「アキバ系」や「メガネ男子」、「草食男子」が流行し、フェミニンな男性が市民権を得る時代に、質実剛健なニッポン男子のよさを伝えたい――そんな発想から生まれたユニークな和食店「料理屋 三船」が6月29日、六本木七7丁目にオープンする。日本を代表する俳優、三船敏郎氏の世界観を表現した店で、企画・運営するのは、店創りに飲食業界のクリエーターを監督として起用する“ロードショープロジェクト”を推進する東京レストランツファクトリー(港区六本木、代表取締役・渡邉仁氏)。かねてより黒沢映画のファンであり、なかでも三船氏を敬愛していたという代表取締役の渡邉氏が、三船プロダクションの全面的な協力を得て実現に至った。
三船敏郎氏は黒沢映画では欠かせない俳優として、「七人の侍」「椿三十郎」など多くの作品に出演し、国内はもとより、ベネツィア国際映画祭で男優賞を2回受賞するなど、「世界のミフネ」として国際的評価も高い。1997年に77歳でその生涯を終えた。「料理屋 三船」では、そんな三船氏が演じてきた「サムライ」「日本の男」像を、空間と料理、サービスを通して伝えていくという。
100年近くも前に建てられた屋敷の門をそのまま生かした入り口を抜けると、目の前に広がるのは「道場」をコンセプトにした無骨で力強い空間。三船氏の登場する映画のワンシーンに足を踏み入れたような錯覚を誘う。案内するのは、袴姿のスタッフ。人材教育には「男塾」をコンセプトに「男子たるもの○○すべからず」といった“べからず集”も取り入れるなど、精神面からも三船の名に恥じないサービスを目指す。提供する料理も、映画に登場する三船氏の食事シーンや、親族へのリサーチに基づき、実際に三船氏が映画や日常生活で好んで食したものをイメージ。人を招くことが好きで、ダイナミックな食を楽しんだ三船氏らしい味を再現する。「鉄砲串」と呼ばれる大ぶりの串物(焼き、揚げ、田楽/¥500~)、銘柄地鶏を使った各種の鶏料理(¥500~)、そして三船氏が特に好んだという鍋料理(¥1,200~)が3本柱。ほかに季節の一品料理(¥500~)や「ぶっかけ飯」などのシメのご飯もの(¥300~)も用意。いずれも素材を生かしたシンプルで大胆な料理だ。アルコールはサッポロビールの協力を得て、ジョッキにはテレビCMで使われた有名なコピー「男は黙ってサッポロビール」のロゴが入る。想定顧客は幅広い世代の男性だ。ミフネを知らない20代はエンターテインメントとしてこの店をきっかけにミフネを知るもよし、60代、70代のコアなファン世代には、この店でミフネの世界観を心ゆくまで堪能できる。
なお、この店は、東京レストランツファクトリーが行っている出店スタイル「ロードショープロジェクト」の第4弾であり、「プレミアムバージョン」として特別な意味をもたせている。今回の監督は中村悌二氏(カゲン)、総合美術に際コーポレーション、監修に三船プロダクション、総合企画・運営を東京レストランツファクトリーが行う。六本木七丁目を直営第1号店として、1~2年の間に地域限定でフランチャイズも含め全国50店舗程度の展開を予定。各店舗では「地産地消」を目指し、コンセプトや世界観は守りつつも、風土に合った独自の料理を提供する予定。いずれも店名に三船氏のサインや三船家の家紋を用いるが、タレントショップや記念館的な位置づけにはしない。ただ食事をするだけでなく、訪れることで古きよき男の世界に浸ることができる――そんな和食店の登場が、「草食男子」らの心も動かすかもしれない。
店舗データ
店名 | 料理屋 三船 |
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住所 | 東京都港区六本木7-18-7 内海ビル1F |
アクセス | 東京メトロ日比谷線六本木駅より徒歩3分 |
電話 | 03-6804-5548 |
営業時間 | ランチ11:30-13:30L.O.(14:00close) ディナー17:30-23:00L.O.(24:00close) |
定休日 | 日曜 |
坪数客数 | 40坪 55席(個室10席、テーブル36席、カウンター11席) |
客単価 | 昼¥1,000 夜¥6,000 |
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関連リンク | 東京レストランツファクトリー株式会社 |