中野ブロードウェイを抜けた中野通り沿いに、9月2日、「七輪焼肉 日本代表」がオープンした。運営会社の商楽(東京都新宿区、代表取締役:西添武氏)は、都内にて「炭火焼鳥 どげん」、「串揚げ しゃかりき」など複数の業態を展開。焼肉では「肉ばんさい」という業態を経営しているが、こちらは団体や家族連れがメインの焼肉店であるのに対し、今回はカウンターでひとり飲みを楽しむコンセプトで店舗づくりをした。「女性おひとりでも、気兼ねなく来ていただきたい」という西添氏の思いは、広々としたカウンターや、特注の煙が立ちにくいロースターという形で表現されており、開店間もないが女性客を中心に評判は上々だという。もちろん、奥にはテーブル席も用意しており、グループでの利用にも対応。隙のない店舗設計になっている。
開店と閉店を繰り返して培った戦略眼
西添氏は、関西の串焼きや焼肉、串揚げなどの幅広い店舗展開をする会社で経験を積んでいた。その中で、知人が海外で出店をする場面をよく見るようになり、自分自身も興味を持つようになった。「やりたい! と思ったことは絶対実現するべきだという性分でして。ならば、自分で会社を起こして始めてみようかと思ったんです」とは、西添氏。料理の技術や経営のノウハウを充分に学び、2002年に東京で「炭火焼き鳥 どげん」をオープンし独立。その後も1年に1店舗のペースで店舗を展開していく。
5年目に差し掛かったころ、台湾にてしゃぶしゃぶ業態の「しゃぶしゃぶ・土方鍋ノ助」を出店し、念願の海外進出を果たす。次いで門前仲町にも同店をオープン。当時を振り返り、西添氏は「勝負をかけた年だった」と、語る。しかし、この2店舗同時出店は前途多難な道のりとなった。
開店当初は調子のよかった台湾の店舗では、オープンのバタバタが落ち着いたころに西添氏が帰国、すると売り上げがガクンと下がってしまった。現地でのしっかりとしたスタッフ教育が足りず、組織として機能していなかったのだ。また、門前仲町の店舗も季節指数の影響が大きく、人件費もかかり、安定した利益を得ることに苦戦する。結果的に、西添氏はこの2店舗の閉店という決断を下す。
「店を開くときに比べて、たたむ時の判断は本当に難しいんです。でも、あの時に悩んで、迷って、色々な先輩にも相談した上で出した決断だったからこそ、大事なことを学べたと感じています」と語る。この時の経験から西添氏は、ネガティブなイメージを持ちがちな閉店の判断だが、会社を経営する上で、グループ店舗全体を活かすための戦略のひとつだと考えるようになり、視野が広がったという。その後も、既存店舗の展開を続け、今回の出店に至る。独立してから16年、山あり谷ありだったが、そこで学んだことを詰め込んで、新しいコンセプトの焼き肉店に挑戦しようと決意した。
店舗全体のコスト管理によって、看板メニューが活きる
西添氏が胸を張って勧めるのは「ヘレステーキ」(1380円)だ。丁寧に脂を掃除した南九州産の厚切りヒレ肉は、口中の温度でとろけるほど柔らかい。「看板メニューだからこそ、コスパよく食べてもらいたい」と、このメニューの原価率は実に80%を超えるという。満席でも少ない人数で顧客満足度を下げないオペレーションを考えたり、ロスの少ない仕入れ量を考えたりと、店舗全体のコストを管理することで、看板メニューをリーズナブルに提供。他に、「特上カルビ」(1380円)や「特上ロース」(1580円)、「特選赤身肉」(1200円)などの上質な和牛を揃える一方、「上タン」(1250円)や「ハラミ」(750円)、「レバー」(480円)、「上ミノ」(620円)のような定番も充実。また、「白菜キムチ」(380円)や「センマイ刺し」(650円)、「牛すじ煮込み」(380円)などのおつまみも充実。ご飯ものは「盛岡冷麺」(570円)、「炙り肉寿司 四貫」(880円)が人気だ。
ドリンクは、生のショウガを樽で漬け込んで作った「生姜漬け込みサワー」(500円)がおすすめ。さらに、「生ビール」(450円)、本格焼酎は芋と麦を揃え各450円(ボトルは2300円)、日本酒(450円~)、ワイン(350円)、ウイスキー(450円)やカクテル(各450円)など、ひととおりのラインナップを揃えている。
尽きることないモチベーション。次の展開もすでに動いている
西添氏は、「日本代表」ではお客が飽きることのないように色々なメニューを試していけたらと考えているという。それと同時に、会社としては海外でメジャーだが、日本では知られていない業態を検討中だ。「すでにやりたい業態のビジネスモデルは決まっているんです。近いうちに現地の店に弟子入りして勉強して、来年には出店しようと思っています」と、西添氏は力強く語った。
店舗データ
店名 | 七輪焼肉 日本代表 中野本店 |
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住所 | 東京都中野区中野5-49-6 |
アクセス | JR線中野駅から徒歩10分 |
電話 | 03-5942-9858 |
営業時間 | 17:00~翌3:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 15坪 28席 |
客単価 | 3800~4000円 |
運営会社 | 有限会社商楽 |
オープン日 | 2018年9月2日 |