分が店をやれる。保証金や内装工事なしで気軽に店を構えられる点にも魅力を感じ、出店を決意しました」。

高円寺駅北口から徒歩3分、純情商店街のにぎわいの中に佇む。ガラス張りの外観からは店内の様子が自然に伝わり、初めてでも入りやすい空気感がある

10坪弱で14人ほど収容可能な店内。中央には簡単に解体できる大テーブルを設置し、知らない人同士でも気軽に会話が生まれる立呑み空間を目指した。ポップアップイベント用のハンガーラックは洋服掛けとして活用し、壁際のベンチは立呑みで疲れた際に腰を下ろせるようになっている。レンタルスペースならではの設備を活かした、機能的で親しみやすい空間づくりが印象的だ
店舗データ
| 店名 | 立ち呑みルルさん | 
|---|---|
| 住所 | 東京都杉並区高円寺北2丁目22−2 | 
| アクセス | JR高円寺駅から徒歩4分 | 
| 営業時間 | 17:00~24:00 | 
| 定休日 | 不定休 | 
| 坪数客数 | 約10坪最大14人収容 | 
| 客単価 | 2500~3000円 | 
| オープン日 | 2025年8月5日 | 
| 関連リンク | 立ち呑みルルさん(Instagram) | 






 














