肉バル業態で苦戦、森氏に業態変更のプロデュースを依頼
「博多串焼き 曇天ばってん晴天」は、創業45年、東京の下町を中心に「黒毛和牛焼肉 うしくろ」を6店舗展開するサンエイフーズ(東京都江東区、代表取締役:韓 永紀氏)にとって初の居酒屋業態。豊洲の同物件は、2年前に韓氏が一目ぼれした場所だ。「物件を紹介され、まず全面ガラス張りの開放的な空間が気に入った。なにより豊洲というブランド価値のある場所に出店できる滅多にない機会でしたので、契約を決めました」と話す。当初は焼肉店にするつもりだったものの、ダクトの設置や消防法の兼ね合いにより、想像以上の投資額が必要なことが判明。方向転換し、当時ブームでもあった肉バル業態として「黒毛和牛バル USHIQRO 豊洲IHIビル店」を2016年12月にオープンさせた。
オープン当初は順調だったものの、やがて集客に苦戦。「新規に採用したスタッフに対して、教育が追い付いていなかった。大きな出店だったので投資額も大きく、焦りもありました。加えて肉バルブームも下火に。売上の推移を見て、思い切って業態変更することにしたんです」と韓氏は振り返る。そんな折に知人の紹介で出会ったのが森 智範氏だ。福岡・博多の大繁盛店「博多炉端 魚男」を展開する他、多数の業態プロデュースの実績を持つヒットメーカー。2人は意気投合し、韓氏は森氏に今回の業態プロデュースを依頼することとなった。
平日はワーカー、休日は家族連れの両方を取り込む店づくり
周辺には高層オフィスビルやタワーマンションが立ち並び、平日は仕事帰りのサラリーマン、休日は家族連れと二方面から集客が可能な立地だ。その特性を鑑みて、“居酒屋以上ファミレス未満”の店を目指した。キラーコンテンツには博多串焼き、ステーキ、薬膳火鍋の3本柱を据える。
1番のメインは博多串焼き。「近隣には多くの飲食店が営業するが、博多串焼きをメインに扱うところがなかった」とチョイスした。野菜を薄切り肉で巻いた“野菜巻き”は「レタス巻き」(300円)、「豚バラ紫蘇巻き」(200円)など13品、「よつみ」(200円)、「砂ずり」(150円)など“博多焼鳥”が7品、焼肉店を展開する企業らしく「名物!ネギ挟み極タン塩」(380円)「和牛シャトーブリアン」(990円)などの“牛串”が8品揃う。加えて、「人生最高の厚揚げ串」(280円)などの”変わり串“も8品。
「ばってんステーキ」と謳うステーキも、焼肉店の仕入れを生かした品々だ。「厚切り牛タン」(80g1080円~)、「牛ハラミ」(80g1580円~)、「本日の和牛ステーキ」(80g1680円~)の3種類を用意する他、「ステーキ2種盛り」(1980円)、「ステーキ3種盛り」(2980円)も。さらに多人数の宴会向けに「博多薬膳鍋」(1人前1980円、2名分から注文可)も用意。キノコや豚バラ、鶏肉に「浅草開花楼」の生麺までが入り、店内の一角に設置した薬膳バーで、20種類の薬膳からお客が好みのものをブレンドして楽しめる。この他、一品料理や〆メニュー、デザートまでラインアップ。無料食べ放題の綿菓子機も設置し、子ども連れに喜ばれているという。
ドリンクはビールからハイボール、サワー、日本酒、焼酎、ワインなど幅広く揃えるが、自家製や無添加にこだわり、オリジナリティを打ち出している。コーラやカルピスも自家製で、「自家製コークハイボール」「自家製カルピスハイボール」(各580円)などで楽しめる。サワーは酵素を配合した「名物!すりおろしレモンサワー」(680円)「糸島紫蘇サワー」(580円)などを用意し、健康志向を意識する。ワインは多くが自然派で、グラス480円~、ボトル3200円~。
スマホによる注文システムを採用し、スタッフは“人にしかできないサービス”に注力
オーダーはお客のスマートフォンから専用サイトを読み込み、そこに入力するシステムを採用。お客はスタッフを呼ぶことなく注文を済ませられる仕組みだ。人材不足に対応する策でもあるが、それ以上に“人にしかできないサービスに注力したい”という狙いがある。例えばスタッフがお客の目の前でトマトを液体窒素で凍らせる「-196℃の冷やしフルーツトマト」(780円)のように、卓上でのパフォーマンスがウリのメニューも多数用意。「お客様とのコミュニケーションのきっかけにして、満足度を上げたい」と韓氏。スタッフは機械的な作業ではなく、コミュニケーションにつながる接客にマンパワーを割く仕組みだ。
接客面に関しては絶好調(東京都新宿区、代表取締役:吉田将紀氏)がコンサルに入る。居酒屋の接客力を競う「S1サーバーグランプリ」で優勝経験を持つ同社専務の松村康夫氏がスタッフ教育にあたり、ハード面だけでなくソフト面も抜かりない。
今後、同社では引き続きメインブランド「黒毛和牛焼肉 うしくろ」を展開していく意向だ。「1つの業態に磨きをかけながら多店舗展開することが方針。2020年までに10店舗が目標ですが、あくまで目安で、全店黒字であることが重要。下町ナンバー1焼肉店を目指します」と韓氏は話す。
店舗データ
店名 | 博多串焼き 曇天ばってん晴天 |
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住所 | 東京都江東区豊洲3-1-1 豊洲IHIビル 1F |
アクセス | 有楽町線・豊洲駅1c出口から徒歩5分、ゆりかもめ・豊洲駅から徒歩9分 |
電話 | 03-5548-0129 |
営業時間 | 【月~木】17:00-23:30(LO23:00)【金・土・祝前日】17:00-24:00(LO23:30)【日】17:00-23:00(LO22:30) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 40坪80席 |
運営会社 | 株式会社サンエイフーズ |
オープン日 | 2019年7月11日 |
関連リンク | 博多串焼き 曇天ばってん晴天(FB) |
関連リンク | サンエイフーズ(HP) |