Q.まず最初に、田野さんが飲食店を志すきっかけはなんだったのですか?
田)うちの本社の近くに、動く町(異空間和風料理 動く町 中城「冒険の国」店)ってお店があるんですけど、そこが昔「ROCKET」ってBARだったんです。
そこでずっと働いていて、オーナーがもう少し大きなお店をやるから移転するという話があって、そのお店を手放すと言うので、自分がやらせてもらうことになったんです。それが22歳のときですね。600万借金して、買い取ったんです。300万親に借りて300万はオーナーに待ってもらいました。そこからですね。
—大)そうなんですね。22歳で独立とはすごい勇気ですね!
—田)いや、昔むちゃくちゃだったのでちゃんと働かないけないなと思って・・それだけです(笑)
Q.御社は業態開発やメニュー開発など、とってもユニークだなぁ、と思っているのですがどのようにやられているのですか?
田)経営理念が「思いやり」と「サプライズ」なんですね。沖縄は900万人近くの観光客が来るんです。沖縄料理のお店はたくさんあるんですがうちは一つもないんです。「地元の人が食べれないものを!」がコンセプトです。「他産地消」です。いかに地元の方々に喜んでいただけるかを考え、日々商品開発しています。
具体的には、チーム0(イノベーション部)という僕(社長)直轄の部署があります。日本中・世界も含めて飲食店の視察やアイディア出しを日々しています。営業部(現場)は利益を追求します。イノベーション部は会社全体の将来のために売上・客数向上を追求していきます。この2つはどっちに偏ってもダメだと思っています。バランスが大切ですね。
Q.新業態「鳥ボーン」もおもしろい業態ですね。お考えがあったんですか?
田)ありがとうございます。そうですね。3年くらいずっとやりたくて考えていました。このお店のすぐ近くに「鳥玉」というお店があるんですが、調子が良くて「鳥」いいなぁと思いまして。
鳥玉はアルコールは出していない定食屋ですが、こっち(鳥ボーン)は気軽に地元の人が食事や飲みに来てくれるようなお店にしたいなぁと思っています。大衆食堂みたいな感じですかね。
—田)今日はインバウンドのお話でしたよね?「目利きの銀次 新都心店」が外国人の客様がすごいのでそちら実際に見てみてください。移動しましょう。
—大)高)ありがとうございます。是非お願いします。
(「目利きの銀次 新都心店」に移動)
Q.この時間(平日20:00頃)ですごいですね。ほとんどインバウンド客ですか?
田)そうですね。今いらっしゃるのはほぼ海外のお客様ですかね。ここは8割がインバウンドのお客様になってます。
Q.それはすごい!何か特別な対策や販促などはされているんですか?
田)それが…全くやってないんですよね(笑)銀聯カードも入れてませんし、中国語メニューも何もないんですよ。いつもスタッフに言ってるのは「あえて媚(こ)びるな」と言ってます。実際に自分が香港や海外に行った時に日本語のメニューがあったら冷めるじゃないですか。そんなところが外国のお客様にもウケてるのかなとは思います。
店長に「英語メニューいる?」と聞いたら、「いらない」というもので(笑)インバウンド客に合わせるといろんなところに不具合が起こるんですよね。インバウンドのお客様ばっかりになっちゃうと地元の人が来れない。だから20%くらい地元客のために空けとくようにしてるんです。
高)こちらの新都心店はうちのアプリ(tripla)の中でも断トツの集客を誇っているお店ですよ。
Q.有料の販促などは一切やられてないんですか?
田)そうなんです。費用対効果があわないんですよね。だからホームページもありません(笑)PVがこれくらいになると言われても、費用対効果がわからない。お客様に来ていただかないと意味がないですからね。
高)本当に同感です。私たちtriplaは広告モデルではなくて、集客課金の仕組みの世の中にしたいと思っているんですよ。
田)いいですね。数字で話がしたいですよね。うちは何でも数字です。売上、原価、利益、評価制度に至るまで数字にできないものはないですからね。明確ですし。
Q.インバウンドの方々はノーショーとかドタキャン、予約時間に遅れるなどが多いと聞いたのですが、その辺はどうですか?
田)そうですね、うちは元々ここ(沖縄)で商売しているので「うちなータイム」ですからね(笑)2時間制も取りません。そんなのをしたら沖縄の人も誰も来なくなっちゃいますからね(笑)おもしろいのはうちなー(地元客)は中で待つ、インバウンドのお客様は外で待つんです。遅れるのが普通。だからあまり気にしていないですね。
高)台湾の方々ってほぼ遅れたり来なかったりしますよね?あらかじめブッキングして予約取ったらどうなんですか?
田)それはできないですね。売上だけを求めてダブルブッキングみたいなことをしちゃうとお客様にも申し訳ないですし、スタッフも混乱しますしね…。
Q.なるほど。では特にインバウンド対策というものはされていないということですか?
田)インバウンド対策をしないのが一番いいのではないかなと思っています。さっきも言ったようにタイに行って、有名なタイ料理のお店があるよとなって、行ってみたらメニューに日本語が書いてあったら萎えますしね。今はネットの時代だから検索したらお店には来れるはずですし、コミュニケーションもとれますからね。ただ、うちの店で字だけのメニューにした時があって、その時はさすがにスタッフがつきっきりになって人件費が上がってしょうがなかったんで写真入れましたけどね(笑)
Q.外国のお客様から強烈なクレームはないんですか??
田)全然ないですね。お客様が従ってくれます。沖縄っておもしろくて、沖縄に来てるのに、沖縄で買って帰るお土産は、第一位が「夕張メロン」第二位が「神戸牛」なんです。インバウンドの方々は沖縄に来たではなく、日本に来たと思って旅行に来ているんだと思うんです。だから他産地消のコンセプトも当たったんだと思います。
−大)そうなんですね。「他産地消」素晴らしいですね。
田)あと売り手側の発信ってダサいなぁって僕は思うんです。こっち側のブランディングが大事かなと思っています。商品や自社のサービスありきで、ブランディングを日々しています。
旗振ってるツアーコンダクターさんにお客様を連れて来てもらうんではなくて、SNSなどを駆使して、うちを目掛けて来てもらうよう努力することが大事だと思っています。お客様側もレストラン予約に苦労したあり、トラブルがあったりするのがおもしろいじゃないですか。旅行って。
−大)なるほど。海外で飲食店経営の実績があるからこその貴重なインタビュー、ありがとうございました。