中野駅南口からすぐのレンガ坂に、スペインとメキシコなどの魚介ラテン料理を提供する「Boqueria(ボケリア)」が、昨年12月7日オープンした。大衆酒場が多いイメージの中野だが、レンガ坂は近年、小洒落たバルが集まる特異なエリアだ。経営は、チャップル・コーポレーション(東京都千代田区、代表取締役 原田信広氏)。同社の1店舗目「熟成塩ぶたと古来種野菜のお店root(ルート)」も同じレンガ坂にあり、スタッフ全員が世界一周旅行経験者でオープンしたというユニークなダイニングバーだ。代表の原田氏は「『食』という共通の目的が、新しい出会いやコミュニケーションを生む。その拠点として人が集まる店にしたい」と語る。
同氏は、58カ国130都市を訪れた旅人でありながら、フィギュアとトレーディングカードショップ「ハビコロ玩具」を7店舗運営する経営者、世界大会でも準優勝経験のあるブレイクダンサー、エクストリーム一輪車のライダーとしても名を馳せるなど、かなり多彩な経歴の持ち主。同氏が飲食店をはじめたのは、世界一周旅行を通して、「食」が人をつなぐ現場をどの国でも目撃し続けてきたからだという。「旅先では自分や相手の年齢や職業、バックグラウンドなどは関係なく、人として仲良くなれる。そんな旅先での『出会い』を東京にもつくりたくて、帰国後に飲食店をオープンさせました」と話す。古民家を改装してつくった「root」は連日多様な人々が集まる人気店になった。
2店舗目として「Boqueria」を出店したのは、1店舗目の立ち上げからシェフをつとめる堀江功一氏の影響も大きいという。堀江氏は豪華客船飛鳥の料理人として、7年間世界中の市場を巡り、食材を仕入れてきた。その堀江氏が最も感動した市場が、スペイン・バルセロナにある「ラ・ボケリア」だったという。市場の活気、新鮮で色彩豊かな食材、匂い、雰囲気、すべてに魅せられて、船を降りた。その後は、在バルセロナ日本国総領事館公邸の料理長として腕を磨いてきた。帰国後、共通の友人に原田氏を紹介され「root」の立ち上げに参加した。
メニューは海産物を豪快に使った港町バルセロナらしい料理がメインに並ぶ。「殻つき生ウニの特濃プリン」(599円)、「渡り蟹のパエージャ」(2480円)、ラテン各国の伝統料理をベースに開発。タパスには、メキシコ風アメリカ料理「テックスメックス」の要素が入っている。原田氏がアメリカでダンサーとして活躍していた時に、毎日食べていたものだ。「鮮魚とアボカドのセビーチェ」、スペインの定番コロッケ「バカラオのクロケタス」(いずれも499円)、「ボケリア特製タコス」(1280円)など、手軽につまめる各地の伝統料理が充実する。ドリンクはモヒートやカイピリーニャといった南米生まれのカクテルや、「チャコリ」(グラス750円、ボトル3800円)と呼ばれるスペイン・バスク地方の地酒、微発泡の白ワインなどを提供する。
1店舗目と同様に古民家を改装した内装は、木や人の温もりが感じられ、田舎に帰ったようなくつろぎや懐かしさを覚える雰囲気だ。1階から2階までが吹き抜けになっており、店全体に一体感を出している。2階にはDJブースや140インチのプロジェクターが設置されており、パーティ利用も可能だ。今後は、サブカル発信の街・中野や秋葉原を中心に「人が集って、食べて、出会う店」を展開していきたいという。
店舗データ
店名 | Boqueria(ボケリア) |
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住所 | 東京都中野区中野3-35-6 1F |
アクセス | JR中央線・東京メトロ東西線「中野駅」から徒歩2分 |
電話 | 03-6883-8234 |
営業時間 | 17:30〜26:00 |
定休日 | 月曜日 |
坪数客数 | 30坪 50席 |
客単価 | 4000円 |
運営会社 | 有限会社チャップル・コーポレーション |
関連リンク | Boqueria(FB) |
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