アルバイトから飲食業へ。知人に背中を押され、東京での独立開業を決める
佐々木氏の出身は宮城県。高校卒業後、やりたいことが見つからずぶらぶらしていた時に、偶然目についた大手居酒屋チェーンの求人広告が人生を変えるきっかけになったという。
「それまで飲食店で働いた経験もなかったのですが、居酒屋で働きながら、こんなに人に感謝されるんだと嬉しくて、楽しくて。その後は、昼間はレストラン、夜はバーで働いたりもしていました」。
そんな折に東日本大震災が発生。幸いにも佐々木氏や家族は無事で、自宅も被害はなかったというが、広い地域でインフラや物流が遮断され、食料が不足していた。
「当時僕がパートタイムで働いていた、仙台を中心に飲食店を展開する林デザインオフィス(現在は閉業)の社長の『今ある食料を分け合って、みんなで生き延びよう』というスタンスに触れて、改めて飲食業って素敵だなと思いました。いつか自分もこんな経営者になりたいと思うようになったんです」。
林デザインオフィスでパートタイマーから統括マネージャーとして活躍した後は、同様に仙台を拠点に5店舗を運営する藤田製作所へ転職。いずれは仙台で独立をと考えていたところ、東京の飲食店で働く知人の「あなたも東京で働いてみたらいい」というひと言に背中を押され、上京を決意した。
「そんなこと、考えたこともなかったのですが、よくよく考えていく中で、仙台で独立するのはつまらないなと感じてしまったんです。既にお客さんや知り合いの業者さん、飲食業の仲間がたくさんいる仙台で独立すれば、なんとなく成功するだろうという予想はできました。でも、人生は一回だけ。だったら、東京や他県に出ていろんな出会いがあったらいいな。まずは行ってみよう――そんな思いで東京に出てきました」。
上京後、働きながら約1年かけて物件を探し、2019年に創業店「酒呑み処 はな唄」を開業する。「誕生日にテキーラで乾杯したい」というお客の要望に応え、その様子をSNSで上げていたところ、いつしか“板橋で最もテキーラを売る店”になっていたのだとか。
「あまりにもテキーラが売れるので、一体何事かと売上データを見たアサヒビールさんから酒屋さんに問い合わせがあったこともありました(笑)。テキーラを介してお客さん同士が繋がったり、いろんな繋がりが広がったことでコロナ禍もなんとか店を続けることができたので、本当にありがたいですね」。
あちこちからもう一店舗やってみないかという誘いがある中、常連客から働きたいという申し出があったこと、さらに資金の準備ができたことで2店舗目の出店を決める。
「おでんをメインにしようと思ったのは、大山におでん屋さんが少ないから。ここはもともとスナックだったんですが、階段を上って鉄の扉を開けた時に、出汁の香りがふわっと香ったら素敵だな、というイメージが湧きました」
ハイカウンターなどスナックだった頃の名残を感じさせる造作はそのまま活かし、カフェのようなモダンな空間に仕上げた。
店舗データ
店名 | おでんや ズズズ |
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住所 | 東京都板橋区大山町40-5 岡本ビル 2F |
アクセス | 東武東上線大山駅から徒歩5分 |
電話 | 03-6909-5544 |
営業時間 | 18:00~25:00(L.0.フード24:00、ドリンク24:30) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 10坪18席 |
客単価 | 4300円 |
オープン日 | 2022年10月11日 |
関連リンク | おでんや ズズズ(Instagram) |