鮨屋を営む家に生まれ、15歳から10年京都で修行後Uターンし、最近まで本格京懐石の恵比寿「凹町」ほか、和食一筋に歩んで約20年の岡田敬一氏が、念願の独立を果たし、“京都より、京都らしく”を信条とした本格和食「京しずく」を恵比寿東口側に5月20日オープンした。「ここは京都ではないので、店名に京料理という冠はあえて付けず、“京しずく”としました」とは、店主、岡田氏談。しずくとは、出汁のことでもあり、その一滴一滴のしずくや、京のエッセンシャルを大切にしたいという想いが込められている。食材は、京野菜から調味料、漬物、茶まで京都から取り寄せるものがほとんどだが、中でも生麩は特注で、季節によってえんどう豆、栗、銀杏等で特別に作る逸品。醤油や味噌は、店内でブレンドして使う。店は完全予約制で、おまかせ10品ほどの料理は、茶懐石と精進料理を組み合わせたもの。朝、店で精米した米を用い、同氏も監修した有田焼の土鍋によるごはんを出すほか、八つ橋やわらびもち、練りきりやようかんの和菓子も自家製という、徹底したこだわりが伺える。店内は、希少な赤イチョウの一枚板のカウンター8席に、茶室をイメージし、藁を練り込んだ土壁の個室が一室。カウンターは、全ての火口や火鉢、茶釜が置かれ、煮る、焼く、茶を点てるなど、どの工程ももちろん見れるが、個室でも、焼物などの一部は、部屋で仕上げてくれるパフォーマンスも。昼は竹篭(3,850円)とミニ懐石(5,850円)と、夜はおまかせ12,000円、16,000円、25,000円の3コース。ドリンクは、ワインとシャンパン以外のカクテルやウィスキー、ブランデーといった洋酒は置かず、日本酒をメインに、焼酎や梅酒など和酒が中心。また、料理とお酒をコーディネートしたいという意図から、あえてメニュー表はなく、そのとき食べている料理にあった酒を勧める方針だ。料理人歴20年ながら、まだ34歳の店主・岡田氏は、「京料理に徹し、極めながら、ただ料理を提供するだけの料理人でなはく、京都の食文化をストーリー的に愉しんでもらえるよう、パフォーマーとして精進していきたい」と、熱い心意気を語ってくれた。
店舗データ
店名 | 京しずく |
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住所 | 東京都目黒区三田1-12-25 |
電話 | 03-5721-8139 |
営業時間 | 11:30-13:30(L.O.) 17:30-21:00(L.O.) |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 14席(カウンター8席・個室6席) |