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MUGENが「炉端焼このじ」を麻布十番にオープン。ライブ感溢れるコの字型のカウンター席で炉端の醍醐味を演出し、ドリンクは「焼酎」で勝負!

11月18日、麻布十番に「炉端焼このじ」がオープンした。運営は炉端焼居酒屋の「なかめのてっぺん」を中心に多業態を展開するMUGEN(東京都目黒区、代表取締役:内山正宏氏)。「炉端焼このじ」は客単価6000円以上を想定しており、「なかめのてっぺん」の進化版とも言える炉端焼業態だ。ライブ感溢れるコの字型のカウンター席で炉端焼の醍醐味を演出し、使用食材もレベルアップ。ドリンクは日本酒を一切置かず、焼酎を売りにしている。

麻布十番駅から徒歩で3分ほどの場所にある新築ビルの地下に立地。店内には炉端を囲むコの字型のカウンター席が2つある(17席と16席)
鮮魚や干物を始めとした炉端焼は、380円の「鯖串焼」から2880円の「きんき」まで幅広い品揃え
取材時の「おきまり」の刺身。マグロには醤油麹と大根おろしを合わせたものをのせ、〆鯖には蕪の甘酢漬けをあしらっている。
「おきまり」の土瓶蒸し。取材時の具は真鱈と白子で、今後は季節に合わせてハモや松茸なども使用していく予定
バーミキュラの鍋で炊き上げる「銀しゃり」も名物。ご飯のお供として、いくら、牛しぐれ煮、しらすをセット
代表の内山正宏氏(右端)、店長の山口邦子氏(手前左)、料理長の松下耕平氏(奥右)とスタッフ

(取材=亀高 斉)


ある出来事が、代表の内山氏の挑戦心に火をつけた!

2006年に代表の内山正宏氏が炉端焼居酒屋の「なかめのてっぺん」を中目黒に創業し、現在は高級業態の「鮨つきうだ」や「天婦羅みやしろ」(ともに中目黒)なども経営するMUGEN。「なかめのてっぺん」は、渋谷、丸の内、品川、横浜、名古屋と出店エリアを広げ、各地で繁盛を築いている。例えば、中目黒の本店は創業から14年間、年商が一度も前年を下回ったことがなく、現在、25坪で平均月商は1300万円。横浜店が22坪で同1200万円、名古屋店が25坪で同1600万円を達成するなど、大きな成功を収めてきた。ベトナムにも内山氏がプロデュースした炉端焼の店「しゃもじ」が4店舗ある。

そんな同社が新たに麻布十番に出店した「炉端焼このじ」は、「なかめのてっぺん」の進化版とも言える注目店だ。「なかめのてっぺん」が客単価4000~4500円であるのに対し、「炉端焼このじ」は客単価6000~8000円を想定。同じ炉端焼業態でも既存の「なかめのてっぺん」ではなく、あえてアッパーな新業態を出店したのは、内山氏の挑戦心に火をつける出来事があったからだ。「今年5月の日米首脳会談で安倍さんとトランプさんが会食したのは六本木の『田舎家』さんでした。『田舎家』さんは炉端焼の名店ですが、それでも僕は悔しかった。なぜ、『なかめのてっぺん』ではないのかと。それがきっかけで、より本格的な炉端焼の店を作ろうと決めました」(内山氏)。

より本格的な炉端焼店として、「炉端焼このじ」は客席のほとんどをカウンター席にした。炉端のライブ感を満喫できるコの字型のカウンター席を2つ設け(17席と16席)、その他の客席は7席の個室のみ。テーブル席なら60席ほど確保できたにもかかわらず、カウンター席にしたことで全40席しか取れなかったという。それだけ炉端焼の醍醐味に特化し、なおかつ、1万円を超える高級炉端焼店よりもリーズナブルな点が同店の大きな魅力だ。店舗デザインを手掛けたのはスタジオムーンの金子誉樹氏。「すべて金子さんにお任せしました」(内山氏)というデザインは、朱色と漆黒の2色の色使いが特徴的だ。炉端を囲む2つのカウンター席は、一つが朱色、もう一つが漆黒で、それはまさに「2つの舞台」。同店はインバウンドも強く意識しており、外国人客も大いに魅了しそうな店舗デザインだ。

最初に必ず3品の「おきまり」。「銀しゃり」も名物!

MUGENは同社が取り組む「築地もったいないプロジェクト」などで魚貝の仕入れ力を強化してきた。「なかめのてっぺん」でも素材の良さにこだわってきたが、「炉端焼このじ」では、さらに使用食材をランクアップ。例えば、刺身のマグロのクオリティーを高め、磯辺焼きの海苔一つとっても高級海苔を用いる。「なかめのてっぺん」では使えなかった高級食材も積極的に使っていくという。さらに、「炉端焼このじ」で新たに取り入れたのが、来店客に必ず最初に注文してもらう「おきまり」。「おきまり」は2500円で、「刺身盛り合わせ」、「土瓶蒸し」、「平貝磯辺焼き」の3品を提供。この「おきまり」で一定の客単価を確保すると同時に、旬の食材を使ったクオリティーの高い料理を楽しんでもらう。

そして、看板商品の「炉端焼」は、「鯖串焼」(380円)、「のどぐろ」(2680円)、「鰻蒲焼」(1880円)、「貝味噌焼」(1680円)、「ほっき貝あおさ焼」(1180円)、「牡蠣昆布」(980円)などの鮮魚10種、「ホッケ」(1280円)、「メヒカリ」(380円)、「赤魚」(980円)などの干物5種、「和牛串」(680円)、「黒豚肩ロース味噌焼」(1180円)などの肉4種、「アスパラ」(480円)、「まこもだけ」(680円)、「れんこん」(580円)などの野菜11種を用意。「まだ様子見のところもあるので今後、内容や価格は多少変わるかもしれませんが、このクオリティーでこの価格なら、高級炉端店よりも相当にリーズナブルだと思います」と内山氏は自信を見せる。また、同店のもう一つの名物が、内山氏の出身地・福井県の「いちほまれ」を使用した「銀しゃり」(2200円)だ。注文ごとにバーミキュラの鍋で炊き上げた「銀しゃり」(1.2合)を、ご飯のお供3種(いくら、牛しぐれ煮、しらす)とともに提供する。

多彩な焼酎ハイボールと、オリジナルの「お茶割り」

「炉端焼このじ」は、ドリンクでも明確な特徴を打ち出している。日本酒を一切置かず、焼酎を売りにしているのだ。「焼酎も日本のお酒という点では『日本酒』の一つ。日本が誇るお酒ですが、最近は焼酎の消費量は下がっています。そうした中で、改めて焼酎にスポットを当てたいし、それができるのが飲食店です。飲食店で支持されたものは世間一般に広まっていきます。飲食店はマーケターとしても大きな役割を担う存在であることを実証していきたい」と内山氏は話す。

「炉端焼このじ」では、樽で寝かした焼酎を使う「このじハイボール」をドリンクの名物にし、他にも鹿児島・小牧醸造、同・西醸造、宮崎・黒木本店、熊本・豊永酒造の焼酎を使った多彩な焼酎ハイボールを用意。加えて、新スタイルの「お茶割り」もおすすめのドリンクだ。同店の「お茶割り」は、焼酎をお茶で割るのではない。お茶の葉で焼酎自体に香りづけしたものを水や炭酸で割る。お茶の葉は、使用する芋焼酎と相性の良いものを蔵元が厳選。蔵元が提案する新スタイルの「お茶割り」を、同店から世に広めていきたい考えだ。

ミシュランの星も獲得!3つのレンジでの成長を目指す

店舗、フード、ドリンクのすべてにおいて、MUGENが炉端焼業態の新境地を開いたと言える「炉端焼このじ」。麻布十番という立地も同社にとって初出店となるが、「麻布十番は、僕たちが拠点とする中目黒と似ています。ともに流行最先端のイメージが強い街ですが、実は地元客が多い。中目黒で僕たちが勝つことができたのは、お客様との距離の近さを大切にし、地元の方たちに支持されてきたから。中目黒に似ている麻布十番は、僕たちが得意とするマーケットです」と内山氏は話す。「炉端焼このじ」は、「なかめのてっぺん」の進化版として、「ここで炉端を焼くことがスタッフのステイタスになるような店に育てていきたい」という。

また、この秋は「炉端焼このじ」の出店だけでなく、MUGENにとって大きな動きが他にもいくつかあった。10月には「俺の魚を食ってみろ!!」4店舗(神田、新宿等)と「○魚 (まるっと)」(門前仲町)をグループ傘下に収めて店舗数は計22店舗になり、11月11日には業態転換で「鮨おにかい」をオープン(中目黒)。さらに、11月末に発売されたミシュランガイド東京2020で、「天婦羅 みやしろ」が一つ星を獲得した。「カジュアル(5000円以内)」、「ミドルアッパー(5000~1万円)」、「アッパー(1万円以上)」の3つのレンジでの成長を目指す同社の勢いはますます増している。

店舗データ

店名 炉端焼きこのじ
住所 東京都港区麻布十番1-5-23 ルネ麻布十番B1F

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アクセス 麻布十番駅から徒歩3分
電話 03-5843-1878
営業時間 ランチ11:30~14:30  ディナー17:30~23:30
定休日 日曜日
坪数客数 25坪・40席
客単価 7000円
運営会社 株式会社 MUGEN
オープン日 2019年11月18日
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※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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