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コラム

真夏の西新宿「痛飲日記」

このコラムで、何回か前に「新宿3丁目」の盛り上がりについて書いたが、新宿西口の「西新宿1丁目」(ヨドバシカメラ周辺)と「西新宿7丁目」(小滝橋通り周辺)もいま面白いエリアである。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


まず「西新宿1丁目」。ここで発見したのは不思議な立ち飲み屋「新宿ばーる」である。17時オープン。近くに4棟建ての物件が出たというのでチェッ クに行った(1階の元ドトールコーヒーの後が坪10万!?)ついでだったのが、「新宿ばーる」(03-3342-5801)というネーミングもいいし、看 板に「元祖立飲み」とあるだけに覗かざる得なかった。店はなんと地下1階である。どうせガラガラだろうと高を括って暖簾をくぐると、ネクタイ族(いまどき クールビズでない人たち)でいっぱい。 おそらく都庁のお役人たち? 17時台に飲めるネクタイ族はそれしかあるまい。まさに地下のネズミ族だ。しかし、19時を回ると(気に入ったので連 れを呼びました)、客層が一変! 若いカップルやOL二人連れが続々とやってくる。人気の秘密は、とにかく安い。しかも旨いこと。メニューは「つくねも り」「もつ煮」など立ち飲みの定番だが、ちょっと調理法に工夫がある。これは只者ではない、と平岩学店長に即席インタビュー。聞けば、彼はフレンチとイタ リアンで相当修行を積んでいるとか。最近、2号店「大久保バール」(03-3361-5201)というイタリアンバールを出したらしいが、要注目の若手の 一人だろう。それにしても、「立ち飲みは1階でなければならない」という常識は「新宿ばーる」が覆してくれる。 そして「新宿7丁目」。いま注目のストリートは靖国通りを新しく出来た宝塚造形芸術大学(名前がいい)の角から入って小滝橋通りに抜ける道。いまこ こは「飲食こだわり通り」と呼ばれているらしい。新宿3丁目ほど業界人(出版、放送、広告代理店、アパレル等)が出没するエリアではないが、一般サラリー マン向けに業界人(こちらは飲食人)が情報を発信する“プチ・ディープ”な通りとでも言おうか。その証が、牛角や高田屋などのFC業態がが一世風靡したこ と。いまもベンチャーリンクの「陳麻家」が通りを明るく照らしていた。ただ、これらのFCチェーン店は暖簾の大きさの割りに通りにオーラを放ってはいな い。 いまこの通りで元気なのは、博多からやってきた、水たき・鳥料理の「博多 華善」(03-5386-5022)。8月下旬には銀座店もオープンする 勢いのある地方コンテンツだ。そのすぐ目の前にあるのが、韓国創作料理の「てじまぅる新宿店」(03-5348-5535)。詳しくは、ヘッドライン新連 載【話題店check】を読んでもらいたいが、平田牧場の特選豚を大胆に使った料理を提供してくれるマッコリバーである。オーナーの高橋伸子さんは大久保 の本店を軌道に乗せ、春にこの場所で勝負に出た。山形出身の縁で平田牧場とは密接。「日本一旨い豚で韓国料理をやりたかった」。その率直な気持ちがお客さ んの舌と心に響いたに違いない。 銀座でトラジが「コリアンフレンチ」を「どぶろくバー」にリニューアルしたが、今後マッコリバースタイルは増えていくのではないか。4月に東京上陸 した激辛鶏料理「ぶるだっく」やシロガネーゼを虜にしていると言われる(?)ヨン様直営韓国料理店の登場など、“韓流ダイニング”の進化はまだまだこれか らだ。大久保→トレンドエリアだけでなく、在日3世、4世のベンチャー成功者による韓国直輸入のニューコンテンツも増えるだろう。個人的には「チャングム の誓い」の医食同源の現代版が来ると思うのだが。 西新宿・こだわり通りの終着駅は一見して普通のショットバー「ゾートロープ」だった。キャッチは「西新宿の映画な酒場」とある。映画好きが集まる バーかなと思って入るとびっくり。ビールは珍しいリアルエール、ウィスキーは日本中から集めた「国産モルト」がずらりと揃っている。大手メーカーの製品は ほとんど品切れになった年代物のみ。ここはビールマニア、洋酒マニアのメッカであった。オーナーの堀上敦さんにすすめられるままに、これまで飲んだことも 見たこともない「国産洋酒」を痛飲した。マッコリバーでは「黒豆マッコリ」「ホワイトアイ」(マッコリ×ビール)「ジンマッコリ」を飲んだ後だけに、次の 日は……。

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