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「大田区で一番」を目指す第5世代の注目株・梅林グループが、4店舗目となる「はなれの梅林」を大森町にオープン。業態は炉端焼居酒屋に初挑戦!

7月8日、京急の大森町駅前に「はなれの梅林」がオープンした。運営は、京急の梅屋敷駅近くに居酒屋2店舗と焼肉1店舗をドミナント展開してきた梅林(東京都大田区)。創業から10年、二人三脚で歩んできた代表の小林寛正氏が32歳、専務の吉鶴拓也氏が30歳という第5世代の注目株で、今回インタビューした吉鶴氏は「まずは大田区で一番を目指す」と力強く話す。4店舗目の「はなれの梅林」は、同社にとって初挑戦となる炉端焼き居酒屋だ。

京急の大森駅から徒歩で数十秒の駅前立地。ビルの1階と2階の2フロア営業で、ファサードはガラス張りにして入りやすい雰囲気にしている
1階は10席のカウンターをメインに、スタンディングコーナー(4人分)も用意。オープンキチンのライブ感がある空間だ
2階には、テーブル席の他に座敷席も設け、グループ客にも対応。地域のファミリー客もターゲットにしている
炉端焼の売り物は干物。写真は「特大あじの開き(半身)」と「伴助ホッケ開き(半身)」
炉端焼で提供する野菜の数々。「長ナス」、「どんこしいたけ」、「タマネギ」など
左から2番目が代表の小林寛正氏、左端が専務の吉鶴拓也氏。二人は中学生時代からの友人。右から2番目は店長を務める坂本真明氏、右端は社員の益成大介氏

(取材=亀高 斉)


10年前、22歳と20歳の若者が夢を語り合って開業

梅林(ばいりん)の創業は、今から10年前の2009年6月。京急の梅屋敷駅近くに1号店の「大衆居酒屋 梅林」を開業した。代表の小林氏が22歳、専務の吉鶴氏が20歳の時だ。二人とも居酒屋でのアルバイト経験しかなかったが、小林氏は不動産業を営む母親が所有している物件を借り入れて開業することを決意。その際、中学・高校時代から仲が良かった吉鶴氏に、小林氏と同級生だった吉鶴氏の姉を通じて声をかけたのが、一緒に開業するきっかけとなった。

開業時、吉鶴氏は大学生で、実はすでに就職の内定ももらっていた。それでも、小林氏と一緒に居酒屋を開業することを決めたのは、一言で言えば、「やりたいことが同じだった」からだ。二人で連日、夢を語り合う中で、「飲食を通じて街を作っていく。そして、いつかは世界へ」というビジョンが定まり、「僕たち二人は兄弟みたいなものです。役割も太陽と月を交互にやっている感じです」(吉鶴氏)という二人三脚の歩みが始まった。

1号店を28坪・月商900万円に。地域密着で採用経費ゼロ

吉鶴氏は、大学卒業までは同社でアルバイトとして働き、卒業後に店長に就任。以来、毎年売上を伸ばし、「大衆居酒屋 梅林」を28坪で月商900万円の繁盛店に成長させた。その秘訣について聞くと、「やはり『人』です。飲食店は営業内容も、衛生面なども、どこまでいっても人次第。何よりも大切にしてきたのは、スタッフが働いていて楽しい環境を作ることです」という。

店舗展開についても、「中身がともなっていない成長は絶対にしてはいけない」と開業当初から肝に銘じていた。焦って店数を増やすのではなく、長く地元で愛される店を作っていくために、人材面や資金面、地域の人たちとのつながりといった土台をしっかりと築いてから店舗展開に着手。創業から8年後の2017年4月に2号店の「本気の恩返し 梅林 本店」を、2018年7月に3号店の「焼肉 ご縁」を、1号店の「大衆居酒屋 梅林」から50m圏内に出店し、梅屋敷でのドミナント展開を進めた。

地域に根付いた店づくりが、人材の確保につながっているのも特筆すべき点の一つだ。今、梅林で働いているスタッフのほとんどは、元々常連のお客や、小学生や中学生の時に親と一緒に同社の店を利用していたメンバー。新店舗の出店の際にも募集広告を出したことはなく、創業から10年間、なんと「採用経費ゼロ」が続いている。

新店のミッションは「大森町に飲む文化を根づかせる」

梅林の店づくりは、「街に必要なもの」、「街にないもの」を生み出していくという考え方がベースになっている。お祭り感を出している「大衆居酒屋 梅林」(客単価2800円)で街に活気を生み出し、手作りや無農薬野菜にこだわった「本気の恩返し 梅林 本店」(客単価3500円)は「街に健康を!」がコンセプト。「焼肉ご縁」は、記念日などに自分へのご褒美に美味しい焼肉を楽しめるような客単価5000円の焼肉店で、「梅屋敷で素敵な人と素敵な時間を過ごして欲しい」という思いで出店した。

そして、梅屋敷駅の隣駅・大森町駅前に出店した4店舗目の「はなれの梅林」は、「大森町に地元で飲む文化を根づかせる」ことをミッションにしている。飲み屋街があるJRの大森駅とは違い、京急の大森町駅周辺には飲み屋自体が少ない。「駅を降りてそのまま家に帰るのではなく、思わず立ち寄って一杯飲みたくなるような店を大森町に作りたいと考えました」と吉鶴氏は話す。そのため、ファサードはガラス張りにし、まず入りやすさを重視。店内も、フランクな雰囲気にして気軽に利用してもらえるようにしている。

野菜を友好都市から産直。いずれは干物も手作りで!

業態は、店長の坂本真明氏が魚好きだったこともあって、同社にとって初となる「炉端焼居酒屋」に挑戦した。「特大あじ開き(半身)」、「特大いわし開き」、「伴助ホッケ開き(半身)」、「さば文化干し」、「こまい天日干し」(各600円)などの干物を売り物にし、他に「長ナス(半身)」(300円)、「どんこしいたけ(1個)」(280円)、「焼もろこし(1/4)」(300円)、「タマネギ(1玉)」(380円)などの野菜、「厚切りベーコン」(680円)、「鶏もも塩こうじ漬」(680円)などの肉の炉端焼メニューを揃える。今後、野菜は大田区の友好都市・長野県東御市からの産直野菜も使うなど素材にこだわり、干物は店で手作りしていきたいと考えている。

炉端焼の脇を固めるのは、毎日15種類ほど用意する日替わりのおばんざいと刺身。取材時の内容で紹介すると、「切り干し大根」(300円)、「しらすおろし」(300円)、「砂肝えんがわ」(300円)、「かつお土佐造り」(680円)、「生だこ刺」(480円)、「生うに」(680円)、「トロサーモン刺」(480円)といったラインナップだ。炉端焼の焼き上がりまでには15分ほどかかるので、その待ち時間におばんざいと刺身を楽しんでもらう。おばんざいと刺身、炉端焼とともにドリンクを3杯くらい飲んでもらい、それに〆の食事などを加えた客単価の想定は3200円だ。

客席は1階が16席で、2階が22席。1階は、カウンター席をメインにスタンディングコーナーも設けているので、1~2人の少人数客が利用しやすい。「大森町は単身世帯が多いので、お一人様にはこのお店で飲み仲間を作って欲しい」(吉鶴氏)という発想にも、地域密着の精神がある。焼酎のボトルの価格をかなり抑え(「吉左右」、「黒霧島」など6種類がすべて1680円)、ボトルキープの利用を促しているのもリピーターを増やす仕掛けの一つだ。一方、2階にはグループ客に対応する座敷席も用意。地域のファミリー客にも、美味しい魚と野菜を健康的に楽しんでもらえる居酒屋を目指している。

不動産事業も手掛ける強みを生かした店舗展開

梅屋敷から大森町へと出店エリアを広げ、着実に成長を遂げている梅林の目的は「街づくり」。その上で、「まずは大田区で1番になること」を目標に掲げる。「今は自分たちから行政に大田区の街づくりを働きかけていますが、目標とするのは、行政から自分たちに声がかかるくらいの実力と知名度がある会社になることです」と吉鶴氏は話す。

代表の小林氏は、先祖から引き継いだ不動産事業の会社代表(3代目)も兼務。店舗展開では不動産事業を手掛けているのも強みで、4号店の「はなれの梅林」を駅前の好立地に出店できたのも、それが大きな理由だ。物件の取得はビルを丸ごと買い取る形にし、飲食業と不動産業を上手く連動させる方法を採用しているのも注目される。今後は大田区で最も大きな街、蒲田などでも勝負したいと考えており、飲食事業の当面の売上目標は「7年後に10億」だ。

大田区を世界的な街へ。そして大田区から世界へ

梅林は、飲食事業と不動産事業だけでなく、将来的には教育事業なども手掛けていくことを視野に入れている。それらの様々な事業で「街を活性化していきたい」という思いが、さらなる成長を目指す原動力になっている。

「大田区には素晴らしい下町文化があります。価値のあるものはさらに価値を高め、一方で街に無いものは新たに作っていく。街の活性化には、その両方が必要です。大田区には世界の窓口である羽田空港もあります。羽田空港を利用した旅行者が、すぐに渋谷や新宿に行ってしまうのではなく、まずは大田区の街に立ち寄る。大田区を、それくらい魅力がある世界的な街にしたいのです。そして、いずれは海外に出店し、自分たちが大田区から世界を目指したい」(吉鶴氏)という言葉にも明確なビジョンがうかがえ、その若きエネルギーと力強い歩みはまさに期待の第5世代だ。

店舗データ

店名 はなれの梅林(はなれのばいりん)
住所 東京都大田区大森西5-10-10

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アクセス 大森町駅から徒歩30秒
電話 03-5763-5311
営業時間 17:00~24:00(LO23:00)
定休日 木曜
坪数客数 30坪36席
客単価 3200円
運営会社 梅林株式会社
オープン日 2019年7月8日
関連リンク “第5世代”が考えるこれからの飲食店の価値とは(記事)
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※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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