たしかに、「銀座バブル」は銀座の街を歩いてみれば実感できる。8丁目のクラブ街が賑わっているのは「格差バブル」であって本質ではない。目線を低 くして街を歩くと、そこかしこに新築ビルの建設ラッシュの風景が目に入るのだ。とくに銀座2~3丁目の中央通りと電通通りに挟まれたエリアと銀座7丁目の 中央通りと昭和通りに挟まれた一角。 銀座7丁目の「ライオン銀座7丁目店」の裏には、10月17日にワンランク上の「銀座ワシントンホテル」(13階建て)がオープンする。その地下1 階にテナントとして入る「筑紫楼銀座店」(10月1日先行オープン)は“クラッシック&ゴージャス”をテーマに巨大水槽に泳ぐ鮮魚や世界中の鮫から客がそ の日食べたいものを選べる演出。空間にはゴールドが散りばめられている、まさにアッパーターゲットの高級中華となる。しかも平日は朝4時までミッドナイト 営業を行うという。 来年、2007年は六本木ミッドタウン(三井不動産)、新丸ビル(三菱地所)の開業を機に「第2次レストランバブル」が到来するが、銀座2丁目エリ アでも“もう一つのMM(三井・三菱)戦争”が繰り広げられる。話題性では、春にオープンする予定の「Gプロジェクト=三井」がコンランレストランの誘致 決定で先行しているが、三菱がリーシングを担当する「読売銀座2丁目ビル」(秋オープン予定)もどんな玉が飛び出すか見ものである。 この周辺では、旧大成建設本社跡地にやはり来春、「銀座2丁目ビル」「銀座マロニエビル」「GM銀座本館ビル」の3棟の商業・オフィスビルが建つ。 さらに、秋にGプロジェクトの隣に「イノックスビル」、4丁目には「セイコービル」が竣工する。まさに不動産開発バブル以外の何ものでもない。さらに電通 通りを挟んだ有楽町側には、丸井をキーテナントとした巨大再開発プロジェクトが進んでいる。こちらも来年の春にオープンする予定。有楽町マリオンが誕生し たのがバブル前の1984年。それから四半世紀を迎え、いま再び本物のバブル前兆なのか、それとも局地バブルに終わるのだろうか。「銀座バブル」の行方が 日本経済浮沈のリトマス試験紙になるかもしれない。
コラム
2006.08.02
日本経済の先行きを占う「銀座バブル」
国税庁が発表した全国の「路線価」によると、銀座中央通り(5丁目)が前年比24%アップで上昇率全国トップ。「局地バブル」の象徴とされている。
佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。