JR立川駅南口、錦中央通り商店街に「大衆酒場感覚で気軽に日本酒とクラフトビールが楽しめ店」がコンセプトの居酒屋「しみず酒美家(しみずさけびや)」が9月9日オープンした。経営は、遠藤酒場(東京都立川市、代表取締役:遠藤英樹氏)。オーナーの遠藤氏は、24年間大手レジャー企業の運営管理に従事する。同社の提案制度を使い、「社内ベンチャーによる居酒屋開業」を提案するも不採用。しかし、それがきっかけとなり、某遊園地内にて直営飲食店プロジェクトの統括責任者に任命され、今の原型となる売店「FOOD STATION」をオープンさせた。当時、今ほど脚光を浴びていなかった“ご当地グルメ”や“国産のクラフトビール”に焦点をおき、電車の車両のコンテナを使って、遊園地内にありながらアルコールに重点をおいた「大人のための酒場」を企画したという。特にナイター営業にて絶大な人気を博し、遊園地内のメインレストランを抑えて園内一の売上を記録した日もあったという。3年間、仕入れから運営まで全てを統括し、好成績を収めた実績を持って、かねてより温めていたという自身の故郷である静岡県清水の食材を使った店をセカンドライフ起業した。
遠藤氏は、店名の由来を静岡県・清水で食べられる酒肴と酒、ビールを扱うことから「しみず=清水」「さけ=日本酒」「びや=ビール」から「しみず酒美家(しみずさけびや)」と命名したと話す。「地元で日常の食卓にならぶ“まぐろの目玉”や“かつおの心臓”などの酒肴は、ほかの土地では珍しいものだということに地元を離れて気がつきました。地元の食材を使うことで、他店との差別化を図りつつ、自分の生まれ故郷・清水のことをもっと知ってもらえると思いました」と同氏。ひとり飲みが気軽にできるようにカウンター席を多く設け、老舗大衆酒場のような雰囲気の温かくて居心地のよい空間を目指す。
メニューは、B級グルメで名を馳せた真っ黒い出汁がしみこんだ「しぞーかおでん5種盛り」(600円)をはじめ、清水港で水揚げされる「まぐろの目玉の煮付け」(550円)や焼津港から水揚げされる“かつおの心臓”をつかった「かつおへその味噌煮」(500円)。なかには、聞き慣れない「いるかのたれ焼き」(500円)や「いるかの煮付け」(500円)などの “いるか料理”もあり、地元では日常の家庭にならぶという。清水の食材をつかったもののほかに、「ハムカツ」(500円)、「ホテトサラダ」(400円)など、誰もが食べ親しんでいるもので構成される。また、サービス料を「お心づけ」と名付け、お通しのほかに〆の自家精米ごはん、味噌汁、ミニアイスなどをサービス品として提供している。
酒は、清水の銘酒「臥龍梅」を約15種と遠藤氏自身が好きな「王祿」約10種をメインに“日本酒嫌い”の人にこそ是非飲んでもらいたいという思いを込めて40~50種ほどセレクトし、「90ml 350円(お猪口)」「120ml 450円(グラス)」「150ml 450円(徳利)」より提供する。さらに、元祖地ビールの「サンクトガーレン」を中心に「ベアレンビール」「ひでじビール」「箕面ビール」など、国内のクラフトビールをボトルで15種ほど取り揃える。ほかにも「ギネス」「キリン」「サッポロ」のラガーなどもボトルで用意する。ビールは、冷蔵庫の中から客が自由に選び出せるシステムを取り入れることで、酒のラベルから造り手の思いを客自身が感じて選べるようにしている。
「まずは、認知度を上げ、この店を軌道に乗せること。気軽に立ち寄ってもらい、人と人が交流し、楽しく過ごせたり、リラックスできたり、元気になれる第三の場所となれるように、おひとり様からグループ客までもが居心地のよい空間となる店づくりをしっかりして行きたいです」と遠藤氏。同氏は、第二の人生を起業したばかりだ。ミドルエイジ世代ならではのノウハウを活かした独立開業に今後も注目したい。