守破離を体現する独自の立飲みスタイル!それを支える店舗設計には一切の妥協なし
物件が決まると、正木氏はその特性に合わせて業態やコンセプトを定めていった。「挑戦してみたい業態は多くあり、これまでの経験から再び和の業態を手がけたい思いもありました。しかし、この物件は空中階で入口が奥まっており、隠れ家のよう。路面店である『鉄砲玉』や『起率礼』と比べて、渋谷の人気エリアに位置しているものの、立地条件は決して良いとはいえません。飲食店の3店舗目は勝負とされる展開。そこで、広く支持を得ている『起率礼』の中華を絡めた業態にしようと決めました」。
店名の「型破離」は、守破離の精神に由来。1号店の「鉄砲玉」では海鮮の立飲み、2号店の「起率礼」では中華の立飲み、そして今回、守破離の“離”を目指して、自分たちにしかできない独自のスタイルの立飲みを追求した。その結果誕生したのが、中国料理を軸にしつつ、和・洋さまざまなエッセンスを取り入れた「ジャンルレス中華」だ。
同時に、正木氏には「ワンランク上の立飲みで新しい食体験を提供したい」という強い思いもあった。今回、店名の前には「立呑み」ではなく「立食」を掲げている。立飲みにはお酒を飲まないと入店できないイメージがあるが、中国料理にはお茶で楽しむ文化が根付いているため、ノンアルコールでも楽める場を目指したのだ。また、立飲みに伴う「安かろう悪かろう」という印象を払拭し、クオリティの高い空間と食体験を提供する意図も込められている。
こうして3月にオープンを迎えたものの、わずか2時間ほどの営業で一時閉店することに。4.4坪で23人収容できる「起率礼」に対し、5.5坪で30人を収容可能なレイアウトを目指してキッチンスペースを狭めた結果、オペレーション動線が非効率になり、提供速度が低下したためだ。正木氏は「多くの客数を収容できたとしても、提供速度が落ちれば、その分総客数が減り、結局は総売上を伸ばすことができません。苦渋の決断でしたが、レイアウトを見直し再出発を図ろうと思いました」と振り返る。
その後、厨房機器の配置や動線を徹底的に見直し、キッチンを再設計。この改良により、客席フロアは最大25人収容に抑えられたが、正木氏が理想とする提供速度を実現できる効率的なレイアウトとなった。そして4月8日、再オープンを果たす。

5.5坪で、最大25名収容。居酒屋の居抜き物件をスケルトン工事で一新。3月オープン時にはカウンターが右手奥まで伸びていたという。厨房は、効率的な導線とオーダーメイド機器でクイックな提供を実現。大理石調のL字カウンターは、立飲みでも快適に過ごせるよう高さや幅をセンチ単位で調整した。内装デザインはTILT。物件の隠れ家らしさを引き立て、「人に教えたくないけど、実はあそこにイケてる立飲みがある」と噂されるような、クールでスタイリッシュな空間を目指した。窓が多い特徴も活用し、夜に外から見た際にグラスが映えるよう、窓側にグラスと照明を巧みに設置している
店舗データ
店名 | 立食 型破離(かたやぶり) |
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住所 | 東京都渋谷区道玄坂1-15-7 アネックスサクマ2F |
アクセス | JR渋谷駅より徒歩4分 |
電話 | 03-4400-8973 |
営業時間 | 16:00~23:00 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 5.5坪最大25人収容 |
客単価 | 4000~5000円 |
運営会社 | 株式会社シゲキがほしい |
オープン日 | 2025年4月8日 |
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