グリルレストランで働いた同僚2人で独立
川端氏は20代後半から飲食業界に入り、10年間、全国展開を広げる飲食企業に勤めた。3年半前に同企業のグリルレストランの立ち上げメンバーとして上京。そこで一緒に働いた成松氏と意気投合し、ともに独立しようと誓い合った。当時は2人とも料理人として働いていたが、独立の際はそれぞれの得意分野に合わせて役割を分担。様々な飲食業態を経験してきた川端氏は店舗運営を、料理やワインの知識が豊富な成松氏はメニュー開発を手がけた。
薪火グリルは、2人が働いていたグリルレストランの経験を活かした業態。ここに川端氏が長年目指していた無農薬野菜、化学調味料不使用という要素を加え、‶周りの人が少しでも豊かになるように“というコンセプトを生み出した。「妻は化学調味料が合わない体質で、自宅で料理をする際、彼女の体質に合わせて食材を選ぶうちに、安全な食に興味を持ちました。薪火を使ったレストランなら、火を囲んで食事をする楽しみを提供しながら、素材の持ち味を活かした料理を提供できると考えました」と川端氏。「環境や体に良い食材を選ぶだけで、お客様や従業員の健康づくりに携われ、同じような志を持った農家や食肉業者の助けにもなります。まずはお客様に店を楽しんでもらうことで、より良い循環を築いていきたい」と話す。食の未来を考え、生産者から消費者まで関わった人が豊かになる店づくりを心がけたという。
薪窯は1週間かけて手作り
物件は店の構想を立てて1年ほどで、飲食店の独立支援を行う上昇気流(東京都渋谷区、代表取締役社長:笹田 隆氏)の紹介により、決定。元居酒屋を2分割した空き物件の一方を引き受けた形だ。代々木公園駅と代々木八幡駅から徒歩1分の場所で、路面の好立地。希望にマッチした絶好の物件だったという。「業態としてどうしても原価が高くなってしまい、提供価格が上がってしまいます。それでもお店のコンセプトに興味を持ってくれる感度の高い層を狙いたかった。このエリアならグルメな人も多いと決めました」と同氏。
店内は10.4坪、薪窯を丸く囲むようにカウンターが8席、テーブルは12席。内装はイチから作り直したという。グレーを基調とし、薪火が映えるモダンな仕上がり。薪窯は川端氏と成松氏が1週間かけて作った力作だ。耐火煉瓦と耐火モルタルを使用し、夜を徹して作り上げたという。
薪火で焼き上げるジビエが名物
料理は現在アラカルトのみで、は薪火で焼き上げる「蝦夷鹿のグリル」(2900円)、「短角牛のグリル」(3900円)が名物、薪窯で使用する薪は桜の木を使用。成松氏は「薪火を扱い方は前職で体得しましたが、薪をくべるタイミングや火加減、肉の焼き加減など繊細な技術が必要。日々精進です」と話す。前菜は旬の野菜を使用した「旬の野菜サラダ」(1300円)や「アゼル特製ポトフ」(900円)や、「テリーヌ」、「シャルキュトリー」などをラインナップ。デザートは「ダークガトーショコラ」(480円)、チーズの盛合せ(1800円)などを揃える。今後は6000円~9000円の価格帯で、コース料理を数種類準備する予定だ。
ノンアルコールドリンクを増やすことも視野に
ドリンクはワインがメイン。赤、白、スパークリングそれぞれ3種類揃え、グラスは800円から、ボトルは4500円から用意する。多くがナチュールワインで、
川端氏、成松氏がお気に入りの銘柄も並ぶ。空冷の特注サーバーでクラフトビールも提供。2タップを備え、川端氏の地元である兵庫県明石市の明石ブルワリーの「山田錦ヴァイツェン」(900円)や、樽替わりで仕入れる。また、ビネガーベースのオルタナティブアルコール「シュラブ」(600円)も揃え、無農薬レモンを使用した自家製レモネードも。健康志向でアルコールを飲まない、またはアルコールを飲めない体質のお客も楽しめるようアルコール以外のドリンクも充実させていくという。
今後の展望について川端氏は「私の地元が兵庫県なので、2、3年後にはそちらにもお店を作りたいです。まずは、地域の方に長く愛してもらえるための土台作りをしていきたい」と語った。
店舗データ
店名 | 薪火グリル azer(アゼル) |
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住所 | 東京都渋谷区富ヶ谷1-51-12 代々木公園ハウス 1F |
アクセス | 代々木八幡駅、代々木公園駅から各徒歩1分 |
電話 | 03-6804-8408 |
営業時間 | 18:00~23:00 |
定休日 | 月曜、第一・第三火曜 |
坪数客数 | 10.4坪、20席 |
客単価 | 6000円 |
オープン日 | 2019年11月22日 |
関連リンク | 薪火グリル azer(Instagram) |