スペシャル企画

【特別セミナーレポート】Airレジ ミニセミナー Vol.1 開業3年未満のオーナー必見「商売長続き」5つの基本とは


■「店舗オーナー向け Airレジ ミニセミナー」の開催意義とは 

すぐに使えるヒントの連続――。ホワイトボードに向ける眼差しはもちろん、話を聞く姿勢やメモを取る様子も真剣そのもの。多くの気づきがある話に、参加者の熱気はおのずと高まっていく。

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7月10日、セミナーの会場となったfreee(東京都品川区、代表取締役 佐々木大輔氏)の五反田オフィス9階には、40名近くの参加者が集まった。セミナーのタイトルは「店舗オーナー向け Airレジ ミニセミナー」。主催者はリクルートライフスタイル(東京都千代田区、代表取締役 淺野健氏)で、このようなセミナーの開催は初めてとなる。

そもそもAirレジとは、0円でカンタンに使えるPOSレジアプリだ。2013年11月19日にリリースして以来、お店の業務負荷を軽減できたり売上アップに役立つ機能が0円で利用できたりするため、多くの飲食店で導入が進む。2017年3月には279,000アカウントを突破し、今なお利用者を増やし続けている。

AIrレジ

しかしセミナーでは、タイトルに反してAirレジに関する説明は一切行っていない。その理由は、同セミナーの開催背景にある。それについて、Air事業ユニット・ユニット長の山口順通氏は、次のように話す。「『商いを自由に』というブランドビジョンに基づいて、私たちはAirレジの展開を行ってきました。ただ同時にAirレジは、それを実現するための一つの手段にすぎないとも考えています。実際、飲食店や小売の経営者さまのビジネスをサポートする方法は数多くあるでしょう。そこで私たちも、『商いを自由に』というブランドビジョン実現のため、他に何ができるだろうかと社内で改めて検討しました」。

ファイル_000 (3)リクルートライフスタイルのAirレジ事業責任者の山口順通氏

 

店舗オーナーの日々の行動を調査してみると、とあるジレンマが浮き彫りとなった。その詳細について、山口氏はこう語る。

「店舗オーナーのみなさんは、売上や集客・販促、人材、仕入れといった店舗業務に悩みを抱いているケースが非常に多いと分かりました。しかし、その悩みや課題を解決するため、具体的に何をしたらいいのか分からないというオーナーさんも同じくらい多くいたのです。また、勉強や情報収集をしたくても、毎日の業務に追われてまとまった時間が取れないという声もありました。そこで『Airレジ ミニセミナー』では、ネットで調べるのはちょっと不安だけれど、本を読むのも少し億劫という方々のため、課題解決のエッセンスをコンパクトにまとめて気軽に受講してもらえる内容にしています。このセミナーを通じて、さらに力強く経営者のビジネスをサポートしていこうと考えて、開催も決断しました」。

 

■長続きするオーナーに共有する条件

当日、講師を務めたのは、チームのちから(神奈川県横浜市、代表取締役 植竹剛氏)の代表取締役であり、「店長養成道場」の道場主も務める植竹氏だ。同氏は、店長として11店舗の運営に携わってきただけでなく、100店舗以上の店舗を立て直したコンサルティング経験を持つ。2014年には自らの理論を実証するため、横浜の元町に占いカフェをオープンし、これまでのノウハウを駆使した店舗経営も行う。

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講師を務めた植竹剛氏

 

セミナーのテーマは「~開業3年未満のオーナーさん必見~ 飲食・小売店オーナーが知っておくべき“いまさら聞けない”「商売長続き」5つの基本」。冒頭、同氏は次の話すと、実際の経験をふんだんに盛り込んだセミナーを開始した。「一説によると、3年で7割が閉店すると言われています。しかし3年以上、継続して経営しているオーナーさんがいるのも事実です。そこで本講座では、長続きさせるための『秘訣』を伝えていきます。もしかしたら真新しい知識はないかもしれません。ただ、すぐに活用できるノウハウを厳選して教えていきます。今日から取り入れることができる情報ばかりなので、気になったことは早速実践してみてください」。

 

同セミナーの構成は下記の通りだ。

プロローグ.オーナーはいつ働き、いつ休む?

1.経営資源を知り、活用する ~お店の財産を掘り起こす~

2.ポリシーを毎日読み上げる ~お店は何のために営業をするのか~

3.損益計算は毎日 ~お店の通信簿をつくる~

4.顧客の心理を読む ~これからは「コト」を売る~

5.お手本になる店を10は知っておく ~すべては「マネ」から始まる~

エピローグ.これからの店舗経営スタイル

 

まず「プロローグ」では、参加者の方に「定休日を設けているかどうか」という質問がされた。週に一回設けている参加者もいれば、まったく設けていない参加者もいたが、それを受けて、植竹氏は以下のように休みを作る重要性を説く。

「確かに定休日を設けるのは勇気がいることです。何と言っても、休んでいても家賃は発生しますから。私も店舗の売上を伸ばしたくて、ずっと事務室で寝ていたことがあります。ただ売上を上げたいのなら、積極的に休む日を作っていかなければいけません。マーケットはものすごい早さで変化していきます。事務所や店ばかりにいては、世の中のトレンドについていけなくなでしょう。だからこそ休日を設けて、事業構想や今後のビジョンについて、ゆっくりと考えられる時間を作ってください」。

また、「好きなことに没頭する時間」も必要だと、植竹氏は話す。「リラックスしないと新しい考えやアイデアは入って来ません。売上が悪いと、なおさら視野が狭まって、考えが凝り固まってしまうでしょう。調子が悪いからこそ休む。それくらいの思い切りの良さが大切です。一週間の中で考える時間を2時間、好きなことに没頭する時間を2時間設けられるスケジュールを立ててほしいと思います」

プロローグ

プロローグのまとめ

 

以上を踏まえて、「長続きするオーナーは“遊ぶのもうまい”です。さまざまなサービスを体験するからこそ、自分の店に足りないことを見つける機会も増えていくでしょう。本講座のノウハウを活用していくためにも、積極的に休みを設けることが大前提となります」

 

■経営資源を有効活用しながら、成長し続ける方法

次の「1.経営資源を知り、活用する ~お店の財産を掘り起こす~」では、「ヒト」と「モノ」、「カネ(時間)」、「情報」、「ノウハウ」の6つの経営資源の大切さについて語られた。

いくつかの例を挙げると「モノ」では「定位置管理」による“見える化”の効果を紹介。そもそも時間とお金は連動しているため、モノを探す時間は、社員・アルバイトの給与の無駄使いである。しかし、決まったモノを所定の場所に置けば、すぐに情報を確定できるので探す手間が省けるだけでなく、発注もスムーズになっていく。つまり「定位置管理」を導入すると、人材とモノの有効活用を実現できるのだ。

見える化 例

「定位置管理」における「見える化」の例

 

また「情報」では、経営者に必須となるマクロ・ミクロの情報収集の仕方について、植竹氏自身の方法を紹介。同氏は、マクロに関する情報は「テレビ東京ビジネスオンデマンド」を活用する一方、自店の半径5~10キロの情報は、地方新聞やコミュニティ誌で仕入れているという。

6つの経営資源の重要性を話した上で、同氏は「全ての資源を活用するために必要なアイテムが“コミュニケーション”です」と語ると、次のように続けた。「コミュニケーションは、朝礼やミーティングなどで強制化していくことが重要です。それは夫婦や友人同士の経営でも例外ではありません。大切な情報共有がされないまま経営危機に陥るケースも珍しくないので、ぜひ定期的に話し合う場を設けてください」

自社の経営資源が何だったか。開業して3年ほど経つと、なかなか見えなくなってくるため意識的に見直す必要がある。それは「何のために開業したのか」も同じだ。どんなに高い志を抱いて開業をしても、日常に忙殺されて理念を見失ってしまう経営者は少なくない。そこで「2.ポリシーを毎日読み上げる ~お店は何のために営業をするのか~」では、名刺に「創業理念」を記載するなどする方法が紹介された。

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植竹氏が実際に使用している「経営理念」が書かれた名刺

 

「理念やポリシー、プライドは必ず言葉にしましょう。経営者も人間なので迷うときもあれば、モチベーションが下がるときもあります。だからこそ、お店のバックヤードや事務所に理念を貼って、毎日読んでください。それだけで随分とやる気は変わってくるはずです」

 

■競合に負けない店作りをするために必要なポイント

「3.損益計算は毎日 ~お店の通信簿をつくる~」では、損益計算書と数字に基づいた未来予想の大切さについて語られた。一日の家賃や一日の人件費といった経費もちろん、一日の利益もしっかりと把握すると、事業を運営して“勘”が養われる。

そのためにも「営業計画書」の作成が欠かせない。ただ目標と実績の制度を3%以下に抑えてこそ意味を持つ。それを実現するためにおススメの方法の一つが日記だ。前年なぜ数字が良かったのか、もしくは悪かったのかを把握していれば、精度の高い営業計画が立てられる。例えば、スマートフォンでは、マイクに話して日記を作成してくるアプリも多い。そうした機能を活用すれば1.2分で終わるので、負担は少なくて済むだろう。

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「3.損益計算は毎日 ~お店の通信簿をつくる~」の概要

 

そして「4.顧客の心理を読む ~これからは「コト」を売る~」と「5.お手本になる店を10は知っておく ~すべては「マネ」から始まる~」の二つにたどり着く。同氏は「4.顧客の心理を読む」でネットを通じた購買が当たり前となった今、「顧客ニーズの変化の兆し」をつかみ取る重要性に言及。その後、「どんなにマーケットが変わったといっても、居酒屋にも憂さ晴らしをしたいニーズは依然としてある」と語ると「5.お手本になる店を10は知っておく」に繋げた。

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「4.顧客の心理を読む ~これからは「コト」を売る~」の概要

 

話の中心は「実際の競合はどこなのか」だ。競合は同業他社だとは限らない。例えば、家族で楽しめるレストランなら、休日に家族連れが集まるアウトレットが競合になるし、「リラックスをしたい」という顧客ニーズから考えると、焼鳥屋とスーパー銭湯が競合になったりする。そうした背景を踏まえて、同氏はこのように話す。「大切なのは、誰に、何を、どのように売るのかを考えることです。そうすれば、自店の付加価値と差別化要素が決まっていきます。先ほどの例で話すと、スーパー銭湯を利用する方は『広くてバリエーションのある風呂』や『サウナなど自宅にない機能』、『サッパリした後、すぐに食事やビールを楽しめる』といった要素を求めているでしょう。ただ焼鳥店には、スーパー銭湯にはない料理のおいしさがあります。つまり、スーパー銭湯のような心身ともに解放ができる空間とおいしい料理があれば競合に勝てるということです。顧客ニーズを分解するのではなく包括的に受け入れて行けば、新たなビジネスチャンスも見つけていけるでしょう」

お手本

競合に勝つために必要となる要素

 

■「Airレジ ミニセミナー」が新しい気づきの場となっていく

最後に植竹氏は「これからの店舗経営スタイル」として、リアルとバーチャル、アナログとデジタルの融合について語った。「今後、生き残っていくためには、デジタルを積極的に使いこなしていく姿勢は欠かせません。特に個人店では、お客さんはオーナーに会いに来るケースが多いので、Facebookやインスタグラムは必須です。ただバーチャルとデジタルの力が高まっても人材力がなければ、お客さんを惹きつけることはできません。リアルとアナログというキーワードは今後も重要になるのではないでしょうか」と話して、セミナーを締めくくった。

ファイル_000 (2)参加者からの積極的な質問もあり、セミナーは大いに盛り上がった

 

セミナー終了後、親睦会も開かれて、多くの参加者が情報交換を通じて交友を深めた。今後、リクルートライフスタイルは月一回のペースでセミナーを開催していく。将来、セミナーで切磋琢磨した参加者が有名経営者の仲間入りをするかもしれない。今後も、同社のセミナーの様子をリポートしていく。

 

 

8月23日(水)19時~21時15分@BOOK LAB TOKYO(渋谷駅徒歩6分)

【参加無料】『手掛けた案件3,000件!起業コンサルタントが伝授する “失敗しないお店開業の法則”』-Airレジ ミニセミナー Vol.2- 登壇者:中野 裕哲(税理士法人V-Spirits代表)

 

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