大衆酒場に江戸時代の要素を加えた新業態
運営のブラボー・ピープルズは、飲食店の独立支援サポートを行う上昇気流(東京都渋谷区、代表取締役:笹田 隆氏)のグループ会社。六本木は「びぃすとろ 汁べゑ」、「裏椿」などを展開する自社のホーム的エリアであることから、「おでん屋 ずぶ六」のオープンはグループをあげて力を入れているという。
開業は「びぃすとろ 汁べゑ」の徒歩1分の物件に出会ったことからはじまる。営業本部長の佐藤大介氏は「既存店の認知度を活かし、名物の黒おでんを進化させて、新しい業態ができないか検討しました。周辺に少ない大衆酒場業態に着目し、フックとなるように江戸時代の要素をミックス。幅広い層がワイワイ賑わう店作りを目指しました」と話す。店名は、江戸時代に流行した酔っ払い番付で”すっかり酔っ払った”度合いを意味する「ずぶ六」に由来している。
元事務所の物件を全面改装。駐車場をテラス席に
物件は事務所として使われていたため、内装をイチから作り上げた。間口は壁を取り払い、ガラス張りにして開放感を演出。厨房を囲むようにカウンターを配し、立ち飲み席と座りのカウンター席を設けた。店内奥にはグループ客を取り込めるようテーブル席もあり、駐車場だった場所には掘りごたつのテラス席を設置。座る場所によって違った楽しみ方ができる設計だ。「間口が広く、立ち飲み席もあるため、既存店よりも来店のハードルが低い。近隣エリアで働くビジネスパーソンにフラッと立ち寄って欲しいです」と佐藤氏。
コンセプトに説得力を与える料理の2大コンテンツ
フードメニューのメインを張るのは、黒おでんと本マグロ。「インパクトも大きく、口コミも広がりやすい」(佐藤氏)として、同店の2大コンテンツに据えた。
黒おでんは「びぃすとろ 汁べゑ」でも名物の黒おでんをベースとして、同店用にしじみ出汁を加えるなどブラッシュアップ。「二日酔いによいとされるしじみ成分配合で、ずぶ六になるまで酔っ払っても大丈夫!」の想いを込めたという。具材は玉子や練り物などの定番に加え、自家製のつみれや海老しんじょうなど約20種類。「おでんの盛り合わせ」は6品で1000円、単品は120円~200円の価格帯で揃える。おすすめは、大ぶりで真っ黒になるまで出汁がしみた「大根」(250円)。3Lサイズの極太の大根のみを仕入れるという。
本マグロは、お客自身がスプーンですくい取って食べる「本マグロ骨付き中落ち刺し」(1人前780円、2人前よりオーダー可能)、「本マグロ脳天トロ串」(1本580円)などで提供。「黒おでんを支えるメニューを作るにあたり、江戸時代の酒飲みが何を食べていたのかという点を掘り下げました。当時、マグロは庶民の味。現代でも多くの人の好物であり、店のコンセプトにもぴったりだと考え、採用に至りました」と佐藤氏。
他にも、焼き物、サラダなどをバランスよく揃えながら、フックとなるメニューを豊富に盛り込んだ。いくら、うに、白子、あん肝、たらこなどが山盛りの「痛風盛り」(1980円)や、マスカルポーネチーズに甘納豆を加え、タワーのように盛り付けた「マスカルポーネチーズタワー」(780円)など、SNS映えのする品も多い。
名物のフルーツサワーで女性客を獲得
ドリンクは、「定番レモンサワー」(500円)、シソのピクルスと焼酎、炭酸水で作る「綱島サワー」(480円)などのサワー類やハイボールをはじめ、店長厳選の日本酒(600円~)、焼酎などを揃える。また、名物ドリンクとして、フルーツを皮ごとすりおろしたサワーを開発。女性やお酒を飲み慣れない層も狙う。焼酎ベースのサワーで、現在は「洋ナシサワー」や「りんごサワー」(各700円)などを用意。今後は旬によってフルーツを入れ替えていく予定だ。
現在の客単価は2500円〜6000円。金額に開きがあるのは、店の構造をうまく活かし、サク飲みのひとり客から食事と酒をゆっくり楽しむグループ客まで、幅広い層へのアプローチが成功した結果だ。今後は六本木の”路地裏大衆酒場”として認知度を上げ、長く愛される店を目指す。同社は同業態での店舗展開は考えておらず、これを起爆剤にまた新しい業態に挑戦していきたい意向だ。
店舗データ
店名 | おでん屋 ずぶ六 |
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住所 | 東京都港区六本木4-5-13 1F |
アクセス | 六本木駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6812-9240 |
営業時間 | 18:00〜23:30 (LO23:00) |
定休日 | 日曜 |
坪数客数 | 12坪46席 |
客単価 | 2500〜6000円 |
運営会社 | 株式会社ブラボー・ピープルズ |
オープン日 | 2019年10月25日 |
関連リンク | 上昇気流(HP) |