コロナ禍の逆境を契機に新規事業が誕生
「BEER VISTA BREWERY」があるのは、森下と清澄白河のちょうど中間地点。かつて印刷所だった物件をリノベーションした空間にはブルワリーとビアパブが隣接。現在はビアパブのみの営業だが、今後はビールが醸造されているすぐそばで食事を楽しめるようになる予定だ。森下の街との出会いは偶然だったが、老舗の居酒屋からイマドキのカフェまで、新旧さまざまな店が入り混じる街並みに魅力を感じたという。「もともと、もう少し敷地面積は狭かったのですが、オーナーさんのご厚意でガレージだった場所も貸していただけることになったんです」と話すのは、事業責任者でありブルワーの古里大輔氏。Backpackers’ Japan前社長の本間貴裕氏とは大学の同級生で、サラリーマンを経て東日本大震災を機に参画した。「僕の出身は青森なので、当時両親は岩手にいて、大学は福島にあり、宮城の弟とは1週間連絡が取れない…という状況のなか、明日死んでしまうかもしれない、やりたいことがあるなら早めにやっておかないと、という想いに駆り立てられました」。
「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」の立ち上げから携わり、メンバーの中でも特にお酒が好きだったことから、ホステル内のラウンジで10年以上バーテンダーを務めてきた古里氏。2020年以降のコロナ禍が、新たにビール事業を立ち上げる大きなきっかけとなった。「僕自身、ビールが大好きで、コロナ前から『Nui.』や『CITAN』でビールのラインナップを増やしたり、ブルワリーにお邪魔して設備や仕込みの風景を見せていただいたり、コラボレーションビールを造ったり…ということが続いて、ビール事業を始めることについてもふんわりと考えてはいました。コロナ禍を受けてラウンジをクローズしていた時期に改めて考える時間ができて。この間にビールに関する知識と経験を身に着け、お付き合いがあった愛媛の『DD4D BREWING』さんにもアドバイスをいただきながら、構想を練っていきました」。
ビールの魅力の一つに、“自由さ”があると古里氏は言う。以前、静岡の「ベアード・ブルーイング」に、世界中の人々が集まる「Nui.」のコンセプトに合わせたオリジナルビールをオーダーした際、日本の小麦をはじめ、ドイツ、アメリカ、イギリス、ニュージーランドと世界各国の原料が使われたことに感動し、可能性を感じたのだとか。「例えば『Nui.』ではカクテルを推しているので、ジントニックをオマージュしたオリジナルビールが作れるんじゃないか、とか。『これが私たちのオリジナルビールです』と提供できればスタッフも心が躍るし、お客さんにもここでしか飲めないビールに感動してもらえる――そんなワクワク感を覚えました。コロナ以降、海外からのお客さんが激減し、会社全体が暗い雰囲気でしたが、ビール事業を立ち上げることによって、会社に関わってくれる人たちを巻き込みながら楽しくしていくことができそうだなと感じました」。
店内は「Japanese, Material, Craft」をテーマに、かつて印刷所だった頃の記憶を残しつつ、スタンディング席のカウンターに和紙を取り入れるなど国産の素材を中心に構成。それでいて海外のような雰囲気も漂う、型にはまらない自由な空間が完成した。
店舗データ
店名 | BEER VISTA BREWERY(ビア・ビスタ・ブルワリー) |
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住所 | 東京都江東区常盤2-13-17 トキワハイツ1F |
アクセス | 都営大江戸線、東京メトロ半蔵門線清澄白河駅A1出口、都営新宿線森下駅A7出口より各徒歩約5分 |
電話 | 03-6659-6657 |
営業時間 | 16:00~22:00(LO21:30) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 40坪(立ち飲みカウンター含め)収容人数約35人 |
客単価 | 3000円~ |
運営会社 | 株式会社Backpackers’Japan、合同会社Beer Vista Brewery |
オープン日 | 2022年12月1日 |
関連リンク | BEER VISTA BREWERY(Instagram) |
関連リンク | Backpackers’ Japan(HP) |