上京以来、23年間のアルバイト勤務から、一国一城の主へ
「本当はね、独立するつもりはなかったんですよ」と大らかに笑う店主の後藤氏。
「20歳で上京して、まかない付きだからという理由で働き始めた『楽』が楽しくて、本当に大好きで。お客さんに名前を覚えてもらったり、自分の居場所のように感じていました。だから、独立して辞めていく仲間に『店を手伝ってほしい』と言われたり、いろんな仲間から『自分で店をやった方がいいよ』なんて言ってもらったりもしていたんですが、私としてはこのままでいいと思っていました」。
2022年4月、そんな後藤氏に大きな転機が訪れる。3月に現在の物件で居酒屋を営んでいた楽時代の先輩が急逝し、驚きと悲しみを抱えている中、楽コーポレーションの代表、宇野隆史氏に「この場所で店をやってみないか」と声をかけられたという。
「それまで一度も独立したいなんて思ったことはなかったのに、お父さん(宇野氏のスタッフからの愛称)から連絡があったときに、『ちょっとやってみたいかも』と思ったんです。亡くなられた先輩が、私が楽で初めて配属された店の店長を務めていたこともあって、このご縁にも背中を押されました」。
すぐに宇野氏が後藤氏の名前“千秋”と“楽”を組み合わせて「まいにち 千秋楽」と命名。そこから急ピッチで店づくりが始まった。とにかくこだわったのは、居心地のいい空間であること。一枚板のカウンターは低く、広く切り出し、ゆったりとしたローチェアを配置。つい「もう1杯」と長居したくなる座り心地の椅子を探し出した。路地裏の2階という立地も加味し、回転数で売上を伸ばすよりも、長時間寛いでもらうことを意識したという。さらにキッチンと客席との間にあった壁を取り払い、すべての床をフラットに仕上げた。
「どの席にも、私の笑い声が届くような空間にしたいと思いました。私は声が大きいので、ある方には『お前の笑い声じゃ、8坪じゃ小さいくらいだ』って言われてしまいましたが(笑)。床をフラットにしたのは、車いすの先輩にも会いたい、来てほしいと思ったからです。車いすでも入りやすいよう、入り口も広く作りました」。
店舗データ
店名 | まいにち 千秋楽(せんしゅうらく) |
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住所 | 東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢2C |
アクセス | 京王井の頭線、小田急線「下北沢駅」から徒歩2分 |
電話 | なし |
営業時間 | 17:00~24:00 |
定休日 | 不定休(詳細はInstagramを確認) |
坪数客数 | 8坪17席 |
客単価 | 4000円 |
オープン日 | 2022年8月10日 |
関連リンク | まいにち 千秋楽(Instagram) |