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飲食店は電力を選んで差別化する時代!?みんな電力が目指す、サスティスナブルな電力供給とは?

サスティスナブル、SDGsといったキーワードに象徴されるよう、近年、社会では環境保全の機運が高まっている。飲食店にとって一見無縁にも見えるが、それらに取り組むかどうかで、近い将来、お客を獲得できるかどうかの分かれ道になるかもしれない。最初の一歩として始めたいのが、「みんな電力」だ。「顔の見える電力™」を謳い、再生可能エネルギーの電力小売サービスを展開している。今回は、みんな電力(東京都世田谷区)の代表取締役、大石英司氏に話を聞いた。



みんな電力株式会社 代表取締役:大石英司氏
凸版印刷に勤務、新規事業開発事業に関わった後、2011年に独立、同社を設立。

みんな電力株式会社
https://minden.co.jp/

―みんな電力の事業内容について教えてください。

2016年4月の電力自由化によって、これまで指定の電力会社から供給されていた電力を、消費者が自由に電力事業者を選べるようになりました。当社もそのひとつ。現在、電力事業者は600社を超えていますが、その中で「みんな電力」は「顔の見える電力™」をコンセプトに、電力小売り事業を行っています。

―電力で「顔の見える」とは、一体どういうことでしょうか?

電力の生産者の顔が見える、ということです。「電力なんてすべて同じで、価格以外のファクターで電力の選び方なんてあるのか?」と思う方も多いのではないでしょうか。

現状、日本で使われる電力の大部分は、石油・石炭による火力発電。燃料となる石油の多くは中東の石油生産国からのものです。ですが、実は国内にはさまざまな電力の生産地があり、太陽光、風力、水力、バイオマスなど、環境に優しいものもあります。

「みんな電力」では、国内の再エネ発電所で生産される電力を集め、HP上に一覧で表示しています。どんな土地で、どんな人達がどんな方法で作っている電気なのか、まさに“顔の見える”かたちで紹介し、個人のお客様はそこから生産者を「応援」というかたちで選び、法人のお客様はブロックチェーンを用いた電力トレーサビリティシステムにより、電力の生産地、使用量の内訳等を30分単位で可視化することができます。例えば、福島県の被災地の太陽光発電を選べば、そこにお金が落ちて震災復興にもつながるでしょう。電力を選ぶことによって、その生産者や地域を応援することができるのです。

(「みんな電力」のHPより。個人で利用する際は、「応援」したい生産者を選び、電力の供給を受ける)

―仕組みとしては「ふるさと納税」に近いですね。このようなサービスを始めようとしたきっかけはなんだったのでしょうか?

2007年ごろ、有楽町線で目の前に座っていた女性がソーラーパネル式の携帯用充電器を持ち歩いていたのを見たのがきっかけでした。充電器をバッグに付けて持ち歩くことで太陽光によって電気が作られるというもの。「電気は誰もが作ることができるんだ!」と面白みを感じて起業したのがはじまりでした。

近年では気候変動問題が叫ばれています。そんな中、環境負荷の高いCO2を排出する石炭火力を使い続け、遠くはなれたアラブの富裕層にお金を落とし続けるよりも、被災地復興のために頑張っている農家さんのソーラー発電所であったり、地元の小水力発電所などにお金を払いたいなと思うようになり「顔の見える電力」を始めました。

―社会全体で環境問題への取り組みの機運が高まっている今、「みんな電力」が果たす意義は大きいですね。

今、サスティスナブルやESG投資(環境・社会・ガバナンスを考慮に入れる投資)が世界的に注目されている。投資家は企業の環境活動の動向に目を光らせています。企業がどれくらい環境活動に注力しているのかによって、株価が左右されるといっても過言ではありません。

現在、世界でESG投資に費やされている金額は、全体の4割を占めると言われている。これだけ大きな金額ともなれば、企業も環境問題を無視するわけにはいきません。現在、みんな電力をご利用中の企業契約件数はおよそ2000件。とくにブランド力勝負のアパレル企業は多いですね。飲食企業では、ゼットン、「喜多方ラーメン坂内」の麺食などに導入していただいています。

―電力を選ぶことの重要性はわかりました。ですが、小さな飲食店にとってはどうしてもスケールの大きな話に聞こえてしまい、ピンとこないのではないでしょうか……?

株価など大企業に関する話になってしまいましたが、小さな飲食店にとっても再生可能エネルギーの電力を選ぶメリットはあります。

飲食店では、野菜や肉、魚などに対して「●●産」「●●さんが作った」と食材の産地をアピールしますよね。それと同様、「当店は●●の電力を使用している店です」と打ち出すことで、お客様に環境に配慮している企業だという印象を与えることができるのです。

食材と同じく、電力も生産者の顔を見せる時代になると予想しています。投資家が企業を環境保全活動で評価するように、お客様も飲食店を環境の観点で評価するようになると考えています。

というのも、今や日本には多くの飲食店が溢れ、料理やサービスが良いのはもはや当たり前。ワンランク上の要素で差別化する必要があります。例えば、地方創生をテーマに掲げ、ある土地の食材にこだわった料理を提供するといった飲食店も多いですよね。そんなお店が、食材だけでなく電力もその土地で作られたものを使っていると謳えば、ストーリーとして店の付加価値をさらに上げられるのではないでしょうか。

これまで電力は飲食店からすれば、水道代やガス代、家賃などと同じ単なる“コスト”でしかなかった。「みんな電力」は、それに付加価値を付けて新たな差別化要素とすることを提案しています。

―その発想はありませんでしたね。環境保全の機運が高まる今、飲食店が電力の産地で差別化する時代は、遠い未来の話ではない気がしますね。

さらに、サスティスナブルは人材雇用にも影響を及ぼしつつある。今の学生は、サスティスナブル企業に就職したいと考える人も多いんです。就職活動の際にどの程度環境問題に取り組んでいるのかで就職先を選んでいる。就職説明会でサスティスナブルや環境保全に関する質問が飛び出すのも珍しくないそうです。人手不足が深刻な飲食業界においても、環境保全への取り組みによって人材不足解消につながるかもしれません。

―電力と飲食、一見関連のなさそうなモノ同士でしたが、想像以上のつながりに驚きました。

「みんな電力」は、サスティスナブルな取り組みへの第一歩。電力の切り替えは見積りを出して簡単にできますので、ぜひ、導入を検討していただければと思います。詳細はHPをご覧ください。本日はありがとうございました。

みんな電力 詳しくはこちら

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