「映え」ではなく「渋さ」が特徴。400円均一の地酒も大好評
「素材にこだわるだけでなく手間もかけています。この価格で、高級すし店のように貝を一つ一つ店で割っているのは珍しいと思います。様々な料理に使う出汁もかなりこだわりました。出汁にうるさいのが関西人なんで(笑)」と岡本氏が話すように、仕入れだけでなく、仕込みや調理でも商品力を高めているのが「オカモ倶楽部」だ。さらに、岡本氏はこう説明する。「元々のコンセプトは、60代、70代のベテランの職人さんが作るような粋な料理を、スタンド価格で若い人たちにも楽しんでもらうイメージ。そういう店なので、内装も含めて全体的に敢えてダサい感じを出し、料理も『映え』ではなく『渋さ』が売りです」。この話を象徴するのが看板商品の「貝つぼ焼き」(590円)。「スープがうまい!」を魅力にした粋な料理で、冷たい料理ばかりになりがちな刺身とすしの店で心も体も温まりそうな一品だ。また、もう一つの看板商品「生あじレアフライ」(590円)は、刺身で提供できる新鮮なアジを使用。「レア」に仕上げ、「生あじ」の美味しさを堪能してもらうことで、トレンドになっているアジフライでも独自性を出した。こうしたトレンドメニューの差別化にも、商品開発のセンスの良さがうかがえる。
一方、ドリンクメニューは、「寿司に合うソーダ割り(米焼酎しろ)」(390円)、「昆布出汁チュー」(420円)、「銭湯帰りに」と記した「オロポサワー」(420円)などが印象的だが、加えて地酒の400円均一売りが好評を博している。「獺祭」「酔鯨」「久保田」などのメジャーな銘柄を中心に14種類揃え、400円でありながら1杯90mlを注ぐ。すしと料理だけでも十分に安さのサプライズがあるが、この400円均一の地酒でさらに驚かされる感じだ。
では、メニュー全体でどれくらいの原価率をかけているのだろうか。店を利用した飲食店経営者からは「50%以上だよね」と言われるそうだが、実際には40%以内に抑えているという。原価をかけた目玉商品がある一方で、きちんと利益を確保できるメニューもバランスよく組み込んでいるのである。また、比較的、大箱の店舗であることを踏まえ、すしのシャリはロボットを活用。地酒は受け皿無しの簡易な提供スタイルにするなど、オペレーションの効率化も工夫している。今後は同店を小型化した店舗や他の業態の出店を検討しながら、2027年に東京で15店舗を達成するのが目標。「味にうるさいのが大阪人」、「東京より価格が良心的なのが大阪」とよく言われるが、そんな大阪ならではのエッセンスとパワーが感じられる「オカモ倶楽部」は、東京の酒場シーンに新風を吹き込む存在になりそうだ。
(取材=亀高 斉)
店舗データ
店名 | 魚の店 オカモ倶楽部 |
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住所 | 東京都目黒区上目黒3-5-29 中目黒高架下F-1 |
アクセス | 中目黒駅から徒歩2分 |
電話 | 03-5720-8411 |
営業時間 | 17:00~翌1:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 55坪106席 |
客単価 | 3000円 |
運営会社 | 株式会社オーゼットカンパニー |
オープン日 | 2021年12月23日 |
関連リンク | オーゼットカンパニー(HP) |
関連リンク | 魚の店 オカモ倶楽部(Instagram) |