函館から本州に寄った北海道は道南エリア。人口2万人弱の小さな町である八雲町は、東側は日本海、西側は太平洋と二つの大海に面し、豊富な海鮮類に恵まれている。日本海側では甘エビ、ホタテ、ウニ、アワビ。太平洋側ではカニ、ホタテ、ホッキ貝、つぶ貝、カレイ、平目など高級と言われる魚介が日々、3つもある漁港で水揚げされる。そんな、八雲町の自然の恵みを友人から送られ、その新鮮な美味しさに感動したことから始まった「ご当地酒場 北海道八雲町」。代表の合掌智宏氏は縁もない八雲町役場に直接、自ら出向き、農林水産課、観光課などの役場の職員に「ご当地酒場 八雲町」構想のプレゼンテーションを行ない、賛同を得た。町の全面バックアップもあり、その日から僅か1ヶ月半後、1号店、日本橋店を三越前にオープン。さらに1年後、浜松町に2号店を開くほどに、合掌氏は八雲町の多くの優れた食材に信頼を寄せる。毎日、お店に届く新鮮な魚介は、八雲町漁協から直送されるように、八雲町サイドも町長を筆頭に、町ぐるみの協力も得た八雲町公認のご当地郷土業態である。
代表の合掌氏(funfunction)の出身は福井県。25歳の時、地元で飲食業の世界に入り、26歳のとき、その企業が東京に出店した福井県の郷土料理業態店の店長を経て、27歳で独立を果たした。店長時代に得た経験もあり、独立当初から地方をテーマとした店づくりを考えているなか、八雲町と出会った。
2号店の浜松町店は地下鉄大門駅からわずか5秒、第一京浜に面した好立地にあり、同店は、合掌氏の実弟、合掌厚朗氏が店長として仕切る。漁協の木札を並べたファサード、透明なガラス引き戸のすぐ向こうに八雲町の大漁旗を上げた環境は一際目を引く。エントランス脇には、直送される幾種類もの貝類が入る冷蔵ケースが置かれ、海鮮を中心とした郷土業態としてのリアル感を高めている。
料理メニューは、海鮮を中心とした日替わりとして「ズワイカニ」、「ホタテ」、「ホッキ貝」などに加え「ホッケ刺し」、「青つぶ貝刺し」と、北海道でも貴重なアイテムに、北海道名物の「チカ」などがラインナップされる。グランドメニューには八雲町の漁師手作りの干物類のほか「八雲町産じゃがいもコロッケ」、「名物塩辛じゃがバター」「いくらじゃがバター」と、素朴ながら食材の旨み溢れる北海道らしい料理が揃う。こうした海鮮類の多くは490円、590円と、バリューパフォーマンス性が高く、リピーターが多いのもうなずける。一方、アルコールは同店名物の「元山牧場の牛乳ハイ」「元山牧場のコーヒー牛乳ハイ」(各590円)、「北海道産メロンハイボール」(390円)に北海道産ワイン、北海道地焼酎といった、ご当地色も豊かなアイテムが並ぶ。
八雲町は北海道の主要産業の一つである酪農の発祥地であり、品質の良い乳製品や畜産に恵まれている。また、北海道としては温暖なエリアということもあり、畑作も盛んで、小さな町ではあるが、豊かな自然の滋味に溢れた町である。店では数はまだ少ないが「八雲熊石塩」、「釜炊き一番塩」、「昆布しょうゆ」、「まっ黒いんでなイカ?」といった物産品を現在、扱っている。八雲町には枝豆の「たまふくら」、「軟白ネギ」をはじめとした、品質もよく、味も優れた農産物、畜産品、物産品がまだ多くあるという。「自らが得た素晴らしい八雲町の魅力を広くアピールしたい」と合掌氏は熱く語る。さらに八雲町自体のブランド化を視野にネットショップの展開と、もう1店舗の出店を計画している。
今後も、同社は八雲町同様、優良な物産品を持ちながらも、発信力、アピールの場に恵まれない小さな地方都市に目を向けてのご当地開発と、郷土料理業態つくりを思案するとのことで、今後の活動が楽しみである。
店舗データ
店名 | ご当地酒場 北海道八雲町 浜松町店 |
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住所 | 東京都港区芝大門2-4-3 |
アクセス | 地下鉄 大門駅より徒歩5秒、JR浜松町駅より徒歩4分 |
電話 | 03-5408-3393 |
営業時間 | 昼11:30~14:00、夜17:00~23:30 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 70席・40坪 |
客単価 | 3400円 |
運営会社 | 株式会社funfunction |
関連リンク | 北海道八雲町 浜松町店 |