フランス料理店の敷居の高さを下げた内装デザイン
出店した店舗は、2年間も借り手がいなかったという物件。本郷三丁目駅から徒歩数分と近く、視認性の高い角地の路面店だが、人通りの主体が主婦などであるため、男性ワーカーを主力客層にしている丼や定食の大手チェーンはまず出店しない物件だという。しかし、ターゲットを絞り込むのではなく、地域の幅広い層の人たちに利用してもらう業態である「フランス大衆食堂 ブイヨン本郷3」には適していた。実際にオープン後の客層は幅広い。店舗は20坪・30席と大きくはないが、週末は子供連れのファミリー客が多く、カウンター席にはお年寄り、その横には若いカップルといった感じで老若男女に利用されている。本郷三丁目は働く人だけでなく、学生なども多い街で、高級住宅街でもある。「この本郷三丁目に溶け込みながら街の人たちの日常を豊かに」(臼井氏)と思い描いた形が、すでに具現化されたような賑わいを見せている。
地域に溶け込む日常使いの「フランス大衆食堂」にするために、臼井氏が強く意識したことが「フランス料理店の敷居の高さを下げる」ことだ。例えば、内装。本場フランスのパリでは、気軽に料理やワインを楽しめる大衆的な食堂が「Bouillon(ブイヨン)」と呼ばれることから、それを店名にした同店。内装も当初は本場に倣うことを考えたが、歴史の長い「Bouillon」は重厚な雰囲気が特徴だ。本場の内装に倣うと入りづらい雰囲気になってしまうため、「本場の内装から引き算をしていった」という。重厚感のあるモールディングの凸凹のデザインなどは排除し、カフェっぽさも取り入れて敷居の高さを下げた。内装のコスト面に関しても、「お金をかけるところと、力を抜くところのメリハリを大切にした」という。
そして、「居心地が良いかどうかは音と光で決まる」と考える臼井氏が、内装に関して特に心を配ったのが照明。カウンター内のキッチンは5000ケルビンの蛍光色のような照明にし、客席は2700ケルビンのオレンジがかった照明にしている。この対象的な照明によって、鮮明な印象のキッチンは清潔感を際立たせ、一方で客席は温かみが感じられるようにした。さらに、客席よりキッチンの照度を高くすることで、カウンター席の利用客が料理を撮影する際に、「料理は逆光の方がきれいに撮影できる」という状態も作り出している。また、同店の店舗は入口の間口部分が狭いが、ガラス張りのドアや側面の壁に設けた大きな窓で閉塞感を感じさせないファサードに仕上げた。店頭に掲げるメニュー看板などでも、「堅苦しくないカジュアルなフランス料理店」であることを印象づけている。
店舗データ
店名 | フランス大衆食堂 ブイヨン本郷3 |
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住所 | 東京都文京区本郷3-32-3 |
アクセス | 本郷三丁目駅から徒歩2分 |
電話 | 03-5801-0834 |
営業時間 | 11:30~22:00 |
定休日 | 水曜 |
坪数客数 | 20坪30席 |
客単価 | 昼1100円、夜4500円 |
運営会社 | 株式会社U.RAKATA |
オープン日 | 2022年8月26日 |
関連リンク | U.RAKATA(HP) |
関連リンク | フランス大衆食堂 ブイヨン本郷3(HP) |
関連リンク | フランス大衆食堂 ブイヨン本郷3(Instagram) |