駒沢大学に「シティースタンド 都会」が開業。イタリア郷土料理を居酒屋価格設定でカジュアルにアプローチ。イタリアンと酒場のミックスで、地域に根差す店づくりを目指す

音楽イベントの会社から一転、飲食経験ゼロから独立開業を目指す！

駒沢大学駅から住宅街へ向かう道すがら、煌々と光るネオンに足が止まる。青白い光に照らされ浮かぶのは「都会」の文字。「『シティースタンド 都会』って、絶妙にダサい店名でしょう？　こういうの考えるのが大好きで」と笑うのは、オーナーの佐藤拓良氏だ。店内に足を踏み入れれば、シンプルな内装に、またしてもネオンが。洗練と雑多が融合したような空間は、なんとも不思議な風情を醸し出す。

佐藤氏は大学卒業後、音楽のイベント設営・運営を行う会社に勤め、多忙な日々を過ごしていた。「東日本大震災で一気に仕事が無くなってしまったんです。そこで、自分が人生でやりたいことを考えたとき、『店を持ちたいな』と思って」と、佐藤氏。30歳にして未経験の異業種への転向となるが、自身の人生に悔いを残さぬよう、挑戦の道を選ぶ。門戸を叩いたのは、イタリアンや焼肉店、食堂など幅広く飲食事業を展開しているヴィクセス（東京都渋谷区、代表取締役社長：中元 孝太氏）だ。「当時、ヴィクセスが運営していた『CONA』のFCに興味がわいたんです。わずか500円で、美味しい窯焼きピザを出している。この仕組みがどうなっているのか知りたかった」。こうして「CONA」で勤務を始めた佐藤氏だったが、1年ほど経ったのち、同社の新業態となるイタリアン「ESOLA」の立ち上げと店長を任される。場所は新潟県長岡市。本拠地である東京を離れた場所での開業となった。「私自身、30歳から飲食に踏み込み、一般的には後発の人間です。知らない土地での店舗立ち上げと店長業務はまたとないチャンス。絶対に成功させようと思っていました」。その熱意は実り、「ESOLA」は上々の業績をおさめる。これ以降、佐藤氏はマネージャーとして複数の店舗立ち上げ、運営管理などに仕事に勤しんでいた。

駒沢大学駅から住宅街へ向かう道沿いに。店名「都会」は70年代のシティーポップのオマージュで、佐藤氏は「呑兵衛に刺さる歌詞なんですよ。『その日暮らしをやめよう』的な」と、感慨深そうに語る

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